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求められているのはテクノロジーか、テクニックか……たぶん、両方。|2/28〜3/4

コロナ禍の日々の記録。平日の仕事中心。土日祝休(例外あり)。2020年の1回目の緊急事態宣言の最中にはじめた日記はこちらから。3回目の宣言解除の日から再開。少し休んで「第6波」から再々開。

2022年2月28日(月) 自宅

ロシアのウクライナへの侵攻のニュースが続く。SNSのアイコンや投稿では、明るい青と黄色の国旗のイメージがたくさん流れている。今日から停戦協議を開始。週末から暖かくなって、春めいてきた。花粉が飛散している。朝から目が痒い。
先週、濃厚接触者となった下の子は、今日までが健康観察期間となった。終日在宅に変更し、パソコンの前で一日を過ごす。合間にZoomをひとつ。この頃、ミーティングの前に手元のノートに図を書くことが多い。どういう位置づけで、個々の実践を考えるのか。項目を書き出して、円を描いてグループ化したり、分類を書き込んだりする。それをZoomの画面越しに見せたり、スマホで写真を撮って、そのデータを画面共有したりする。iPadとかを使いこなすともっと上手くいきそうな気がするけど、いまだ購入に踏ん切れない。事態を思い通りに動かすためではなく、複数人が互いの動きを見ながら物事を進めるための「絵図」。声の大きさやさまざまな「力」に頼るのではなく、細かな実践の良し悪しを語るのではなく、大枠のイメージを共有しながら自律的な動きをつくるために必要なもの……。議論をするなかで絵図を書き換えたり、編集していくことも必要なのだろう。絵を出したあとの議論の仕方が、いまいちうまくいかない。求められているのはテクノロジーか、テクニックか……たぶん、両方。
東京都の新規感染者数は9,632人。前週の同じ曜日(8,805人)を上回った。ウクライナのこともあって、ニュースは下火になっているけど数は落ちていない。じわっと増えている。

2022年3月1日(火) 市ヶ谷

温度は18℃まで上がるらしい。花粉が飛んでいる。ついにアレジオンに手を出す。朝の電車は空いていた。係会(注:東京アートポイント計画のスタッフ定例会)の話題は先週に締め切ったパートナー公募の選定について。全体の傾向と今後のスケジュールを確認する。午後はZoomでミーティングをひとつ。それぞれ年度末を乗り切って、4月に各自の動きがわかってから、次の話をしましょう……という話が増えてきた。新年度まで、1ヶ月を切った。

2022年3月2日(水) 錦糸町→市ヶ谷

アレジオンを朝に飲んでいるからか、眠い。直行でミーティング先に向かう。来年度の動きの諸条件を整えるための協議。双方の書面のレベル感を確認したり、書きぶりを調整したりする。前例を思い出し、どれが使えるかを考える。内部で説明をするときに、何が引っかかかりになるかを想像する。
午後は市ヶ谷のオフィスから今年度最後のジムジム会にZoomで参加する。ホストは「アートアクセスあだち 音まち千住の縁」だった。さすがに年数を重ねたプロジェクトだけあって、自分たちの活動を評価するための材料集めのことなど試行錯誤の「厚み」を感じさせる内容だった。途中、ブレイクアウトルームに分かれて共催事業の年数が同じプロジェクトでピアレビューをやってみる。ジムジム会の終わりには、今年度で卒業するプロジェクトやスタッフから挨拶もあった。互いの「関係」を温めてきたジムジム会。その関係も、また年度の区切りで変わっていく。

2022年3月3日(木) 府中本町→自宅

朝からArtist Collective Fuchu(ACF)のミーティングに向かう。少し早くに着いたため、近くの「ふるさと府中歴史館」に立ち寄る。資料(史料)展示あり、図書館ありで、チラ見では済まない場所だった。「百年前の新聞展示」では有島武郎が全財産を放棄し、「プロレタリアになる悦び」が記事になっていた。
ACFでは、ずっと「拠点」が課題として挙がっていた。自律的に動くプログラムやメンバーが増えてくると、それに比例して中核で各プログラムをつなぐ事務局の手間が増えていく。「場」があれば「人」でつながなくとも、メンバーが集まり、企画を連動させることが容易になる。でも、場をもってしまうと、その運営が必要になる。コストもかかる。どうするか? 堂々巡りの議論を繰り返してきた。実践を重ねることで、改めてネットワークやコミュニティの重要性に気がつき、参加しやすさやわかりやすさを目に見えたものとするためにも「拠点」の重要性は増しているようにも思える。そんな会話をしつつ、具体的な場所の名前が挙がると、そこをどう使えるか、と議論が一気に盛り上がる。地域の情報をもっているメンバーが多いからこそ、話が進みやすい面もあるのだろう。どこでやるのか? 拠点は、この問いからはじめるといいのかもしれない。
自宅に移動し、Zoomをひとつ。夜はURのシンポジウム(「ニューノーマルな時代に求められる住まい方―Housing in the【PARK】とは」)をZoomのウェビナーで視聴。コロナ禍で郊外へ人の居住が変化している。「SUUMO住みたい街ランキング2022」では、東京駅から30~50km圏が増えたのだという。職住が近接というより「一体化」してきている。感覚的にわかることが数字にも現れてきた。OpenAの馬場正尊さんは、その暮らしを「ミクストユース・融合主義」ということばで指し示していた。そのなかで、これからはデザインとマネジメント、公民連携と社会実験、政策連携(エリア展開)、団地の外構(とくに公園)に着目した利用(10年前は団地の室内空間の用途が関心の的だったが)が今後重要になると語っていた。
首相は18都道府県で「まん延防止等措置重点措置」の期限を3月21日まで延長の方針を示す。ほか13県は6日で解除となる見通し。3月1日に緩和していた入国時の「水際対策」(観光目的以外の外国人受け入れ再開)での1日の受け入れ上限を、14日から1日5,000人から7,000人に引き上げる。

2022年3月4日(金) 市ヶ谷→秋葉原

午前はオフィスで仕事をして、午後は3331 Arts ChiyodaのROOM302へ移動する。アサダワタルさんがディレクターとして、福島県いわき市の復興公営住宅に通い、取り組んできた「ラジオ下神白」。その「ドキュメント音楽」である「福島ソングスケイプ」についての動画収録に立ち会う。「視聴会+記者会見」と銘打って、プレスの人たちを交えて音源を聴く予定だった。ウクライナの情勢やコロナの影響により、現場での参加が叶わない記者の方が多く、少人数でじっくりと「福島ソングスケイプ」を聴く場として、急きょ、やりかたを変更する。結果的に、この「みんなで聴く」という方式が、とてもいいことがわかる。「福島ソングスケイプ」には、下神白団地に住む人たちの思い出の曲の合唱や、その思い出のエピソードが語りとして収録されている。ひとりでイヤホンから聴いたときより、スピーカーを通してみんなで聴いたほうが「語り」も、よく聞こえる気がした。ちょっとしたリアクションを、互いの表情や身体の動きで共有できる。そして、互いにいろんなことを思い出しながら、聴いているのだろうなぁと想像する。聴き終わった後に感想を語りあう。こうやって作品を囲む「場」が、もっと生まれるといいんだろうなと思う。震災後に生まれた作品は「つかう」タイミングにきているのだろう。

(つづく)

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