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【ネタバレ有】ロッキーリナ語り:KGF2の冒頭ロッキーのリナへの台詞で「娯楽」より衝撃的だった言葉

映画『K.G.F :CHAPTER2』の冒頭、ロッキーとKGFの幹部(グルパンディヤン、ラジェンドラ・デサイ、アンドリュース、カマル、ダヤ)とリナが揃う。ロッキーが縁故主義を罵り彼の手柄について述べた後、リナはロッキーに「どうして(私を)ここに連れてきたの」と尋ねる。
KGF2を初めてみた時、私はその時リナに答えたロッキーの台詞の中の単語を頭に入れる事ができず取りこぼした。その単語を認識できたのは2回目だ。

「記念に。KGFの安全を守ってくれ。こいつらは凶悪だ」

ロッキーがリナに言ったこの台詞で私が取りこぼした単語は『記念に』だ。
その後の『娯楽』よりもその単語の方が私には衝撃的だった。

記念とは何の記念なのか?
それはガルダの首を狩ってKGFのトップに立った自分の記念にという事なのか?
リナはトロフィーという事なのか?
もしトロフィーだというのなら、CHAPTER1のデサイのパブのシーンでロッキーがリナに言葉や行動で示した事はいったい何だったというのか?
あれは全部なかったことにするのか?

問いが頭をぐるぐる回り、映画鑑賞中なのに動揺してしばらくぼーっと映像を見るだけの状態になってしまった。

英語字幕版を知っているので、「君は俺の娯楽だ」は英語字幕通りで衝撃も少なかったが、「記念に」のセリフについては英語字幕とは変わっていた。(英語字幕では「君をKGFに保護するため。こいつらは凶悪だ」)原語通りの意味は日本語字幕の方だと信じるのだが、「記念に」を受け入れるとなると、私の築いていたロッキー像を粉砕されてしまうことになる。

リナをトロフィー扱いするということは、リナのパーソナリティを破り捨て、彼女の矜持を踏みにじるという事だ。
CHAPTER1のパブのシーンでロッキーがリナに触れなかったことは彼女のパーソナリティを尊重しただけでなく、パーソナリティを無視して触れるような男を嘲笑しているのだと思い、私は本当に嬉しかった。それなのに……!

頭がぐるぐるして、作り上げてたロッキー像がガラガラ崩れて落ち込むばかりだったのだが、映画をCHAPTER1と2共に3回鑑賞した後に、ふと思った。

ロッキーはリナのことを人質とは言ってないよな、と。

2回目の鑑賞で「ああ、リナはKGF幹部の行動をけん制するための人質ってことか」と思ったが、ロッキーは人質という単語は出してない。

ロッキーが言ったことは

KGFにリナを連れていくことがKGFの安全を守ることになる。
なぜならKGFの幹部は皆凶悪だから。

だ。
そもそもロッキーがわざわざ人質をとって幹部を制圧する必要があるのだろうか。制圧の手段は暴力行使を取るだけの話なのではないだろうか。実際にロッキーはカマルに対してそれを行っている。

リナに危害が加わって問題が発生するのは本当は誰なのか。

その後起こったリナの2回の危機的状況とそれにより起こったKGF崩壊(1回目は不安定になり・2回目は完全崩壊)を考えると、結局リナの安全はKGFの安定・安全の鍵ではないだろうか。リナに危害が加わることを避けたいのはKGF幹部ではなくロッキーの方なのではないだろうか。

言葉遣いも言い方もあまりにも攻撃的で猛々しすぎ、放った言葉がリナにどう受け止められるか、自分がどれぐらいリナの信頼を得ているのかまったく考慮していないロッキーの言葉だが、彼の意志の根元はリナの巻き添え被害を避けたいということでないだろうか。

そう考えて、私は『記念に』はトロフィーという意図はなくものすごく単純に『節目だから』ぐらいの意味でとっていいのではと思った。
そして、同時にロッキーという男の使う言葉の個性を通して彼の立体感というものを感じた。

彼の使う言葉は刃物のようで、受け手のことを考慮しない。そのことは彼のおもねらなさに通じているのではないだろうか。
日本語字幕を通してそれを感じることができ、その事を幸せだと思った。

(安全確保とはいえ拉致なのでロッキーの行動は全く褒められない。いざとなればロッキーを撃ち殺すことも可能だというリナの強さがあってようやくこっちも見ていられた)


※ふせったーに投稿した記事を一部改訂して再掲しました。


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