オンライン投票のやり方

ある組織の幹事をやっている。二年毎の役員改選を含む総会を控えているが、この時節柄 オンライン参加で選挙は出来ないものだろうか?

組織の役員の選挙方式は二段階である。まず50名程度の選挙権を持つ会員から15名以内の理事を、無記名、15名以内の連記によって選ぶ。その理事への立候補(推薦を含む)は、当日総会の中で行われることに規定されているので、事前に郵便投票などの簡便な無記名投票は出来ない。次にこの段階で選ばれた15名の理事の中から、1名の代表理事(会長を選ぶ)。こちらも理事当選後、その場で立候補するやり方だ。こちらは、無記名、単記の投票だ。最後に5名以内の監事を、無記名、5名以内の連記で選ぶのだが、これはまぁ理事選挙の方式の縮小版と考えてよい。いずれも、その場で立候補理由などをそれぞれが決められた時間内で述べた後、投票箱を回して指定用紙で投入し、数名の選挙立会い委員が別室で集計して発表するのだが、これまではオンライン参加など想定してなくて、すべて会場でのリアル出席のみで行われていたので、こういう方式のまま過ぎていた。

当日併用されるオンライン方式はZoomである。コロナ禍が発生し、3月頃からZoom利用の理事会(これは原則毎月行われている)を呼び掛けてきたが、その理事会内でも未だZoomで参加できる状態の者は、やっと半数を超えたあたりである。(年齢階層の高い組織である)           来月の選挙の前に20人程度の新人会員が選挙権を持つことになったが、こちらはほぼ100%、Zoom参加が可能なようだ。先日、これらの新入会員を対象に説明会を行ったが(一応会場も用意して、Zoom参加も認めるハイブリッド)、新入会員に関しては約8割が出席、すべてオンライン参加で、用意した会場に来たのは説明役の現理事と一部のZoom不得手な方?(失礼)のみであった。来月の総会本番もおそらく何割かのZoom参加が出るだろう。

Zoomを併用したこのような会議で、オンライン上での投票が出来ないか?考えてみる。もちろんサイト上にきちんとした投票機能を設ければよいのだろうが、当方にそこまでの知識はなく、外部業者に依頼するのは(予算はともかく)組織上のコンセンサスが短期間では得られそうもない。特にWeb技術者でもない身だが、同じような会員に説明と理解を得るために考えてみる。次月の総会には間に合わなくとも、今後の改革にむけての問題提起になればと考えている。

1.Zoomの投票機能                        Zoomで会議参加してるのだから、Zoom内の機能で完結出来れば話が早い。レベル的にもZoomに参加できるものなら、初めてでも何とかなるだろう。Zoomのミーティングにも投票機能がある。ミーティング中に投票を開始し、参加者から回答を集めることができる機能で、この投票の際に使用する質問は、あらかじめ作成しておくことも、またZoomの最中にも出来るようだ。投票機能を有効にするには、Zoom Pro以上の契約で、あらかじめアカウント設定で投票機能を有効にする必要があるが、これはクリアできた。質問の形式で回答欄が10項目まで作成でき、それぞれ[単一選択]または[複数選択]の回答が設定できる。またこれらを繰り返し、25まで質問が作れるという。各選択肢が10項目×25=250までの選択が出来る訳だ。ミーティングの途中で質問を作成したホストが、[投票の起動] をクリックすれば、各参加者の画面には投票用ウィンドウが表示され、その場でチェックさせることが出来、記入済みで送信ボタンを押せば、その結果は自動的に反映・集計され、即時に表示される。最大のメリットは送信者が誰か分からない=無記名投票が可能なことだ。

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例えば15名定員の理事選挙で、30名が立候補したとする。3枚の質問項目で列挙できる訳だが、問題はこの場合「15名までの連記」という部分だ。それぞれの質問カードを[複数選択]にしておいても、15名を超えるチェックも可能になってしまう。(もちろん[単一選択]では各カード1名しか選べず、こちらも問題だ)歯止めとしては投票総数を計算して、Zoom投票者×15(連記数)を超えたら、「不正投票があった」として無効にするかやり直すか?…  またそれにしても、全員が15名のフル連記をするわけでもないので、過剰に投票した者がいても少なかった者と相殺され、こちらもやはり分からない。結局、「必ず15名までしか投票しない」というルールが守られるか?参加者のモラルに依存することになる。

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第二の代表理事選挙に於いては、こちらは単記投票と規定されているので、1枚の質問カードで済む「10名以内の立候補」になれば、[単一選択]を指定すればクリア出来そうだ。しかしこれも、もし候補が10名以上になってカードが複数になると、それぞれのカードで1人ずつ選択できてしまう。が、まぁ現実には「10名以内」で済む確率が高いので、これは有効としておこう。

第三の監事選挙に於いては、これも「5名以内連記」なので、基本的には理事選挙と同様のケースだが、もし候補者が「10名以内」で収まればちょっと知恵を使って可能ではないか。すなわち10名以内の候補者を連記した同じ内容のカードを5枚作る。この5枚をそれぞれ[単一選択]に指定しておけば、それぞれのカードから1名ずつ選べばよい。しかしこれも1枚目のカードで既に選択した候補者を、第二、第三のカードで選ぶことも防げないと思われるので、結局投票者のモラルに依存するしかない。

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2.投票の結果                           前述したように投票の結果はそれぞれのカードに対する集計は即座に反映される。会長選挙で仮定したように1枚のカードなら一目瞭然だが、カードが複数の場合は、その場の目視での集計が必要になる。ミーティング後に投票のレポートをダウンロードするこ機能もあるとのことだが、一々投票のたび、一旦終了するのも現実的でないし、(試したところ)出力されるCSVも使いにくいのと、なぜかZoom上では特定されない送信者が、CSVには記述されてしまうようだ。現実的には投票の結果が出るたびに、ホスト側でスクリーンショットをとるのが確実なようだが、こちらもそれらを一々保存して別の集計場所に移すというよりは、責任者(立ち合い者)その場で数えて済ますか、その場でプリントアウトして現実の投票箱の集計作業に加えるというのがよいように思う。(後者は会場に対応するプリンターを持ち込まねばならないが…)                            またZoomのレコーディングをしていても、Zoom中に見えていた投票のウィンドウは一切記録されないようなので注意が必要だ。実際やってみたが、表示されていた投票カードをのぞき込んでいる参加者の顔だけが写っていた。

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3.Zoomのその他の機能を利用する                  真っ先にZoom中のチャット機能が思い浮かぶ。こちらも参加者からほぼリアルタイムで届くので検討してみたが、送信者がオープンに見えてしまう。調べた限りでは、Zoomミーティングでは匿名のチャットは出来ないようだ。(ウェビナー契約では匿名の送信が可能なようだが、そのためにさらに+月額5,940円はためらわれるし、またホスト側がほぼ一方的に発信するウェビナー形式では、総会のような基本的に相互発言の会議は不向きであろう)ならば、瞬時にオープンされてしまうチャット本文では単に「投票しました!」という記述のみにして、(瞬時には見えない)添付ファイルに記載してもらって、それをそのまま(送信者名と切り離して)ファイルのみを集計者に回して、その段階で初めて開封、集計に加える… という作業フローは考えられるが、あまり現実的でないかも知れない。(送信者は全員でなくホストのみに送信、ホストは集計者に回したら開封せずに捨てる…などの作業も必要だ)

…ということで、いずれも参加者の理解とモラル、信頼関係(それと興味?)によって有効、または場合によって有効、といったところだが、小規模なサークルや教室などの任意組織ならともかく、いずれのやり方でも法人格の組織の場合、これの方法では問題も起きる可能性がある。

会議自体はZoomで行っていても、オンライン上で並行して使えそうな手法についても考えてみたいが、長くなったので項をあらためる。(10・10)

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