見出し画像

漫才 : M-1グランプリ2021を見て

皆さん、こんばんは。
翔平です。

今年も大盛り上がりで閉幕したM-1グランプリ

例年になく「本命不在」「無名の新星」「ランジャタイ」が話題となっていた本大会でしたが、始まってみれば非常に盛り上がった良い大会でしたね。

今回も前年同様個人的な感想を交えながら振り返りたいと思います。

①モグライダー

マセキ芸能所属の12年目。僕も数年前にチャップリン系の番組で1度見た程度で、あとは芝が寮生活してた芸人でアメトーークに出ていたことぐらいしか知りませんでした。その1度だけ見た時は、なかなかとっ散らかったボケを整理できてなくて見づらい漫才だな…と思った記憶がありましたが、今回一番驚いたのは間違いなくこのコンビでした。ネタの着眼点も斬新で、テンダラー型の漫才コントをしゃべくりに寄せたような型。ともしげ君の一生懸命なボケを間合い良くお互いのキャラを殺さずツッコんでいく芝君の技術が素晴らしかったです。本当に中盤以降なら650点程度出てもおかしくないくらい素晴らしい漫才でしたが…。トップなのが本当にもったいない…。間違いなく「史上最高クラスのトップバッター」だったと思います。


②ランジャタイ

今大会のまさに「飛び道具」。決勝進出が決まった瞬間から話題をさらってしまうほどのエンタメ性は凄いですよね。去年の敗者復活で披露していた欽ちゃんのネタに比べて見易さがありながら彼ららしさを崩さないネタ。国ちゃんのマイム能力が高すぎて奇天烈な発想のネタが本当に見えてくるようでした。モグライダーの温めた会場の空気をまた違う温め方をしてしまいましたが…。点数は伸びなかったですが、おそらく日本中が「でしょうね!」とはなったのは間違いないでしょう。敗退コメントも含めて爪痕しか残してないのは、今大会で彼らが誰よりも漫才師」よりも何より「お笑い芸人」だったと思います。


③ゆにばーす

帰ってきた元ファイナリスト。初決勝ではトップながら地に足の着いた漫才で実力を示しながら、慣れられた2年目に掴みでスベってガタガタに。そこからの数年ぶりの決勝だったので非常に楽しみにしていました。はらちゃんの掴みの速さはめちゃくちゃ良かったですし、形自体は変わらないですがボケとボケの間も小さく笑いの繋がりが良くなっていましたが…。突き抜けて面白いかと言われると難しい…。以前のゆにばーすに比べると遥かに面白かったですが、大会を勝ちに行くには強さが足りなかったかなと思いました。点数発表後の川瀬名人の表情が、会心の出来なのに何で…みたいな顔だったのはなかなか切なかったですね。


④ハライチ(敗者復活枠)

ラストイヤーに帰ってきたスーパールーキー。第一期終盤から復活初期の大会を支えてくれたコンビ。これだけ売れても最後の最後に戻ってきてくれたのは素直に嬉しかったです。ただ個人的には敗者復活枠で選ばれたことにはやや疑問があったため「あ、ハライチなんか…」と思ってしまいました。敗者復活とは違う、というかハライチらしさが微塵もない完全に岩井主体の動きの多すぎる漫才。今までに見たことない岩井が新鮮で、最後に好き放題してくれたのはこれまで貢献してくれた彼らの最後の舞台にはふさわしい時間だったんではないかと思います。敗退時にあの岩井が「M-1グランプリありがとう。楽しかった。」なんて言ってくれたのは本当にグッときましたね…。


⑤真空ジェシカ

大学お笑い出身の10年目。失礼ながら存じ上げていなかったので今回が初見です。近年注目の大きい大学お笑い出身らしくネタの構成はここまでで一番でした。小ボケも多くワードセンスも多彩かつシュールも兼ねており、伏線回収もしっかり。雰囲気全体として「上品かつ知的」だったなという印象でした。ただ爆発するような笑いがなく、80点くらいの大きさを安定して出すような漫才だったので突き抜けるような展開が欲しかったですね。


⑥オズワルド

3年連続の決勝で、安定しつつ進化も見せながら出番順にもやや恵まれず中位に甘んじていた実力派。今年も畠中のルックスに抜群にあったテーマチョイスから過去よりもブーストを早めにかけてきました。そこから緩急とワードチョイスを巧みに使いつつ熱量を落とさず最後まで駆け抜けていきました。今年に関しては畠中が抜群に良かった。設定の狂人キャラの演技が上手すぎました。指の伏線回収もめちゃくちゃ効いてましたね。まさに会心の一発。ここまでの最高得点でトップに。この時点では間違いなく優勝すると思ってました。

⑦ロングコートダディ

大阪吉本の実力派。個人的には数年前のキングオブコントのネタが全くはまらなかったのであまり好きなタイプじゃないのかな…と高くは期待していませんでしたが…心の底から謝罪したいと思いました。本当にも申し訳ありませんでした。本当に面白かったです。ユニークなネタ設定はさすが関西大喜利の雄たる堂前君の実力。肉うどんとかワゴンRとかチョイスが抜群でした。ただ今回はそのネタに応えうる程に兎が伸びてました。兎が喋りすぎるネタは微妙なイメージがあったので今回のようなネタが合ってるなと思いました。


⑧錦鯉

去年の活躍で完全にブレイクした中年の星。去年のパチンコネタよりも一般受けしやすい題材。やっぱり隆のツッコミが抜群に上手い。まさのりさんの突き抜けたバカバカしさがここまで受けるのもこのツッコミが上手すぎるからですよね。序盤はややエンジンのかかりが遅かったですが、中盤から終盤にかけて完全にブースト。理想的な畳みかけでフィニッシュ。満点の出来でした。


⑨インディアンス

3年連続決勝進出。昨年は史上初の敗者復活トップバッターでしたがしっかり走り切って、今回は順当に決勝へ。昨年まで見せていたアドリブ風しゃべくり型漫才からコント比重を増やしてきました。やっぱり田渕君のスピード感ありすぎの詰め込みボケを捌けるのはきむ君だけだなと。優勝した時のNON STYLEを彷彿とさせるようなスピード感とボケ数に加えてボケの被せも抜群に決まってました。過去と比しても遥かに面白くなっていて、納得の最終決戦進出でした。


⑩もも

今回最もコンビ歴の短い若手の新星。お互いの顔を交互に高いワードセンスでイジッていく新しいタイプのダブルボケシステム。4年でこのシステムを確立しているのは普通に凄いですし、みんなが「分かる分かる」と言いたくなるようなイジりワードのチョイスが抜群でした。ただ個人的には、本当に個人的には、序盤である程度上がった熱の動かし方がまだ上手くないというか、システム上掛け合いがワンパターンなテンポで進むので緩急が付けづらいとは思うんですがその辺りの変化があってもまた面白かったかなと思いました。

最終決戦①インディアンス

1本目の構成を引き続きつつスピード感を抑え目にボケひとつひとつをしっかり見せるようなネタで勝負。サザエさんとかもう中学生のボケは最高でした。駆け抜けるようなネタだけでなくこんなしっかり見せる漫才まで持っているとは…。本当に面白かったです。


最終決戦②錦鯉

ネタのチョイスがまさのりさんの年齢と絶妙にズレてるのにキャラクターには絶妙に合ってて良い。勢いだけじゃなくて森に帰ったからいいじゃねーか的な構成面の上手さも。バナナの被せで完全にブーストをかけて駆け抜けました。みんなが待ってましたと思うような展開で期待に応えて爆発を起こす空気の作り方は抜群でした。本当に面白かったです。


最終決戦③オズワルド

前2組が勢い強めのコンビだったので完全に雰囲気を持っていかれていたので不安でしたが…。どうしても1本目が素晴らしかっただけに物足りなさというか、一番漫才らしい漫才は間違いなくオズワルドでしたが、勝ち切れに行けませんでした。本当に面白かったですし、個人的には優勝して欲しかったですが…。完全に「ごめんね沙莉」でした。


余談

付け足しで完全余談ではありますが、今年の敗者復活戦はやや疑問の残る結果というか、個人的には男性ブランコ金属バットではないかと思っていました。ハライチも確かに面白かったんですが、明らかにこの2組が抜けていました。特に男性ブランコ何故落ちたのかと思ってしまうくらい素晴らしい漫才でした。こんな才能が今年日の目を見たのは本当に良かったと思いますし、今後が本当に楽しみでなりません。あとあまり話題にはなりませんが、去年今年ともっと見たいと思ったのはカベポスターでした。興味のある方は是非見てほしいです。

ということで個人的な大会総評でございました。
改めまして錦鯉優勝本当におめでとうございました!

今年も各コンビが色んな魅せ方で沸かしてくれて、本当にいい大会だったと思います。来年も期待を持って楽しみに待ちたいと思います。

それでは…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?