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『ことばの生まれる景色』原画展 ON READING(名古屋) 2019.6.5-2019.6.24

広島のREADAN DEATと会期を重ねて開催するのは、名古屋のON READING。
日本一多種多様な生き物がいるという東山動物園からほど近いお店は、古書と新刊、刺激的なリトルプレスがひしめく魅惑の空間でした。

この階段を上ると…

そしてこの扉を開けたらそこはON READING!

ON READINGには素敵なギャラリースペースもありますが、今回の「ことばの生まれる景色」nakaban原画展は、書店奥の小部屋で展示していただいてます。
ガラスの向こうに広がるのは、関連書籍とnakabanさんの原画たち。

『1973年のピンボール』の絵がしっくり似合う大人っぽい空間。

窓辺に飾られたメイ・サートン『独り居の日記』には、ON READINGの窓枠が映りこんでいました。今、この瞬間にしか見られない絵。

恒例のしおり&nakabanさん描き下ろしのオリジナルスタンプももちろん設置されていますよ。ご来場の際は、忘れずに押していってくださいね。

◎ON READING展示作品(全16点)
『ミラノ 霧の風景』須賀敦子
『よいひかり』三角みづ紀
『独り居の日記』メイ・サートン
『遠野物語』柳田国男
『百年の孤独』G・ガルシア=マルケス
『犬が星見た』武田百合子
『城』カフカ
『1973年のピンボール』村上春樹
『さようなら、ギャングたち』高橋源一郎
『山之口貘詩集』山之口貘
『おやすみなさい おつきさま』マーガレット・ワイズ・ブラウン
『夕べの雲』庄野潤三
『ビニール傘』岸政彦
『細雪』谷崎潤一郎
『声めぐり』『異なり記念日』齋藤陽道
『モモ』ミヒャエル・エンデ

ON READINGの書棚は、静かでありながらとても刺激的です。
話題の書籍はもちろんきっちり置かれているのですが、アジアのアーティストたちの作品集なども充実しています。そして!「ELVIS PRESS」名義で出されているオリジナルの本の数々も必見。
(本を見るのに熱中しすぎて書棚は写真撮り忘れ)

私は『ESCAPE』(箕輪麻紀子・著)というELVIS PRESSの画集を購入しました。巻末に載っている文章がまた良くて。どなたがお書きになったのですか?と店主に尋ねたら、店主ご夫妻で書かれたとのこと。心がのびのびする絵と文です。 

店内ではこんなブックフェアも!『へろへろ』(鹿子裕文・ナナロク社/ちくま文庫)も選んでくださっていて嬉しい。他にも読みたくなる本がいっぱい!

展示初日の6/5には、書店お隣のギャラリースペースで辻山さんとnakabanさんのトークショーが開催されました。聞き手は、辻山さんが名古屋のリブロにお勤めだった頃に一緒に働いていた、ON READINGの黒田杏子さん。黒田さんのツッコミが冴え渡る、刺激的なひとときでした。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

*  *  *

〈ON READING・黒田杏子さんへのQ&A〉
1)『ことばの生まれる景色』の中で、好きな作品は?
『ミラノ 霧の風景』です。淡い色が重ねられた原画は、書籍で見ていたよりもはるかに情報が多くて驚きました。眺めていると、霧の向こうから遠い記憶を呼び起こされるように感じます。

2)もし自分が作品を選んで、nakabanさんに絵を描いてもらうとしたらどの本を選びますか? 可能でしたらその本から選ぶ一節も教えてください。
『狼が連れだって走る月』管啓次郎
するとジョルジがぼそぼそといった。もちろんさ、人間の生涯でいったい何が最後に残ると思う、風景の記憶、それだけさ、物の所有なんてぜんぜん問題にならな
い、それに人間が他人と何を共有できると思う、あるひとつの風景をあるときいっしょに見たという記憶、それ以外には何もない、何も残らない。

私たちを、まだ見ぬ土地へと駆り立てるものはなにか。私たちが、旅で見ているものとはなにか。時間と土地を移動しながら、思索の旅へと連れて行ってくれます。繰り返し、読んでいる一冊です。

3)展示に関して、お客様にひとことどうぞ。
辻山さんが選んだ本の一節を、何度も口の中で転がしながらnakabanさんの絵を見るという、豊かな読書体験ができる展示になっています。原画は、パソコンや
スマートフォンで見ているよりもはるかに多くのことを見せてくれますよ。

本展は、babooshka CURRY&CAFE(本山)でのnakabanさんの個展『よい眺め』との同時開催です。是非、両会場に足をお運びください。

*  *  *

黒田さん、ご回答ありがとうございました!

そうなのです。名古屋ではなんと!同じ会期に、nakabanさんの展示がもう一つ見られるのです。

nakaban個展「よい眺め」

会場はbabooshka CURRY&CAFEさん。本当に気持ちの良い展示でした。
場所も近くですので、ぜひ2つの会場をハシゴしてお楽しみください。
バブーシュカさんのカレー…ものすごく美味しいんですよ!!!
お店までの急な坂道も、あのカレーとnakabanさんの絵が見られるなら全然苦じゃない!! なんなら今すぐ食べたいくらい!

ON READING、バブーシュカともに展示は6/24(月)まで。
ぜひお運びください。

(写真:ON READING/川口恵子 文:川口恵子)

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