ゆめみがち

ジェイン・オースティン著、中野康司訳(2007)「分別と多感」ちくま文庫
を読みました。

わたしはどうしてもオースティンを読むと恋愛したい!結婚したい!だれかと一緒にしあわせになりたい!という思考に囚われてしまいます…。長編小説ですが、目の前に絵が浮かび、ドラマを見ているように読めるところが魅力です。

分別のある姉のエリナーと多感な妹マリアン。きっとわたしが似ているのはエリナーのほうで、マリアンが感情のままに行動し発言する様子を見ては、もう少し大人にならんかいとつっこんでいました。それでも、いやだからこそなのでしょうか、マリアンはとても魅力的な女性にうつるのです。自分に正直で感受性が豊かで、姉とは正反対なのにその姉とのあいだには変わらぬ愛があるところ。そういうところに憧れてしまうのですね。

読み進めながら、このひととこのひとが一緒になったらお似合いなのではないか、しあわせになれるのではないか、と想像していたのですが、見事に期待は裏切られ、まあそうよね…という結末に落ち着きました。
最後はややかけあしで、マリアンは結局どういう心持なのかとか、ほかの姉妹はどうしているのかとか、気になるところはありましたが、まっすぐ、やさしいこころのひとたちがしあわせになれたのではないかと思うとあたたかいきもちになります。

ふだんは結婚なぞせずともしあわせになれるし、特定のひとと一つ屋根の下で暮らすよろこびより一人の自由をゆらゆら楽しんでいたいと考えているのに、すてきな誰かと出会ってみたい、と思わせられる一冊でした。

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