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あるべき世界を”創り直す”為の物語 -AZKi 2nd Album「Re:Creating world」全曲レビュー-

何気ない日常が未曾有の危機によって壊れ、人々の生き方があっという間に変わってしまった2020年も、気付けばあと1ヶ月を切った。
イベントやライブはオンライン開催が主体となり、リアル会場での開催も様々な制限を設けてようやく実現出来る様にはなったものの、まだまだ厳しい状況が続いている。

その只中、12月1日に発売されたAZKiの2ndアルバム「Re:Creating world」。
”0に戻った世界を、ここから再創造する”、その思いが込められた全13曲を、(多少の概略化を含め)レビューしていく。

クロスフェードデモはこちらから。

アルバム購入はこちらから。


Track.01 運命の在処

作詞 :yuiko
作編曲:小高光太郎、矢野達也

アルバムの1曲目を飾る楽曲にして、アルバムタイトルに相応しい壮大さを持つ曲です。
クロスフェードデモでワンフレーズだけ聴いてた印象としても、これロボットアニメとかゲームの主題歌に実は起用してもらってます!とか言われても納得できるくらいイメージが沸いた曲なんですよね…

しっかり聴いてると歌詞のメッセージ性も大変深くて、ライナーノーツで作詞を担当されたyuikoさんもツラニミズさんも挙げてる『傷ついたままの足で歩くなら その跡はいつか道標になる』って歌詞がその通り過ぎるなぁ、と思わずため息出ちゃったくらいです。

先の見えなくなった未来に対しての希望だったり祈りだったり、そういった意味合いが非常に全面に押し出されつつも、生きていくパワーを自然と貰える曲だなぁ、と思いました。


Track.02 Eternity Blight

作詞 :SHiKi
作編曲:HAMA

AZKi流I've sound。これしか言える事ないなってくらいにはこの言葉がぴったりな曲です。
某峠をスポーツカーでドリフトする作品とかの影響でトランスミュージックも好きだった私としては、HAMAさんが関わってる時点でめちゃつよじゃん…ってなりました。

実のところ、恥ずかしながらI've soundさん自体を(どこかしらで聴いている可能性は捨てきれないにしろ)知らなかったオタクだったにも関わらず、なんかすげーそれっぽい!いい!って4thライブの時に思っちゃいました。

これもライナーノーツを見ながら聴くとまた別の側面が見えてきていいんじゃないかな?と思います。


Track.03 petal dance

作詞・作編曲:rionos
ギター   :和賀裕希(fhána)
バイオリン :岩嵜壮志
ドラム   :田中航
コーラス  :rionos
MIX     :rionos,kain

めちゃくちゃ綺麗。これしか言えない。
それくらいには情景も雰囲気も完璧な曲です。

ライナーノーツでやっと気付いたくらいには浅い触れ方しかしてなかったんだなー、と甘さを自覚したんですが、この曲を作ったのは「さよならの朝に約束の花をかざろう」の主題歌「ウィアートル」を担当されたrionosさんです。
通りで曲自体が綺麗なわけだ…と素直に感服しました。それくらいには好きです。


Track.04 ローテート・リピーテッド

作詞・作曲  :AZKi
編曲     :田口囁一
ギター・ベース:ベントラーカオル
ミックス   :坂地学(hina studio)

「without U」収録の「ちいさな心が決めたこと」以来1年振りになる、AZKiちゃんが作詞作曲を担当した楽曲です。

曲のストーリーもさながら、AZKiちゃんは作詞のセンスも輝いてるなぁ…としみじみ思っているところがあります。
「ちいさな心が決めたこと」もそうなんですが、SorAZ(同ホロライブ所属、ときのそらちゃんとのユニット)の最新曲「紅藍クロニクル」も歌詞から得られる世界観がバッチリ見えてくるんですね。

”曲の作詞は言葉遊び”、なんて事を聞いたことがありますが、言い回しだったりメロディに合わせた言葉だったりと考える事はたくさんあるはずなのに、ここまでしっかり作れるのは本当に凄いと思うし、方向性としては別としても伝えられる言葉を並べられるくらいにはなりたいなぁ、と自分の文章力の無さを悔やむ日々です。


Track.05 止まない雨

作詞・作編曲:MANYO
ギター   :吉田穣
ベース   :蛇石徹
ピアノ   :あいあい
MIX     :坂地学

私がクロスフェードデモの時に気になった曲2つ目です。
別の方向性で泣かせてくる曲、という第一印象がデカいです。

こことしては詳しく語るべきではないのでサクッと言い切りますが、学生時代色々あった弊害(言い方悪いかも)で失恋ソングを好んで聴くようになった時期が発生して以降、どうも歌詞に共感出来るようになってしまった節がありまして、この曲も結構刺さりました。
恋愛経験皆無なのになんでですかね。妄想癖強いからですかね。

同時視聴配信の時のコメントにあったんですが、”間奏のギターソロが泣いてる”ってコメントした人は天才だなと。本当に泣いてるもんこれ。
時期的にはあまり雨になる日が所によっては少ないとは思いますが、「Starry Regrets」と一緒に雨の日にしっとり聴きたい曲です。


Track.06 青い夢

作詞・作編曲・MIX:瀬名航

床です。

そらちゃんのアルバムレビューでもちらっと書いたんですが、瀬名さんの曲のバリエーションの深さには真面目に感服するばかりです。
ディレクションの違いもあるかと思うんですが、AZKiちゃんに提供している曲はそらちゃんとは双極を成していると勝手ながら思っています。

瀬名さんが歌詞に込めるメッセージ性と、AZKiちゃんが歌に込めるメッセージ。この2つが合わさってまさに最強にして最凶になる。
感情は爆裂するしみんな床になる。この先これをさらに上回ってくる曲が出てくるのか…?と思うくらいにはありとあらゆる方向から刺される曲です。


Track.07 光

作詞     :池真衣
作編曲・ギター:アシノ

是非ともMVも見てくれ…ってなるくらい世界観マッチの曲です。

仮想言語かつギター1本でここまで完成させられるのはもう天才のそれなのでは…?と思いました。とにかくヤバい。
MV公開とデジタル配信が始まってしばらくは一部開拓者で歌詞考察班が組まれていたのはいい思い出ですね…

ライナーノーツでビジュアルのことについて触れられてるところもめちゃくちゃ驚きました。その上でフルで聴くとガラッと変わりますよ。


Track.08 タイムカプセル

作詞・作編曲:Batsu(USAGI Production)

発売日が決定した週に最速で同USAGI ProductionのTAMUさんがDJで流した事でおなじみ(?)の曲です。

作詞・作編曲はUSAGI Production所属のBatsuさん。既存曲では「Midnight Song」と「Starry Regrets」のRemixを担当されてます。DJも上手いし歌も上手い。

ゆったりしたハウスサウンドながら、今までを思い返してその頃の情景に浸れる、優しく寄り添ってくれるような曲ですね。
振り返りたくない過去もあるかもしれないけれど、楽しかった思い出をタイムカプセルに詰め込んで未来にまた見返すのも良いもんです。
そういう意味では、曲の一つ一つも未来に残していける”タイムカプセル”なんじゃないかなぁ、と。


Track.09 Intersection

作詞・作編曲:lapix

クラブで流れたら自然と身体が動く、まさしくダンスミュージックな曲です。

とにかく音が気持ちいい。AZKiちゃんの歌声にしっかりマッチしてるし、メロ毎の上がり下がりも聴いてて心地いいです。
ラップパートも格好いいAZKiちゃんを全開で引き出してくれてて全部通していい曲ですね。

いい意味でも悪い意味でも、お酒が進む曲。これに尽きます。


Track.10 Take me to Heaven

作詞 :七条レタス
作編曲:D.watt(USAGI Production)

阪急MV第2弾(第1弾はMidnight Song)。
音楽を止められない人の心情をこれでもかと詰め込んだ曲です。

人生に音楽って必要?と思う人もまあ少なからずいるとは思いますが、気付けば音楽と一緒に生きてきた身としては歌詞には理解しかないし、なんなら死ぬ間際に流れてる曲はAZKiちゃんであってほしいと思ってます。

活動2周年ライブの時は、青い夢からの繋ぎとして来たので『床から天国に行った』と言った覚えがあります。つまりそういう事です。

こちらもクラブで揺れながら酒をあおりつつ聴きたい曲ですね。


Track.11 猫ならばいける

作詞・作編曲:ぼっちぼろまる
MIX     :オサム

みんな猫にな~れ。

コールが破茶滅茶に楽しい曲です。ぼろまるさんやっぱり天才。
ライナーノーツでツラニミズさんがディレクションについて触れてますが、ただ一言『なるほど!』ってなりました。

AZKiちゃんの可愛い面をがっつり引き出しつつ、Vの世界を猫になぞらえて作られてるのがまた凄い。おまけにAZKiちゃんの要素もしっかり入っているという贅沢仕様。

来年こそは現地で猫になりたいです。体力消耗とんでもないけど。


Track.12 発光体ソーラーサイクル

作詞・作編曲         :MOSAIC.WAV
シンセサイザー・プログラミング:柏森進(MOSAIC.WAV)
コーラス           :み~こ(MOSAIC.WAV)
MIX              :柏森進(MOSAIC.WAV)

制作陣を見た時に『こんな世界線あり得たのか…』と率直に思ってしまった曲です。

まさかまさかのMOSAIC.WAVさん担当の楽曲。
古のオタク大歓喜過ぎてみんな死んでしまうのでは?と思うくらいそのまんまなんですよね、音も歌詞も。
こんなにポップで楽しい曲なのに歌詞はめちゃくちゃ深いことを言ってます。しっかり聴くことをおすすめします。マジで。

それに加えてこの曲を”継承”と言ってくれていることも開拓者からすると嬉しい限りですね。新時代のAKIBA POPはAZKiちゃんにお任せあれ。


Track.13 in this world

作詞・作編曲:流歌

AZKiストーリー楽曲第3章、その始まりを告げる曲です。

何度聴いても良すぎるし、なんならクラブで流れた瞬間崩れ落ちる自身があります。というか直近で流れて崩れ落ちました。
3部作のどれも歌詞が良いし、”今”をド直球で表現しているし、何よりもその時々のAZKiちゃんがしっかり表現されてるんですよね。

創り上げた世界が崩れても”世界をもう一度創る”、その意志をしかと感じ取れる。アルバムの終わりにも、”再創造”の始まりにも相応しい楽曲になってます。


総評

あるべきだった形から逸脱して、すっかりつまらなくなってしまった世界を改めて創り直す。その為に歌い続けるAZKiちゃんの”再創造”の物語が、このアルバムには詰まっていると思います。

特にこのアルバムをデジタルで買った人には、是非ともCD盤を手に取ってもらいたいです。
一番大事なことが、大切な約束事が、そこに書かれています。

その約束を守る為に、混沌としてしまった世界を生き抜きましょう。

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