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努力を「有効な努力」にするために必要な「量質転化」と「経験学習」の話


美化してしまいがちですが、やはり「ムダな努力」というものは存在してしまいます。がんばった割に報われなかったり、時間をかけている割には上達しなかったり。「努力はムダにならない」と思いたいものの、これはなかなか難しい問題です。

一方でやはり、努力が成果に結びつき報われることもあります。今日は「有効な努力」「いいがんばりかた」について、「量質転化」「経験学習」というキーワードで説明します。


量質転化

初めて聞く方もいるかも知れませんが、「量質転化」という考え方があります。

ビジネスシーンにおいては大体「圧倒的な量をこなすことで、いずれ質の向上につながっていく」「まずはがんがん行動しないと成長しない」といった意味で使われていることが多いです。

一理あるようですが、とはいえ同じように量をこなしていてもドンドン成長・上達していく人と、そうでない人があります。この違いは何でしょうか?何が両者を分けているのでしょうか。


質量転化が起きる条件

量質転化が成立するには、以下の2つのどちらかが必要になります。いわゆる「経験学習」と呼ばれるものです。

■ 条件① 結果を元に本人が内省し行動改善できる
■ 条件② 上司・周囲から適切なフィードバックが得られる
■ 条件③ 場数がある・打席が多い・機会が得られやすい

特に①②がない状態で量をこなしても「ヘタな素振りが上達」して疲弊するだけです。体を鍛えているためにやっているはずの筋トレが、正しい方法でないばかりに体を痛めるだけになっていることもあります。

「まずは行動、がんばるぞ!」「がんばっている自分が好き!」とアドレナリンが出ているうちはいいのですが、ふと疲れた時に「ぜんぜんベースができてない」「あの時間は何だったんだろう」となってしまうのではないでしょうか。

そのため、
■ 行動の結果をちゃんと見ること
■ 結果をもとに観察・内省・思考すること
■ 周囲が支援してくれること(見てくれる、言ってくれる)

そして願わくば
■周囲が優秀であること(フィードバックが的確、変な力学がない)

などが努力を上達に活かす上で重要になります。


経験学習

この「行動から学びを得ていく」ことは「経験学習」と呼ばれていて、コルブという学者さんが「経験学習モデル」というかたちで整理・提唱したものです。

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↑上の図だと難しいので、もう少し噛み砕くと↓こうなります。

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経験する

人は大なり小なりさまざまな経験をしますが、経験した「だけ」では学びの効果は得られづらいものです。経験学習のサイクルが回ることで経験が活かされやすくなります。

そのため、多くの場数が踏める組織においては、経験学習のサイクルをちゃんと回せるかどうかがメンバーの成長を大きく左右します(例えば、場数の宝庫であるスタートアップなどでは、メキメキと頭角を現す人と、疲弊して去っていってしまう人に分かれやすくなります)。

振り返る

サイクルを回すためにまず必要なのが「振り返り」です。自分がやっていることは果たして効果的なのか? なぜ上手くいったのか? そもそも◯◯をうまく進めるためには何が必要なのか? この結果から言えそうなことは何か? など、日常的に自問自答しながら、ちゃんと考えられる人は成長や上達が速いのではないでしょうか。

ここでつまづきがちなのは、

■目先の業務が忙しく、振り返りの時間を持てない(いつまでたっても重要度が緊急度に負けている

■「走りながら考える」と言いつつも大して考えていない(走りながら考えるのは大切ですが、これは同時に考えない人の言い訳に使われがちな言葉でもあります)

■振り返る軸が分からず、自分で抱え込んでしまい内省がフリーズしている(周囲に頼らない、周囲の支援が得られづらい、周囲が頼りない)

というパターンです。

そのため、経験学習を回すには

忙しくても振り返りの時間をとる(振り返りの優先順位を高くする。忙しいというより、単に振り返ることの重要度を甘く見ていることが多い)

周囲の人に頼る(頼れる人が近くにいない場合は探す。社内を探しても厳しいようであれば、成長を求めて場を変えてみるのも、成長観点では効果的かもしれません)

巨人の肩に乗る(先人の教えに学ぶという意味。例えば、本を読んで「あぁ、こういう枠組みで考えると分かりやすいかも」と学んでいく方法)

といったことが有効になるでしょう。


学びを得る

「学びを得る」というと難しく聞こえるかもしれませんが、「分かったこと」「気づいたこと」は何か?ということです。

学びを定着させるためには、(言語化できるようなものであれば)これらを書き留めておき、定期的に振り返ると効果的なように思えます。

たとえば「重要性や必要性に気づいていないうちに、研修に強制的に参加してもらっても吸収が弱くなりがちなので、研修は「必須とはしない」もしくは「参加前に上長に動機づけをしてもらう」のが有効かも」といった感じで良いでしょう。


次の行動を決める

上記の「学び」はあくまでも仮説ですので「仮説を元に実験・実践してみるぞ!」「次はこうしてみようかな!」とするところまでがサイクルです。

このフェーズにおいても、場数が多く、すぐに経験できる・より多くの経験を重ねられる環境というのは、成長していく上で有利です(決まったことを同じやり方でやり続けることを求められる環境だと成長観点では不利です)。つまりは量質転化しやすくなります。


気力や意欲は有限のリソースです。この貴重な「努力」という資源を少しでも有効活用できるようにするために、今回の経験学習モデルは定期的に思い出していただけると良いかもしれません。

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