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小さな人向けの小さなブランドの、小さな小さなはじまり

 2017年11月、フォロワー400人の小さなインスタアカウントのリンクから飛べるだけの、ひとつの商品しかないECサイトで洋服の販売が開始された。

洗練されたクリエイティブもない。
先頭に立つインフルエンサーもいない。
ハッと惹きつける尖った服も売っていない。

ただ「小柄女性の綺麗が叶う」というコピーとたった1種類のセットアップを売っているだけの低身長向けブランドが11月12日に誕生した。


私と相方の絢子は当時、就活を終えたばかりの学生。
普通の4年生大学で商学やら政治やらを学んでいたどこにでもいる普通の文系女子大生。
ちょっと違ったのは半年とか1年とか休学して留学してたから、就活が終わる頃には友人はみんな社会人で、遊んでくれる人もおらず、暇してたことくらい。

そんな同じ境遇だった私と絢子は高校時代からの友人で、大学生になってからはくだらない日常の出来事からお互いの考えや想いまでシェアする仲だった。
事業をはじめたのは、その延長線上。"「来週ご飯食べに行く?」くらいの自然さで、「何か事業始める?」となりました"まさにこのまんま。
私たちがやりたいことは、何も「自らのブランドを作ること」でも「服づくり」でもなかった。
ただ、身の回りにある負を解消する何か。誰かの日常をちょっと豊かにする何かを自分たちの手で生み出したいという想いだった。

たまたまたどり着いたのが低身長でもサイズぴったりな服の中から好きなものを当たり前に選べるようにするアパレルブランド作りだった。
お互い151cmと148cm。低身長だから自分の体に合わなくて、可愛い服を諦めてきた経験から、好きなものを選びたいのに身体的特徴に左右されてしまう、そんなモヤモヤを解消する"何か"を自分たちで作ってみようと思ったのだ。
欲しかった綺麗めカジュアルのぴったりな服を作り、インスタで周知し、ECサイトだけで販売しよう。それだけ決まった状態で私たちは走り始めた。


手探りではじまった服づくり。
アパレルの知識は皆無。出向いた合同展示会では、通常のブランドが販売の半年〜1年前から企画をはじめる中、秋口に「今年の秋冬物を作ります!」と豪語する頭のおかしな小娘をやっていました。「はい?」と首を傾げられたのは言うまでもない。
でも仕方がない。4月に就職を控えていた私たちに残されていたタイムリミットは、たったの半年だったから。

"ロット"と言う概念すらこの時にやっと理解した。
工場を動かし、服を形にしてもらうにはある程度まとまった数を一気に作ることが必要とされる。
どうやら"パターン"と言うものがデザインの他に必要らしい。服の型紙。服の専門知識がないと作れないものだ。最初から壁だらけ。
とはいえ今は便利な時代。ググればすぐに、型づくりから相談に乗ってくれて国内工場で数枚から作ってくれるサービスも見つかった。

ただ、なかなかにお高い、、、、、
もちろん作れなくはない。そこで少数から作ってもらった方がリスクもない。私たちの乏しい知識も補ってもらえる。
だけど私たちはそれを選ばなかった。
どうしても「誰でも手に取りやすい価格で、たくさんの人に手にとってもらうこと」を貫き通したかったから。2万円のワンピを普段から買う層ではなく、普通のOL・普通のママさん・普通の学生さんに手に取ってもらいたかったから。

無謀にも私たちは自分たちでいろんな服を研究し、デザインとサイズを固め、友人のお母様に手書きのパターンを依頼し、それをググりながら翻訳し(今考えるとわけわからん)、ググって見つけた中国の工場数社に送ってサンプルを依頼し、ひどいサンプルが上がるたびに頭を抱え、唯一いいサンプルを上げてくれた工場の担当者とカタコト英語で値段と枚数を交渉し、100組のセットアップが出来上がった。
8980円のシャツとスカートのセットアップ。

なんてことない、シンプルなデザインだけど、着丈、袖丈、首元の空き具合、ウエスト位置、スカートの裾の形や幅。サイズの隅々にまでこだわったアイテムでした。


サイトはテンプレをやったこともないHTML&CSSを見よう見まねで少しいじっただけ。インスタは細々と自分たちの私服を載せていただけのフォロワー400人のアカウント。そんな状態で11/12、ついにオープンを迎えた。

この時のモデルさんがご好意でブランドを紹介してくださり、それを見たフォロワーさんがさらに紹介してくださり、その日のうちに2000人ほどの方がフォローしてくれた(この時から応援してくださった方々には今でも頭が上がりません)。

そしてまさかの当日の帰り道、「商品が購入されました」の通知が。
表参道の駅ホーム。涙を浮かべて絢子とハイタッチしたあの瞬間はいつまでも忘れられないと思う。
見ず知らずの私たちが作ったものに対して、お金を払ってもらえたこと。世の中にごまんとある服の中から選んでもらえたこと。それがどれだけ嬉しくどれだけ暖かく幸せなことなのか、仕事とは、ものづくりとは、ビジネスとは、こういうことなんだと実感できた瞬間でした。


私たちの代名詞であるインスタライブも、最初の最初からやっていてリアルタイム視聴者が1人のこともあった。それでも続けていくうちにそこから共感が生まれたり、アイディアが生まれたり、つながりが生まれたり、ここから購入してくださったり、商品が生まれたり、今ではなくてはならない場所になった。
365日配信を達成し毎日数千人の方が見に来てくださる今でも、視聴者1の時に見に来てくださった方は頻繁にコメントをくださる。妊娠中にCOHINAを見つけてくださったその方が、無事出産されたことをライブのコメントで知ってお祝いする。そんな関係が今のCOHINAを作っていて、今ではユーザーさん同士がつながり情報を共有したり、お互いを労ったりする様子を見れるまでになった。COHINAを通して出会った方同士でポップアップストアに遊びに来てくださったこともある。素敵な世界。


まだ1年半、ですが猛スピードで成長して来たCOHINAは、猛スピードすぎて成長痛どころか骨折しかけたのではないかってくらいに辛いこともあった。
それでも続けてこられたのは、
「COHINAに出会ってからお洒落が楽しくなった」「低身長でよかったと初めて思えた」「COHINA着てたら大切な人に褒められました」「COHINAを着ると気分が上がります」「袖を通した瞬間に感動して涙が出ました」「こんなに大好きになるブランド初めてです」「COHINAを作ってくれてありがとう」
こんなに、こんなにあたたかくて優しくて美しくて幸せな言葉を、皆様が直接かけてくださったからなのです。

半年でCOHINAは瞬く間に成長し、次のステージを夢見られるまでになった。私は結果、内定を辞退して1年奮闘することになるのですが、この言葉たちに何度助けられてきたことか。心折れそうな時、何度立ち上がらせてもらったことか。

私たちはこんな素敵な人たちに囲まれているんだ。壁に立ち向かわなくてどうする。そう奮い立たせてくれる皆様は私の宝物。


小さくはじまった、小さな女性のための、小さなブランドは1年半が経った今、インスタ8.2万人のフォロワーさんたちに支えられ、オンラインサイトから月数千人の方が購入してくださるまでに大きくなりました。

「妥協して買う」じゃなくて「本当にほしいから買う」
お買い物にそんなポジティブな選択肢を作りたい。
「好き」を選べることを、当たり前にしたい。
この服たちが、"誰かの日常をちょっと豊かにする何か" であり続けたい。

そんな初心を持ち続けつつ、COHINAを、そして会社をもっと成長させていきたいと思います。
まずは世界中のおちびを!ハッピーにします!

これからもCOHINAを、newnを、私たちをどうぞよろしくお願いいたします。


COHINAディレクター 清水葵

(この記事を書くきっかけとなった、弊社代表のブログ(と書いてポエムと読む)はこちらです)


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