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おじさん、次男のセンスにうなる、の巻

2021年12月19日(日)、今日は我が家の、
将来の夢 〜ことおじ〜」(←ご参照)の次男(中2)くんの誕生日。

ということで、隣家に住む彼の祖父(俺の義父=妻の父親)から、「マンガでもなんでも好きな本を買いなさい」と言われた、とのことで、俺が街まで、本を買うのに付き合うことになった。

次男に「買い物付き合うから、パパが前から欲しかった本も、お前が買う何冊かの本に混ぜてくんない?じいじには内緒で」と言ったら、即却下された。

で、「急行は人が多すぎるから、各停で行こう」とか「今の時間は、お昼の人出のピークだから少し時間をずらそう」などと、感染を気にしてやたらと細かいことを言うくせに、電車に座ったとたん、足をおっ広げて伸ばして座るもんだから、
「おい!もっと足を畳め!」と久しぶりに真顔で叱ってみた。心の中で「今のは我ながら父親っぽい叱り方だったなぁ、シメシメ」とほくそ笑んだ。「あのお父さん、しつけがしっかりしていらっしゃるわ」と、妙齢のママ達に評価されると信じて。

そんなこんなで、街に着き、本を買う前にメシを、ということで、適当にラーメン屋に入ったら店内に行列…。

次男が「これなら、先にパパの買い物(田舎に住む俺の父親84歳、のための卓球のラケット)を済ませてから戻ってきた方がいいよ」というので、目星をつけておいた近くのスポーツ用品店に行って、いざ、84歳のおじいちゃんのための卓球ラケットを購入した。この話もこの話で、長くなるので、簡単に。
84歳の父が田舎で、平均年齢65歳オーバーの混合(男女)卓球クラブに入ってハマってしまい、毎週、体育館にいそいそと通っては、若い(60〜70代の)おばさま達、おじさま達とランダムにペアを組んでもらって1日に4〜5試合やるんだそうである。若い頃から負けず嫌いで研究好きの父のこと、毎回の試合のスコアと勝敗を記録して、自分の負けパターン、弱点を研究。先日、俺に、筆ペンで「ロゼナ、厚、赤」という暗号のような手紙を送ってきた。卓球をやられている方なら分かると思うのですが、「暗号文」はラケットに貼るラバーのことでした。

で、今日、次男の本を買うついでに、この暗号文に付き合ってそのラバーを買うことにしたんだけど、間違ったものを買わないように念のため父に電話をすると「ラケットもさ、古くなっちゃってるんだよな。少し厚みのあるラケット、ない?」と。
さらに、「ペンホルダー型なんだけど、両面にラバーが欲しいんだよ。赤と黒で。相手がオフェンシブな場合は、ウラ面で防御。ディフェンシブならオモテで攻める、中国のさ、この間、チャンピオンになった選手がいるだろ、それが使ってる…」と、卓球話が止まらない。横で俺に待たされている店員さんの視線が痛くなってきたので「父さん、わかったけど、ラバーは片面だけ貼ったやつで送るから、ウラのラバーはそっちで買って貼って」として話を切り上げ、店員さんに勧められるままのものを買って店を出た。
この辺りの図々しさに、親子の血を感じる。まんまと息子にラケットまでセットで買わせた親父は今頃、心の中で「ごっつぁんです!」と言っているはずだ。(ごっつぁん体質の遺伝の話は→こちら

かくして、ラーメン屋さんの行列も解消しており、次男と二人、ラーメンを食べて、目的の本屋に向かった。

で、本屋ではもちろん、俺が全くわからない、聞いたこともない、ファンタジーっぽい絵(パステルカラーの)の「九龍(クーロン)なんとか」というマンガを「箱買い」していた。俺の世代にとって九龍といえば、Gメン75とかブルース・リーの映画に出てくる香港の九龍城しかないから、クーロンも随分とカジュアルになったもんである。

お目当てのマンガも箱買い出来て、ホクホク顔の次男は、「パパ、ほんとはもう一種類、箱買いしようと思ってたんだけど、これ買うからやめた!」と言って、一冊だけのマンガを持ってきた。それも、もちろん見たことない作家のマンガでタイトルも全く知らない。俺は「いいよ、もちろん(じいじからのプレゼントなんだから…)」と受けて支払いを済ませた。

2人で帰りの電車に乗って席を確保したので、袋に入ったマンガを次男に渡し「ほら、早速読みなよ」と言った。次男は、箱買いした方じゃない最後に単品で買ったやつを読み始めた、と思ったら、あっという間に読み切り、最後に「あ!」と驚いて本を閉じた。

そして、「パパ、これ、すごいよ。ラストが。パパも読んだ方がいいよ」と言って勧めてきた。
俺は「ああ、そうなの。わかった。ありがとう。あとで読むよ」と言って話を終えようとした。すると、次男は珍しく食い下がり、「いや、今読んだ方がいいよ!すごいよ!ラストが」と繰り返した。

俺は内心「いや、そんな、ちょっと見たことないような有名じゃないマンガ読んでたら、電車に乗ってる人達からオタクっぽく見られちゃうんじゃないかな?」と心配だった。ので、「うん、ほら、途中で電車降りちゃうことになるかもしれないし…」というと「いや、それでも読んだ方がいいよ。すぐ読めるから。で、そのあと、また何回も読みたくなるよ!」とまでいうので「わかった」と腹をくくった。オタクと思われてもいい、たくましく育ってほしい、と思った。(同世代じゃないとわからないですね、ハムのCMです)

で、読みました。

完全な親バカですが、うちの息子の「マンガ鑑識眼」もなかなか、と思いました。素直に。
たしかに、面白いし、何より「美しい」と思いました。もしかしたら、俺が地方出身者だから、ということもあるのかもしれないけど、懐かしさも感じました。とにかく、一度でいいので読んでみてください。もちろん、好みは百人百様なので、お気に召さない方もいらっしゃると思います。そこは自己責任で…。

マンガのタイトルは「ルックバック」と言います。


おわり


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