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【応援小咄】マンモスと壁画

 原始時代、人々はマンモスを狩って生活をしていた。しかしある村に壁画を描くことがやたらに上手い男がいた。男の描く壁画は素晴らしいもので、村では評判となり、マンモス狩りの合間に男は洞窟の壁や天井を絵で埋めていった。そんなある日、村長が男にこう言った。

「オマエ、モウ、マンモス、狩ランデエエゾ」
「はい?どういうことですか?」
「オマエノ描ク絵、スバラシイ。メッチャ上手イ」
「ありがとうございます」
「マンモス狩リ、行カンデエエカラ、ズット描ケ。一年デ100ノ絵ヲ描ケ。ソシタラ、狩リニ行カンデモ、マンモスノ肉、ヤルカラ」
「…嬉しいですけど、そういうんじゃないんですよね」
「ナゼダ?北ノ村ニモ、南ノ村ニモ、絵ヲ描イテ暮ラス奴、イルゾ」
「絵はあくまで趣味なんで。あ、でも専門に描いてる人はめっちゃリスペクトしてますよ!」
「シュミ?リスペクト?…ナンヤソレ?」
「あ、時間なんで、マンモス狩り行ってきまーす。絵の続きは帰ってから描きますんで」
「ナンナンヤ、アイツ…」

 男はマンモス狩りに行ってもそれはそれで大いに活躍したし、帰ってきたら帰ってきたで素晴らしい壁画を描き続けた。村の者は皆、彼の才能と努力にとても感心したが、その正体については、誰にもわからなかった。

「ナンナンヤ、アイツ…」


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