紅丑 : 愛すべき大阪近鉄バファローズの応援歌

皆さんこんばんは。翔平です。
前回投稿からかなり空いてしまいました…
今回投稿の記事とは別の記事を書いていたんですが長くなり過ぎて断念しまして、今回の投稿になります。(しかもこの記事も保存ミスで書ききった後に全消えしてしまったのでこれは2回目の執筆になってます…)

さて今回は、僕の1番の趣味であるプロ野球について書いていこうと思います。僕がプロ野球に興味を持ったのは14年前の中学生に上がる前、2006年の3月です。当時は父親が野球中継を見ていればつまらないからとチャンネルを変えるような子供でしたが、親とPCを買いに行った電気屋の大型テレビで放送されていた、第1回ワールドベースボールクラシック(WBC)の日本戦に目を奪われました。今まで真剣に見たことの無かった野球がこんなにも胸を熱くさせてくれるものだったなんて…と感動したのを今でも覚えています。それからは現在までに、通常の観戦からデータ分析など様々な角度からプロ野球、メジャーリーグを見てきました。とはいえ今回は数字を語ろう!みたいなテーマでは誰も読んでくれないと思うので、日本プロ野球独特の文化、鳴り物応援についてお話ししていきます。

野球の応援文化

世界のプロ野球の頂点であるメジャーリーグの応援スタイルは、まさに「観戦」です。ホットドックとビールを手に声援を送る。時には選手の名前を叫んでみたりホームランや守備のファインプレーに絶叫して賞賛の拍手を送ったり、相手チームにブーイングしたりと様々ですが、テレビ中継に聞こえてくるのは「ザワザワ」みたいな感じです。対して日本プロ野球の応援スタイル。もちろんメジャーみたいにゆったり観戦する方も多いですが、なんといっても「鳴り物応援」です。テレビ中継や実際の球場観戦でご覧になられた方もいられるとは思いますが、外野スタンドでトランペットやドラムの演奏に合わせて応援歌を歌うことで選手にエールを送るのが日本プロ野球の応援スタイルです。この応援作法は高校野球の吹奏楽応援や韓国・台湾などのアジア圏のプロ野球リーグにも浸透しています。メジャースタイルでゆったり応援するのが好きな方も多いですが、僕は声を枯らして歌に気持ちを込め、時にはジャンプしたり隣の人たちと肩を組んだりウェーブしたりタオルを振り回したり…と知らない人とでも同じチームを一体となって応援できる日本の応援スタイルが大好きです。

そんな鳴り物応援ですが、上記したような「動き」が球団によって様々です。ジャンプ応援のロッテ、スクワット応援の広島、男女別応援の日本ハムなど…。色々な応援スタイルを根幹で決めるのは各球団ごと、各選手ごとで作られる「応援歌」です。応援歌はその選手の特徴を端的に表して印象を決めるといっても過言ではありません。各球団ごとの公式(または私設)応援団によって作られますが、普通の楽曲をアレンジしたものから全て作詞作曲したものまで球団によって特徴があって非常に面白いです。今回からは各球団ごとの応援歌の特徴と僕の主観で決めたおすすめ応援歌を紹介していきたいと思います。

近鉄バファローズ

さて初回となる今回紹介するのは大阪近鉄バファローズです。

球団の経営難で2004年末にオリックスブルーウェーブと合併する形で消滅してしまった球団です。名前の通り大阪ドームを本拠地として「いてまえ打線」と呼ばれた全員がフルスイングしてくる豪快な野球でパ・リーグを盛り上げてくれたチームです。なぜ今は無い球団を紹介するかというと、近鉄応援団の応援スキルが日本一であること、そしてそれが後継球団であるオリックスバファローズでも見られるからです。近鉄の応援のメインを務めていたのが「大阪私設應援團」、その中でも精鋭部隊とされるのが現在オリックスの応援団のメインである「大阪紅牛會(おおさかこうぎゅうかい)」です。初代団長の和田益典さんによって発足され、現在は2代目団長の谷口一雄さんによって運営されています。球場では赤に大阪紅牛會の名前の乗った法被を着ているのが特徴です。基本的には大阪を中心とした西日本での応援を行っていて、関東圏に遠征を行うこともあります。

そんな大阪紅牛會ですが、なんといっても高い演奏力とセンスが光る作詞作曲力が魅力です。演奏力については言葉で説明するより以下の動画を見てもらったほうが早いと思います。

いかがでしょうか?僕も幼少期に少々音楽をかじった程度のほぼ素人ですが、そんな素人にも演奏が上手いのは一目で分かります。ちなみに上3つの動画でドラムとトランペットを演奏しているのが現団長の谷口さんです。特にドラムは圧巻ですね。力入りすぎて太鼓が浮いちゃってます。全員が谷口さんほどの腕ではないですが、総合的な団員のスキルは球界一です。

演奏力の高さを見ていただいたところで次は作曲センスについてですが、これも実際の応援歌を聞いていただきたいと思います。ということでここからは僕の主観で決めた近鉄のおすすめ名応援歌5選を紹介します。なお球団消滅から15年以上経っているのでオリックスバファローズにて復刻応援された動画で紹介しています。

我らが猛牛核弾頭 大村直之

(前奏) 磨き上げられたその脚で 踏み出せ核弾頭

駆け抜けろ速く 勝利への道を

スピード上げて走り出せ ホームベース目指して

(かっ飛ばせー 大村 (相手チーム名)倒せー オー) (近鉄版)

(大村 大村 かっ飛ばせー 大村) (オリックス版)

まず最初に紹介するのは近鉄の絶対的一番打者、大村直之選手です。
近鉄最後のリーグ優勝時の一番打者で、ホームランあり、俊足を生かした盗塁ありと万能の打者として近鉄のトップバッターを務めていました。そんな大村選手の応援歌は近鉄史上最高傑作と呼ばれるほど人気の高い応援歌です。コンプライアンスの厳しい今日の応援歌ではなかなか使用できない「核弾頭」なるワードを用いた勢いのある前奏から、どことなく浪速の匂い漂うメロディ。そして大村選手を端的に表した歌詞と、全てのプロ野球ファンが良い曲だと認める応援歌になっています。ちなみにこの大村選手は近鉄→ソフトバンク→オリックスと移籍していくんですが、その所属先全てでこの応援歌が使用されています。(普通移籍すると旧所属で使用された応援歌は著作権などの絡みで使用されることはないです。所属が変わっても演奏したくなるほど名曲…!!)

鋭撃巧打 磯部公一

心熱く燃やせ(今だ!) 力込めて飛ばせ

敵を(叩け!) 強打(かませ!) 勝利のために(そーれそれそれ!)

(かっ飛ばせー 磯部 (相手チーム名)倒せー オー)

近鉄最後の優勝に5番打者として貢献、そして近鉄最後の選手会長として球団消滅を回避すべく署名活動など最後まで近鉄のために尽力してくれた熱い男の磯部選手。「鋭撃巧打」のキャッチフレーズの通り、小さい身体で鋭い打球を放つその勇ましく熱い姿をそのまま表したようなメロディと歌詞になっています。かっこ部分をみんなで叫ぶのも醍醐味の一つとなっていました。

いてまえ大将 金村義明

吠えろ炎燃やして 行くぞこの一番

砕け眼下の敵を 一気にとどめだ若大将

(かっ飛ばせー 金村 (相手チーム名)倒せー オー)

報徳学園のエース兼4番打者として夏の甲子園で優勝、鳴り物入りで近鉄にドラフト1位で入団すると、いてまえ打線の中軸を長きに渡って務め、引退後はワイドショーやバラエティなどで持ち前のトーク力を活かしてプロ野球の裏話をおもしろおかしく話してくれている金村さん。最近では私生活の暴飲暴食がたたって、ゴールデンのバラエティで余命宣告されて話題になっていました。そんな金村さんの応援歌はここまでとは一風変わったスローテンポの名曲です。ドラフトの同期にあたる巨人の原辰徳選手(現巨人軍監督)のキャッチコピー「若大将」を意識してか、歌詞に「若大将」入っています。本人も現役当時は豪快なキャラクターと原さんと同期入団ということもあって「いてまえ大将」と呼ばれていたのでピッタリの応援歌ですね。べしゃりは面白いので長生きしてもっと面白い裏話をしてもらいたいですね。

名脇役の苦労人 星野おさむ

積み重ねたものは たゆまぬ努力の極み

直向きな精神で しぶとく食らいつけ

(かっ飛ばせー 星野 (相手チーム名)倒せー オー)

阪神をクビになり、入団テストを受けて近鉄入り。そこから這い上がってレギュラークラスにまでなった苦労人星野選手。近鉄として最後の試合の最後の打者になったことでも有名です。そんな並大抵の努力では這い上がれない苦難の道のりを駆け上がった星野選手にピッタリな、スローながらもアツい応援歌です。「たゆまぬ努力の極み」なんていうワードチョイスがいいですよね。そしてこの曲、16年の時を経てオリックスの伏見寅威選手に引き継がれました。アキレス腱断裂の大怪我から復活した伏見選手にもピッタリですね。世間がこんな状況で鳴り物応援ができないので、早く収束して演奏されているところが聞きたいですね。

驚弾炸裂 中村紀洋

我らの期待を そのバットに乗せて

ミラクルアーチを 決めろ紀洋

(かっ飛ばせー 紀洋 (相手チーム名)倒せー オー)

近鉄といえばこの人と言っても過言ではない。近鉄の主砲としていてまえ打線の4番を担い、その豪快なフルスイングでファンを魅了したホームランアーティスト中村紀洋。近鉄が消滅した後の現役後半には渡り鳥のように複数の球団でプレーしましたが、やはり近鉄のユニフォームが、カラーが、彼には一番よく似合います。そんなノリさんの応援歌は、4番の威圧感を感じさせるような重々しいメロディとなっており、打ってくれそう感が滲み出ています。また歌詞にあるように、彼はここぞの場面での「ミラクルアーチ」が本当に多いです。優勝した2001年に西武との天王山で松坂大輔から打ったサヨナラホームランなんかは特に印象的です。

以上が僕のおすすめする近鉄応援歌5選になります。いかがでしたでしょうか?今回は完全に独断と偏見で選んでいるので、もちろんここで紹介している以外にも世間的によく言われる名曲がたくさんありますので、もし興味のある方は是非調べてみてください。

おまけ さくらんぼ

鋭くレフト前 シャープにライト前

コンパクトにセンター前 巧打見せつけろ

(○○ ○○ かっ飛ばせー ○○)

おまけでこんな曲もあるよ、というのを1曲。これはスーパーサブの選手に代々受け継がれている曲なんですが、最後の2節のメロディが大塚愛のさくらんぼのサビの最後にそのまんまというぐらい似ています。おかげでこの応援歌もファンからはさくらんぼと呼ばれています。ちなみにさくらんぼのリリースが2004年ですが、この応援歌は1990年代から使用されているので、パクリではなく、なんならこちらが元祖といってもいいでしょう。こういった発見もあるので、応援歌は面白いですよ。

それでは…

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