クリスマスの気まぐれ.11

「今年は見たいなぁ。」

思わずそう呟くと、目をまん丸にしたカンナがこっちを向く。

「え、帰り道に通るじゃないですか。」

「バッカ!
一人で見たら虚しいじゃん。
期間中は裏から帰るよ。」

もこももの手袋をはめた手で、カンナの腕をバシバシ叩いて、歩く。

「あはははは!」

「なんで笑うの?」

悔しくなって、カンナの腕を更にバシバシ叩く。

「いや、可愛いなぁって思いまして。」

カンナから飛び出した、思いもよらぬ言葉に、不覚にもドキリとした。
私はどれだけトキメキが渇望しているんだろう。

「は!?なに言ってんの?
ほら、もう帰るよ!」

ハハハとまだ笑うカンナの腕をぐいぐい引いて歩く。
変なこと言うから、恥ずかしい!

家に着いて、ケータイを見るとメールが届いていた。
その日の夜から村田さんのメールのやり取りが始まった。

村田さんは音楽やスポーツが好きみたいで、アウトドアや釣りも詳しいみたい。
とにかく情報が豊富で、話が尽きない。
私の知らないことをたくさん知っていて、色々教えてくれた。

“今度一緒に映画に行かない?”

そうお誘いを受けたときには、嬉しくて柄にもなく、
「キャー!」
なんて叫びそうになってしまった。

早速、次のお休みに会うことになった。

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