あおいゆの

はじめまして! ドキドキ☆キュンとするような小説を書いています。 日常にありそうな恋物…

あおいゆの

はじめまして! ドキドキ☆キュンとするような小説を書いています。 日常にありそうな恋物語をご覧ください☆

マガジン

  • いつか、きみと・3

    わたしが知っている【現実】と、まったく別の【現実】。だけどどちらも【現実のこと】

  • いつか、きみと・2

    彼はどこ…?わたしが今、できることは…?

  • いつか、きみと・1

    今よりもちょっと先の未来と、今がつながる恋物語。

  • 小説・晴れのち、時々、恋もよう・クリスマスの気まぐれ

    デパート勤務のナズナ。 美人の先輩、スミレと、 しっかり者の後輩、アヤメ。 どうやら優秀らしくて、 イケメンみたいな、カンナ。 出会い、再会、時々、別れ…? 毎日は、大変なこともあるけれど、 それでもやっぱり、楽しい♪ 今日もいちにち、お疲れさまと、 居酒屋に集まります。

  • 小説・過去との遭遇

    新幹線に乗りこんだ。 同窓会に参加するために、地元へ向かう。 地元にはいい思い出がない。 …それに、思い出すだけで、胸が痛くなることがある。

最近の記事

いつか、きみと。3-6

【それ】が【涙】だってわかるまでの、タイムラグ。 わたしの心と身体が、ちょっとだけ離れたところにあって通信しているみたいになる。 レンはわたしよりも幼いはずなのに、ときどきわたしよりも年上なのかと思うことがある。 …でも、年齢っていうのは身体ができあがったときの【記号】みたいなもので、知識や経験にはなんの関係もないものだと思う。 それに、おなじ年齢だったとしても、身体の作りや成長、大きさだって違うんだから、やっぱり年齢はただの【記号】のひとつなんじゃないかな。 離れ

    • いつか、きみと・3-5

      「だ、大丈夫だよ。帰ってからちゃんと進めてるよ」 「疲れて帰って、カリキュラムをやるなんて、大丈夫じゃないよ」 時々、子どもらしからぬことをいう。 「明日は休んで欲しいんだけど…」 「イヤ!!」 レンが話し終わるか終わらないかのタイミングで、さえぎるように飛び出した自分の声におどろいた。 手が震えるのは、寒さのせいじゃない。 「…ルナ?」 震えてるのは手だけじゃなくて、ひざも肩も、まるで自分の身体じゃないみたいにガタガタ震えてとまらない。 レンの手が、わたし

      • いつか、きみと・3-4

        それに、報酬なんてずっと使わずにいたから、こんなうれしい使い方もあるんだなぁ…ってわかったこともうれしい。 今はまだ、本格的に仕事を受けていないけれど、カリキュラムを受けながらでもできる仕事をたまに受注している。 報酬が欲しいというよりも、仕事をしてみたいとか、自分がどれくらいできるのか試してみたくて仕事を受けてみた。 あとは、誕生日や記念日に両親からプレゼントのリクエストを聞かれて、とくになにか【物】が必要じゃないときにお金をもらうこともある。 お金が数字として管理

        • いつか、きみと・3-3

          タワーに住んでいると、タワーの住人としてオーダーができるから、サンドイッチや飲み物をオーダーしても【無料】なのだけれど、どうやらレンはタワーの住人ではないらしい。 仕事はしているから、報酬はもらっているみたいだし、基本的な生活も保護されているようだけど、本人もわからないことは聞けない。 「届けても届けても、荷物が増えるね」 「うん」 「そうだ!こんなの見つけたの」 バッグから、手袋を取り出してレンに差し出す。 「…くれるの?」 「もちろん。手、冷たいでしょ?」

        いつか、きみと。3-6

        マガジン

        • いつか、きみと・3
          6本
        • いつか、きみと・2
          6本
        • いつか、きみと・1
          8本
        • 小説・晴れのち、時々、恋もよう・クリスマスの気まぐれ
          27本
        • 小説・過去との遭遇
          6本
        • 小説・バニラアイス
          6本

        記事

          いつか、きみと・3-2

          「うん。1つも2つも変わらないから」 タワーの管理は【国】がしているけれど、部屋の使用料は無料だし、基本的な食べ物、衣服もオーダーすると無料で届く。 基本的な生活は【国】が守ってくれている。 今みたいなシステムになる前には、家も食料も衣服も、すべて【自分たち】でなんとかしなきゃならなかった時代もあるみたい。 お金をたくさん集められる人は、大きな家に住んで高級な食材を持て余すほどオーダーしていたけれど、お金をたくさん集められない人たちは、小さな家で少しの食料をわけあって

          いつか、きみと・3-2

          いつか、きみと・3-1

          彼からのメモを届けてくれて、彼の家に案内してくれた男の子は、名前は【レン】っていうらしい。 レンと一緒に【配達】を始めて、3日目。 …働くことがこんなに大変だとは知らなかった。 仕事といえば、パソコンを使うことがほとんどだから、身体を動かすときはあくまでも【趣味】だったり【運動のため】だったり、基本的には【楽しいとき】だと思っていた。 配達の仕事は、自分が疲れているとか休みたいとかいう事情はお構いなしだけど、相手の都合は考えなきゃいけないらしい。 受け取った証拠として

          いつか、きみと・3-1

          いつか、きみと2-6

          「な、」 必死でしぼりだしたはずの言葉が、そんな一言だなんて自分でもあきれる。 「荷物が増え続けたら、この【家】がいっぱいになって壊れてしまう。 そしたら…」 「え」 「だから、せめて一番古くからある一番大きな荷物を届けに、彼は出かけたんです。 …そしたら、連絡が途絶えて…」 「…」 「あなたのことは、見かけたこともあったし、彼から聞いていたので知っていました。 だから、昨日この手紙をみつけたとき、渡さなきゃと思ったんです」 「…」 「でも、もしかしたら、彼は

          いつか、きみと2-6

          いつか、きみと2-5

          「え…」 建物の中は、わたしの部屋をもっと広くしたような作り…みたいだけれど、決定的に違うことは部屋中にたくさんの【荷物】が置かれている。 わたしと彼が出会ったときに、彼が持っていた荷物と似ているけれど、大きさはさまざまで小さな箱から大きな箱、細長い箱や丸い箱…。 「これを届ける仕事をしてます。 …だけど、最近は配達先が見つからないことが増えていて、どんどん増えていくんです」 どういうことなのか、聞き返そうとしたときに、さっきは床が見えていた場所に荷物が置いてあること

          いつか、きみと2-5

          いつか、きみと2-4

          「お願い!教えて!」 両方の肩に手をおいて、揺さぶるみたいにしているのが、自分だなんてびっくりしてしまう。 「…あの」 「…お願い」 涙がとまらない。 だって、書いてないんだもの。 だから、納得なんてできない。 「あの、それは…」 「お願い」 「…ついてきてもらえますか?」 くるりと背を向けて、歩き始めた後ろ姿を追いかける。 知らない子。 よくわからないけれど、今を逃してしまったらもう彼につながる手がかりをつかむチャンスがなくなってしまう。 公園から、

          いつか、きみと2-4

          いつか、きみと2-3

          「…?」 差し出された紙を、受けとる。 「それじゃあ…」 そういって、去ろうとしたその子の腕をがっちりつかまえる。 「待って!」 「!?」 「ちょっと待って!」 そんな衝動的なことをしたのは、受けとった紙に彼の名前が書いてあったから。 この子が誰なのか知らないけれど、今は彼とつながる方法を知っている人はこの子しかいない。 「ちょっと待って、ここにいて」 わたしはそっと紙をひらく。 「ルナちゃんへ ちょっと遠くへ荷物を届けにいくことになりました。 …ごめん

          いつか、きみと2-3

          いつか、きみと2-2

          「…はぁ」 結局、彼から連絡がないまま2日経ってしまった。 【会いたい】っていう気持ちよりも、不安の方が大きいのはどうしてだろう。 手袋を持って、公園へ向かう。 電車に乗っているあいだ、ずっと心臓が痛いくらい緊張して、公園の近くの駅についたときには、もう走りださずにはいられなかった。 息を切らして、いつものベンチに行くと、きっと彼が…。 半分、予想通り。 望んでいなかった結果が、そこにはあった。 いつものベンチに、いつもの彼の笑顔はなくて、身体じゅうからチカラが抜

          いつか、きみと2-2

          いつか、きみと・2-1

          「はぁ…」 今日何回目かわからないため息を吐き出す。 【ウオッチ】と呼ばれる”それ”を見る。 ウオッチは、手首にまきつけて使う通信機器であり健康管理機器でもある。 音声やメールの通信はもちろん、脈拍や体温、血圧なんかも管理してくれる便利な機器で、生まれたときからみんなひとり1つ持っている。 彼ももちろんウオッチは持っていて、一日何度か連絡を取るのが日常になっていたけれど、もう3日も連絡がない。 3日くらい…と思う自分と、毎日連絡がきていたのに、なにもない3日はとても長

          いつか、きみと・2-1

          いつか、きみと・1-8

          「もう。 謝らない、っていったでしょ?」 「うん、ごめん…」 「あー、もう。また!」 彼がやさしく微笑みながら、左手でやさしくわたしの頭をなでてくれた。 心地よくて、ずっとなでていて欲しいと思う。 「あのとき、探していたおうちは、みつけられたの?」 ふと、思い出して問いかける。 「ううん、結局みつからなかったんだ」 「…そうなんだ」 彼は配達先のおうちを探していたらしい。 だけど、この公園の中には個人のすむ建物はないし、もともとこの場所に住んでいる人がいたとし

          いつか、きみと・1-8

          いつか、きみと・1-7

          いつもこのくり返し。 だから、わたしたちが会うのはいつもこの公園。 ちょっぴり困らせることはできるけれど、それ以上ふみこめないのは、【嫌われたくない】とか【こわい】からかもしれない。 なんの接点もなさそうなわたしたちが出会ったのも、ただの【偶然】 「あの日も、こんな風に天気がよくて少し寒い日だったよね」 「…そうだね」 彼が目を細めて笑う。 わたしの右手をぎゅっとにぎりしめると、わたしの右手ごと彼のジャケットのポケットにいれた。 あの日は、今から3ヵ月前のこと。

          いつか、きみと・1-7

          いつか、きみと・1-6

          そのおかげで、温暖化が進むことはなかったけれど、太陽が少しずつ離れていくことで、少しずつ冬が長くなっているらしい。 ただ、地球が毎日冬になる頃には、わたしの子どもの子どもの子どもくらいの時代になるのだろうか…? 「次のお休みには、また会える?」 「会いたいけど、まだわからないかも」 「…そっか」 「連絡するよ」 「うん」 下に向けた視線が、そのまま手袋を通過して、つま先にたどり着く。 「あんまり長く外にいたら、冷えちゃうね」 「大丈夫」 そういったのに、彼

          いつか、きみと・1-6

          いつか、きみと・1-5

          「よかったらあげるよ」 「ありがとう!」 わたしはそっと、その【写真】をポケットにしまった。 部屋には大きな窓があるし、緑も見えるしお日様の光も入るけれど、外も気持ちいいな。 「今日も帰ったら勉強するの?」 「うん、そのつもりだよ」 「がんばってるね」 「早くお仕事受けられるようになりたいから」 「そっか」 仕事はみんなそれぞれ自分の部屋で作業をしている人ばかりだけど、彼は今の時代ではとても珍しくて【肉体労働】っていう仕事をしているらしい。 彼みたいに【個

          いつか、きみと・1-5