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上の立場にいる人間。

NHKドキュメンタリーで、太平洋戦争におけるガダルカナル島での一木支隊の戦いにターゲットをあてた特集を観た。

当時最強とまで言われた一木支隊が一夜にして米軍にほぼ殲滅させられた。「無謀な突撃を繰り返し、結果部隊を全滅にまで追いやった」というレッテルを貼られてしまった一木大佐。だが、最近確認された資料から、どうやらその無謀とも言える突撃の背景には、当時の陸海軍間の不和による非協力的な体制が大きな要因になっていた、という。

太平洋戦争の戦況の悪化の一因として陸海軍の不和はかなり前から分析されているけれど、こうした戦争の話は、何度聴いても憤りを感じるし、きっとまだまだ知らない真実がたくさんあるだろう。現在もお元気でいらっしゃる一木大佐の娘さんも映っていたけれど、その俯向くような表情と小さく丸い背中に言葉にならない感情が湧き上がってきた。

当時の大本営の雰囲気と、現代の政治家や官僚に関する暗いニュース、どこかその人間性が被って見えてきて、とても怖いなと最近は特に思う。もし時代が時代なら、日本はまだ戦時中と同じシステム枠にいるんじゃないか。

かと言って、頭ごなしに、組織のお偉いさん方や今の政治家や官僚が悪い、と非難だけし続けるのは少し違う気もする。きっと彼らの多くは、有能なスキルを持った人間で、たとえ2世や3世であったとしても、そのプレッシャーに対し挑戦し、努力も重ねてきた人間がほとんどなのではないだろうか。(と、信じたい)ただ、組織で上にいる立場として、そこは緩めてはいけないというところでネジが緩くなっている人間が、もしかしたらその人種には多いのかもしれないとも思うのだ。

上の立場にいるということは、川に例えれば、川上にいるのと似ている。川上から汚水が流れれば、そこから下のすべての水がダメになるように、ちょっとしたネジの緩みが次第にその受け皿となる場所にいる人々を苦しめてしまう。そして、上にいる彼らはその想像力に乏しいがゆえに、想像を超えたとんでもなく凄惨な事実が最後に待ち構えていたのが太平洋戦争であり、第2次世界大戦だった。結局は、そういうことなんじゃないだろうか。

自分がもしその立場になったら、ネジの緩みもなく抜かりなく、川下の人々を思いやって、その信念の通りに行動出来るだろうか。それはおそらく決して容易なことではないことを、昭和の戦争体験から学び、覚悟すべきなんだろう。

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