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"グランツーリスモソフィー"を見た印象

どうも、岡田です。

3/7のGT7発売を前に、今何かと話題が尽きないグランツーリスモ。
先日「グランツーリスモソフィー」なるAI技術が発表され、日本のトッププレイヤーとレースして勝つ動画も公開されましたが、今回はそれらを見た僕の印象でも書こうかなという記事です。

本編の前にお知らせを…。
久しぶりの有料noteを書いてみました!
eモータースポーツ・リアルモータースポーツ両方を体験した僕が、最近巷で話題の「メタバース」を絡めて予想する未来のモータースポーツについて書いています。

500円になりますので、居酒屋で僕にビール奢って話聞くイメージで読んでいただければ幸いです。

■グランツーリスモソフィー

まずはそのトッププレイヤーとレースする動画をどうぞ。
対戦するのは日本代表選手陣で、山中選手・宮園選手・國分選手・龍選手です。

2つ動画があり、1つ目は2021年7月時点のソフィーで、この時は合計ポイントではトッププレイヤー陣の勝ち。
2つ目は同年10月時点の改良ソフィーで、合計ポイントでトッププレイヤー陣を下しています。

このグランツーリスモソフィーにどんな技術が使われているのかとかは、公式サイトを見ていただくと良いのかなと思いますが、素人が想像する範囲の中でもレースをAIにさせるのは非常に難しいことだと思うんですよ。

なんというか、例えばストリートファイターみたいな対戦ゲームはとにかく強ければいいし、ぷよぷよは正確に素早く同じ色揃える訳ですが、そういうのは寧ろAIに人間が勝てる訳無い位だと思います。

でもレースって、相手と共存しながら相手を倒さないといけないむず痒くなりそうな競技ですよね。
相手をクラッシュさせて勝ってもダメだし、かといって横並びの時に毎回引いてちゃ勝てない訳です。
場合によっては前に追いつく為に、あえてバトルしなかったりもする。

タイムアタックでならAIが人間に勝つのは、まあそりゃそうだねと思ったりしますが、AIがレースでいいバトルをして勝つには、他のどのゲームのAIより複雑な要素が求められると言えるでしょう。

色んな所で「AIがトッププレイヤーに勝利した!」って言われてるグランツーリスモソフィーですが、動画を見た限り結果こそ勝利してますが、まだまだ理想には程遠いんだろうなと思われる内容ではありました。

■最強AIのドライビング

まず予選や単独走行のソフィーのドライビングですが、めちゃくちゃ特徴的です。

ターンインで切り過ぎだろうというくらい切り込んで、とにかく車を内側に向けて辻褄を合わすドライビング…に僕からは見えました。
所謂リアルのプロドライバーのドライビングとは全く違います。

グランツーリスモって実車や他のシミュレーターソフトと比べると、実はステアリング操作に対する初期反応がかなりダルく感じます。
実車メインの方がグランツーリスモをいきなりプレイすると、大抵「曲がりきれない」方向のミスになるのは、色々要因はありますがその挙動特徴も一因なのかなと思っています。

そんなグランツーリスモの癖を把握した走りをソフィーは実践してるように見えますね。

AIドライビングのもう一つの特徴として、ステア操作やアクセル・ブレーキの「0-100操作」が可能な所もあります。

人間がプレイすると、どんなに素早く操作しても全閉から全開の過程があるわけですが、AIは瞬間的に全閉から全開にできるし、ステアも左に10°切った所から瞬時に右に5°切ることも出来るようです。

結果、ご覧のようにシケインでゲーム画面では左にステアが切れてるのに、車は右に切り返してるシーンも…(笑)

この2つの特徴から、特に1回目のレースでは

瞬時にステアとブレーキング操作を行い進入でヨーを発生させ、立ち上がりは正確なアクセル操作とカウンター操作でトラクションを掛ける。

という、そもそも真似しようがない走りをソフィーはしていたように思います。

また、瞬時にステア操作可能なソフィーは特に高速S字が得意で、高速S字が多いレイクマジョーレやサルト・サーキットはソフィーに分があり、シケインが狭く恐怖心も煽られるドラゴントレイルシーサイドについては、寧ろトッププレイヤー側に不利なコース選定だっただろうなと思います。

しかし2回目のレースについては、進入でフェイントをかけるシーンが減ったので、より自然な走り方で速さは維持する方向に進化したんじゃないかなという印象はありましたね😁

■バトルに関しては課題あり

グランツーリスモソフィーの本題?とも言えるバトルでのムービングですが、1回目から既にブロックラインを取ってくるなど、今までのAIと比べたらかなりそれっぽい動きをしてました。

ただ、それでもトッププレイヤー陣が強引目に並んだり、前に車がいる中で隣と競合ってたりする場面では比較的余裕を見て減速体勢に入ってるように見えたのが1回目のソフィーでした。

2回目はより「競り合ったら頑張る」方向に調整が入ったんでしょうか。
押し出すなどかなりダーティーなシーンが増えました。

一見、悪化して見えるこの変化ですが、ある意味ではより「人間らしい」バトルをするようになったとも見てとれます。
ただ今は「さすがに競り合っててもそこまでやっちゃダメ」なくらい行き過ぎてたので、そのデータを反映させればもう少し丁度良くバトルするようになるんでしょう。

あと、動画内でも解説のヤムパイセンが言ってますが、基本的にブロックしたり抜きに行ったりする「通常じゃない走り」を始めるのが遅いです。

ある距離から急に「ブロックする」「抜きに行く」って信号が飛んで、瞬時にステアを切るから急激な進路変更したりしてしまうのでしょう。
反応が早いX2019では特にトッププレイヤーが困惑する進路変更が多かったように見えます。

あと「この場面はブロック出来てもしちゃいけない」みたいなモラル面も課題ありですね。
ペナルティ消化後に速度差がある後続が迫ってる時とかは、ブロックできてもやらずに一旦譲る必要があるというマナーの話…難しいですね😅

ここがまさにAIがレースする難しさなのでしょうね。
起こり得るありとあらゆる可能性をインプットして、その中の1つの選択を早くするようなAI…果たしてできるのでしょうか💦

■ソフィーはどう生かされるのか?

まあ課題はあれど、速さではトッププレイヤーを圧倒し、一部では良いバトルも見られたグランツーリスモソフィー。

ただこの「とにかく強いAI」、個人的には使い道はあるのか?がちょっと疑問だったりします。

ゲームとして強敵を用意するなら、別に内部データイジってタイヤグリップ上げれば強敵になるだろうし、「AIのみの最強レース」とか、いくら人間味ある動きでバトルしてても面白いだろうか…?

そう考えた時に僕個人的にソフィーに実現してほしいなと思うのは、「レーススチュワート(アクシデント時のペナルティ裁定)のAI化」です。

ソフィーが数々のレースで学習して、後にめちゃくちゃ上手いバトルするようになったら、その考え方ベースに精度の高い自動ペナルティも作れるんじゃないかなって。

現状、グランツーリスモのみならずレースシム含めたeモータースポーツの自動ペナルティはどれも満足いくものは無く、人がジャッジするペナルティもジャッジする人によって采配はまちまちで、場合によっては物議を醸すこともあります。
(リアルレースですらよくある。)

リアルレースでもスチュワートに元レーサーが入って、よりドライバー目線からの審議がなされることがあるように、ソフィーが「レースができて、マナーやモラルまで理解したAIによるeモータースポーツスチュワートの誕生」に繋がるのなら、期待せずにはいられませんね。


まあそんなことをグランツーリスモソフィーを見て思いました。
自分も何回か審判役したことありますが、ペナルティ出す側ってAIに任せられるなら任したいんですよね(笑)

今回は以上!

岡田

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