クリスマスの気まぐれ.8

「そうですか?」

そういう噂はよく耳にするけれど、本人はもうちょっとぼんやりのんびりしてるというか…。

「この企画は、彼も参加してるけど、アイディアがいいってうちの会社でも絶賛されてるよ。」

「そうなんですか?」

意外だなぁ。
私の知っているカンナとは、全く別人のような話を聞くと、不思議な気持ちになる。
本当はカンナが二人いたりして。

「それに、可愛いってうちの女の子たちに人気だよ。」

カンナ、やるじゃん!

「全く想像がつきません。
でも、村田さんも…。」

そう言いかけて、勢いで大胆なことを言おうとしている自分に気づく。

「ん?」

やさしく微笑まれて、ドキドキが加速する。

「すごく人気ですよ?」

言ってみると、思ったよりずっと恥ずかしい。
一緒に担当したかったとか、村田さんと仕事ができてラッキーだねって何度も言われた。

更衣室でも噂している声を聞いた。
番号を書いたメモを渡されているところも、通路で目撃したこともある。

「え?そうなの?
…でも仲良くしたい子とは、なかなか距離が縮まらなくてね。」

少しさみしそうな表情になる。

「そうなんですか?」

やっぱりイケメンには、目当ての子がちゃんといるんだなぁ。

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