データ分析が仕事の人がマーケティングに手を出す
だって「データマーケター」って玉石石石石混交でしょう?マーケティングの基本とは何か、何が問題点で何が解決策なのかをはっきり書いてある本ってなかなかないのだー……ブルーオーシャン?
マーケティングの本の人ってポジショニングを意識しすぎてるのか差別化ばかりでどういう位置づけの本かわからないことが多くて(←消費者に届いてねー)マーケティングのラガードイノベーター用に書いてみた。なんのこっっちゃ
コトラーが王道らしい
入門:環境分析(4C、PEST、SWOT)→STP→4P
僕が入門書に求めるものは
・その分野を俯瞰できること
・著者の意見ではなくその分野のスタンダードを示していること
・次に何を学べばいいか(必須語彙の提示・説明、次に読む本の紹介)を示していること
環境分析(4C、PEST、SWOT)→STP→4P→……
と、さすがグロービスって感じで、このあと類書をたくさん読んだけどマーケティングの骨格がコンパクトにまとめてある。1冊だけを選ぶのならばこれだろう。
ビジネスマンなら仕事上でマーケティング関連の用語や概念に多かれ少なかれ振れているはずだが、その整理によいと思う。もちろんマーケティングを本職としていない方(私も)には知らないこともたくさん書かれている。まず、データ分析対象の担当者と最低限話が通じるための一冊といったところ。
僕が読んだのは改訂3版だけどこの版だとカスタマージャーニーとか新しいものにも言及がある。
神様コトラー:1.0→2.0→3.0→4.0
『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』
どこで検索してもコトラーが出てくる。この人が神様らしい。ざっくりいうと
マーケティング1.0:いいものを作れば売れる
マーケティング2.0:顧客に合わせよう→環境分析、STPとか
マーケティング3.0:商品じゃなくて求めている価値を実現しよう
マーケティング4.0:Wow!欲しいのは物・サービスじゃなく感動
で、コトラーは類書がたくさんあるがまずは上の3冊だと思う(ごめん3.0は未読)。
『マーケティング・マネジメント基本編』は『MBAマーケティング』を更に詳しく書いてある感じ(MBAマーケティングのほうが要約したのだけど)。
『マーケティング4.0』は流行りのカスタマージャーニーとかNPSとかほぼ触れている。
これらが役立つというよりも、これらを読んでないと話が通じないよってところ。
源流:ポジショニング戦略[新版]
その神様の源流とされるのが本書らしい。なるほどコトラー本の源流的なことを25の警句的なまとめとともに記述されている。
俯瞰図としてきれいにまとめてあるのが好みならコトラーだけど、時間がないし本当に手頃な1冊だけ、というなら本書のほうがいいだろう。
個人的に一番響いたのが「『イニシャル』にご用心」。みんな安易にABCとかイニシャル、略号を使いたがるけど消費者に届いてないよというもの、なのに昨今も社名変更イニシャル化が流行っているな、、、全然届いてないよ。
データ至上
というところでやっとデータ分析的な話へ。今までの本にはデータも出てくるが理屈中心。その戦略をどういう指標で測りゃいいのだがほとんど出てこない。
『データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標』
Amazon社員の教科書という宣伝文句。15の経営、現場の到達目標たる指標が示されている。類書ではKPIが重要ですとは書いてあるけど、じゃぁどんな指標をKPIにすればいいのというのがあまり明示されていないが本書ではこれで見ろ!と勢いよく明示。
ほとんどの日本の企業はまともなKPI持ってないだろうからめっさ参考になると思うけど、これを提案すると
「現場を知らないお前らに何がわかる。Amazonとうちはビジネスが違う」とか言われるんだろうなぁやだなぁそれでいて昔はよかった働き方改革なんぞ残業がそんなに悪いことでしょうかとか経営が傾いていくのだろうなぁいやだなぁ
『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』
みんなちゃんと読んでいるのかなビジネス書にしてはありえない数式量だけど。USJくらい急浮上するなら最低これくらいやれよなのかあれは運がよかっただけと逃げるのかは読者次第。
理屈好きの人のため:有斐閣三兄弟(←かってに名付けた)
上記くらいまででよいと思うのだけど、僕はコミュ力壊滅なのでお客様とお話するときも理屈で補強しないとだめ。なので理屈補強が必要な方向け。
『マーケティング・サイエンス入門 -- 市場対応の科学的マネジメント 新版』
3冊、特に前者2冊はかなりオーバーラップしているのだけれど強いて分けると
・マーケティング・サイエンス:消費者の意思決定に関心がある場合。マーケティングを数理的なモデルから解き明かすことに重きを置く。
・マーケティング・エンジニアリング:マーケティング担当者の意思決定に関心がある場合。マーケティング・サイエンスを実際に適用する面に重きを置く。ので、上記数理的モデルをデータ分析でどう実証するかなどとなる。
・マーケティング・リサーチ:前者2つについて実際の市場からどう把握するかの面に重きを置く。ので、アンケートのとり方やデータの取り扱い方などが主なテーマとなる。
『マーケティング・エンジニアリング』について
本書の後半はほぼ、データ分析の概説書となっている。ただ、データ分析の箇所の記述に難あり。「因果関係を表現する代表的な数理モデルである回帰分析」「回帰分析のように因子間の因果関係も同時に評価」とあるのはいただけない。相関と因果は違うという記述もない。ランダムフォレストの解説で「森に見立てた大量データから」とあるが、たくさんの木のモデルの事を森と見立てているはず。ニューラルネットワークを「非線形予測モデル」、サポートベクターマシンを「非線形クラス判別」としているが、予測もクラス判別も行える。本文ではサラッとしか振れてないのに、参考文献にいきなり講談社機械学習プロフェッショナルシリーズの『深層学習』もあるが、機械学習の項目はちょっととってつけた感がある。
ブランド
マーケティングの一分野としてブランド論があるのだが、コトラー龍とは別の流れでブランドについて掘り下げた大家アーカーの本。ブランドを資産とみなし経営とどう結びつけるかと理論立てている。複数書があるが本書が基本で骨格と思われる。
ブランド論はアーカーとケラーという人が大家らしい。そしてケラーには別途『戦略的ブランドマネジメント』という本があるが、ケラーは前掲コトラーのマネジメントと共著となっているしある程度取り込まれているようなので、アーカーの本をまずは対立軸として読めばよいのではないか(アーカーについてもコトラーの中で引用されているけどね)。
消費者行動論
マーケティングと似ているのだが、売る側からまとめたのがマーケティング、買う側からまとめたのが消費者行動論、らしい。ので消費者行動論も読むのだがソロモンという人が大家らしい。
で、アメリカの事例ばかり出されてもなーというところなのだが訳者が素晴らしく本書には日本の事例が多数掲載されている。赤羽の女はピアスしてるとか、笑っていいとものスタジオアルタがどうとか。
書を捨てないでもっと読んで街へ出よう
上記まで読めば、あとは業界・案件、流行にそって読み進めればいいと思う。バズりだけの内容のない本にも免疫が出来ている(ハズ)なので大丈夫。好きに読めばいい。
でも理屈好きな方の仲間を増やしたいので、あと何冊か。
『ジョブ理論』
なんか人事とか働き方の本かと誤解してたのだけどガチ、マーケティング本だった(無知は怖い)。コトラーだと3.0か4.0に通じるのかな。顧客はその商品やサービスを買うのではなく、何かを解決したくてその商品やサービスを雇うのだ。と斬新な展開。うなずける記述ばかりだし、ビジネス書として高い評価を受けているしクリステンセンだし、、、でも後付けじゃね?理論になってなくね?と思ってしまう。ただ視野を拡げるためには読むべき本と思う。
バズワードの最たるもので無視、無視ーと思ってたのだけど、あまりにあちこちで出てくるので読んでみたら、内容はまともだった。ただ残念ながら僕はグロースハックが必要な場面に出くわしてないので、これPDCAを早く回せ、ってことを言葉変えただけじゃね?と思ってしまった。
はい、わかります「グロースハックが必要な場面に出くわしてない」ではなく、「気づいてないから気づいてグロースハックを適用していけ」
わかってますよ、だからこういう記事を書いて自分を鼓舞しているんじゃないですか!
ブランディングのとなっているがブランド論とういより、コトラー理論を覆すという野心的な本。コトラーの本は確かに天下り的に「こうだ」と言い切ることが多く引用文献は多数あるがエビデンスに基づいてという説明がない。本書はあくまでもエビデンスに基づいてというスタンス。私はまだ両者を判断できるレベルに無いけど相反する考えの本を読むのは重要と思っている。
NPS指標という「あなたはこの商品(サービス)を知人に勧めますか」を0-10の11段階で示すというシンプルな指標がマーケティング界を席巻している。ただ本来はNPSは単なる指標じゃなく定期的に定量評価と改善を繰り返すシステムであるという。生半可に流行に乗るのではなく本家本元からその気概を学ぼう。
『なぜ「戦略」で差がつくのか。―戦略思考でマーケティングは強くなる―』
「戦略」ということばを適当に使ってないだろうか。その本質を考え抜いた著者による戦略へのお誘い。
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