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化学エネルギー

 まず,エンタルピーはエネルギーとは別の何か,と考えるのはやめましょう。結論から言うと、高校化学ではエンタルピーを化学エネルギーとほぼ同一視しています。化学エネルギーは物質の持っている「仕事をする能力」,すなわちエネルギーのことですから,エンタルピーもエネルギーです。

 そして,化学反応によって物質の化学エネルギーが変化すると反応熱という熱エネルギーに変換される,というのが,高校理科に基づく理解なのかなと思います。

 学習指導要領では,

化学反応と熱や光に関する実験などを行い,化学反応における熱及び光の発生や吸収は,反応の前後における物質のもつ化学エネルギーの差から生じることを理解すること。

高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編理数編

と書かれています。高校生にはエンタルピーの定義などの熱力学の細かい理論よりも,エンタルピーという名の化学エネルギーの差が熱や光となって出入りするのだということを,実験を通して体験的に理解してもらえば良いのかなと思いました。

とはいえ,いろいろとモヤモヤすることはあります。

教科書の内容は3つの用語を以下のような感じで捉えています。

エンタルピーの変化 = 化学エネルギーの変化 = 反応熱

ここで,以下のような2つの疑問が生じました。

  • なぜ化学エネルギーをエンタルピーという言葉に言い換えるのか?

  • 化学エネルギーと反応熱はどのような関係にあるのか?

 これについて,今,いろいろ考えているところなのですが,まだ,まとまっていません。エンタルピーという言葉の導入については「国際標準に日本も合わせることにしたから」とか「高大接続のため」という話も聞いています。
 ですが,そのようなことは高校生にとっては大人の事情であって,どうでも良いことです。高校生はエンタルピーをどのように理解すれば良いのだろうか?そして,その理解は大学生と同じであるべきなのかどうか,といったことが私は気になっています。

 とりあえず,次から大学で学ぶエンタルピーについて考えてみようと思います。

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