あの静寂、美しい。
相手チームのコンバージョンやペナルティキックの時、「外せ」とそっと心に祈り、静かにボールの行方を見守ることは誰にでもあるだろう。
応援しているチームを勝たせたいと思うなら、それは当然のことだ。
頼む、まだ追いつけると言うチャンスをくれ!
今日こそは勝ちたい!
という熱い叫びを、ぐっと喉で押さえ込む。
ぎゅつと手を握りしめる。
でもその「外せ」を口にする。
時に叫ぶ。
それは美しくない。
少なくともラグビーの観戦スタイルにふさわしくない。
日本では、キックを蹴る時は相手チームであろうとも敬意を払う文化を踏襲してきた。
あの静寂、美しい。
入れ!という祈りと
外せ!という祈りが
満ちている静けさ。
ボールはその中を軌道を描いていく。
これからも、
あの美しい時間が、
全国のラグビー場で変わらずあることを
願う。
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