ななえ

会社員をしながらライター業をしています。雑誌の編集者をしていたころもありました。Twi…

ななえ

会社員をしながらライター業をしています。雑誌の編集者をしていたころもありました。Twitter/https://twitter.com/eanan_

マガジン

  • 気にしすぎ譚

    気にしすぎな気がしていることを気ままに書いた「気にしすぎ譚」をまとめています。

最近の記事

3月7日

2022年3月7日。 あれからちょうど1年が経った。 チャーとはもう1年も会っていないことになる。それでも不思議と抉られるような喪失感に襲われず済んだのは、チャーが生きている間に彼とそれなりに良好な関係を築けたからじゃないかと思う。 チャーの正式な名前はチャッピーで、クリーム色をしたスムースコートのチワワである。うちへやってきたとき彼はすでにチャッピーと名付けられていたので、それをベースに家族からチャーちゃんやらチャピ原チャピ蔵やらと好き勝手に呼ばれ、最終的にはチャーで落

    • その棒は前後に動きつづける

      今日からわたしに与えられた個人識別番号は、『大型44』である。 思えば高校に入学した日、ずらりと並んだ新入生名簿の上で自分の氏名を見つけたのは、『1年10組44番』の位置だった。今日まで意識したことなどなかったが、44という数字にはなにかしらの縁があるらしい。安易に「しあわせ」だなんて語呂合わせしたら、もともとあまり活発じゃないクリエイティブ細胞が死滅してしまいそうだ。 大型44の使命はといえば、自動車の大型一種免許を取得することにある。同じ自動車教習所に同じ目的で入所し

      • そうよわたしは、サソリ車の女。

        日々、なにかしら買って生きている。だけどその多くは感覚として「消費」に近いものだ。 たいてい、必要なものが手に入った時点で、それまで持っていた興味関心はすっと冷めてしまう。刹那的だなんて表現すら畏れおおいくらいの、薄い愛情でモノを買っている。そんな気がする。 それでも心底買ってよかったと実感することはある。わたしにとってはクルマがそうだ。 【ABARTH(アバルト)】というイタリアの自動車メーカーが販売する【124 spider(いちにーよん すぱいだー)】という車種を

        • 高熱の夜に。

          夏風邪は馬鹿がひく。 接触冷感素材のシーツとタオルケットの間で、わたしの体温だけがじれったく上昇を続ける。 眠れない。だけど、本を読むとか映画を観るだけの集中力があるわけじゃない。こんなとき頭の中を泳ぎまわってくれるのが明るい未来の映像だったらいいのに、鼻息荒く出しゃばってくるのはたいてい過去の思い出だ。 クリエイティブでアーティスティックかつサイエンティフィックな上にエロティックな人はきっと、風邪でぼーっとした頭の中にも有意義なコンテンツが流れるんだろう。やっぱりわ

        3月7日

        マガジン

        • 気にしすぎ譚
          1本

        記事

          修羅の果てには、たこ焼き器。

          noteが募集している投稿企画「 #今年のベストショット 」。 一年の振り返りを兼ねて、すこし書いてみます。 夏ごろ、生まれて初めて「修羅場」に臨みました。 「修羅場」ってわりとよく耳にするコトバですが、辞書で引くと【阿修羅(あしゅら)と帝釈天(たいしゃくてん)とが戦う場所】だったり【血みどろの激しい戦いや争いの行われる場所】と書かれています。 できごとの詳細を語らずとも、わたしの身に相当な事態が降りかかったであろうことは想像してもらえるのではないでしょうか。 「

          修羅の果てには、たこ焼き器。