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チームのために、仲間のために、 ここで倒れるわけにはいかない...

“立つんだ!”
“最後までやるんだ”

自分自身に言い聞かせる選手たち。

“まだ、5回か...”

観客席にいても意識がもうろうとする暑さ。
グラウンドの上はどんなに過酷なんでしょうか。

***

埼玉県 熊谷 41.1度

日本国内最高の気温を更新したそうです。
熱中症への対策が求められています。

注意すべき指標はWBGT

警戒する指標は気温ではなくWBGTと呼ばれる暑さ指数です。
環境省熱中症予防のために情報を公開している指標です。
気温だけでは危険を予測できない場合があるのです。

熊谷で気温41.1度を計測した頃のWBGT指数は32.1度でした。
これは運動は原則中止とされる31度を大きく超える数値です。

同日、同時間帯(2018年7月23日14時)の WBGTランキングを調べて見ると

1位:高知県 江川崎 35.7度
2位:広島県 府中 34.8度
3位:兵庫県 一宮、山口県 広瀬 34.7度
5位:大分県 犬飼 34.5度
6位:高知県 本山 34.4度
7位:高知県 佐賀 34.3度
8位:熊本県 菊池 34.2度
9位:岡山県 高梁、長崎県 島原 34.1度 

となっていました。
気温だけで判断すると危険ということがわかります。

31度というのは WBGT指標 での最高危険レベルです。
それを遙かに超えている地域が多くなっているのです。
熱中症に対する危険は、その下のレベルにもあります。

31度以上 :運動は原則中止
特別の場合以外は運動を中止する。
特に子どもの場合は中止すべき
28度〜31度:厳重警戒(激しい運動は中止)
激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。運動する場合には、頻繁に休息をとり水分・塩分の補給を行う。体力の低い人、暑さになれていない人は運動中止。
25度〜28度:警戒(積極的に休息)
積極的に休息をとり適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。
21度〜25度:注意(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。

引用:環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは? http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php

自分の地域のWBGT指数は以下のサイトで調べることができます。

環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数
http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php

この暑い季節、運動に関わる方や団体は毎日 要チェックです。

これらを見る限り、全国的に熱中症による死亡事故が発生する可能性があるということになります。
そして北海道、東北の一部を除くと、日中は全国的に厳重警戒、つまり激しい運動は中止のエリアに属していることになりそうです。

ところが全国的に子供たちは、部活などの激しい運動に取り組んでいるようなのです。

高校野球 第100回 記念大会

高校野球の地方予選も終盤を迎えています。
激しい運動が中止であるはずの各地で熱い戦いが繰り広げられています。

高校野球を中止にした方が良いという話を書きたいわけではありません。
これまで厳しい練習をしてきた子どもたちにとって、それは望むことではないのは明らかです。

何か良い方法は無いのか?考えるべきではないのかな?と思うのです。
この暑さは今年に始まったことではないはずです。

2013年にも同様に熱い夏だったようです。
甲府市では気温40.7度を記録したそうです。

それから5年。
何か変わったのでしょうか?
画期的な対策は見つかったのでしょうか?

あえて誤解を含ませるメディア

夏の全国高校野球大会を主催する朝日新聞社と日本高校野球連盟は、地方大会の運営に対し熱中症対策への呼びかけをしました。

「熱中症への注意を」と題した、万全の対策のお願いです。
そこには 2013年の山梨大会の取り組みが紹介されていました。

環境省のWBGT指標を試合開始時の指針とし対策を取るという内容の記載があります。

しかし、その内容が環境省の対策基準と大きくズレているのです。

運営側の方針が異なるのであれば、環境省の対策基準も掲載した上で、大会運営側の方針を記載するべきです。

そこには環境省の対策基準は書かれていません
これだけを見れば環境省の基準に沿っているので問題が無いかのような誤解が生まれます。

環境省の基準ではWBGT 21度を超えると熱中症による死亡事故が発生する可能性を指摘しています。WBGT 28度を超える場合は激しい運動は中止を求めています。

一方、大会運営側が紹介した取り組みは、WBGT 28度の場合、

・攻守交代の際、打者及び走者はベンチまで戻って水分補給
・選手が十分な水分補給ができるまではグラウンドに出ることを促さない

温度差を感じませんか?

そして、環境省が原則運動中止としている WBGT 31度以上の場合、

・5回終了後のグラウンド整備に加え、7回終了時に5分間試合を中断し水分補給の時間を設ける
・審判員もこの間は審判控室に入り休養や水分補給をする

危機感にズレがありませんか?
これは環境省の基準でWBGT 25度までの対応レベルではないでしょうか?

グラウンドの子どもたちは、倒れたくても倒れることができない状況だと思われます。
死んでも倒れないつもりで立っているかもしれません。

チームのために。
仲間のために。

その思いを何かのために利用していませんか?

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