宇津木です。本格的な寒さとなってきた今日この頃、先日大阪市内でも久々に雪が降った。自宅からこんなに降った雪を見るのって何年ぶりだろう。
今回は5代目Foojin'Zの中で唯一の港湾特化モデル「アーバンディーノ90ML」をピックアップしたい。

Foojin'Z URBAN DINO 90MLとは？

Length：9’0” Lure：5-32g Line：MAX PE#1.5 標準自重：140g　
Material：TORAYCA M40X/T1100G/M46J/M40J
Guide：チタンフレームTORZITE & SiC-S
Joint：印籠継（NANO JOINT）
Reel Seat：Down Rock
FLEX     ：Mild ＊＊＊＊＊＊＊　　　Sharp（7）
POWER：Light＊＊＊＊　　　　　　Heavy（4）
（シチュエーション）「港湾」「小中規模河川」「バチ抜け」

初代Foojin’Zから前作の4代目までラインナップされた「ネオンナイト」は、シーバスロッドでは初の湾奥モデルとして長年アピアを代表するモデルだったが、今作から新たな港湾系モデル「URBAN DINO」（アーバンディーノ）として生まれ変わった。なぜモデル名が変わったのか？そもそもネオンナイトとアーバンディーノは同じ港湾系のロッドだが、全くの別物と思っていただきたい。
ネオンナイトは「鬼掛けティップ」と呼ばれる柔らかなティップを持ち、繊細なショートバイトでも食い込ませることが最大の特徴であった。
対してアーバンディーノはどういったものか？
アーバンディーノには絶対的なコンセプトが4つある。

アーバンディーノの４つのコンセプト

１）アンダーハンドやバックハンドでも確実にピンスポットへ送り込むことのできる”シャープでブレない”ブランク。
２）スモールルアーのアクションを邪魔することなく、ショートバイトも確実に拾えるしなやかなティップ。
３）ランカークラスを橋脚などのストラクチャーから引き剥がす、強靭なバットパワー。
４）軽量で絶対的なバランス。

これは現在の湾奥系の釣りで勝ち抜くには、絶対に必要な要素である。
だがこの4つはそれぞれに相反する要素なので、正直に言うと今までのカーボンだとすべて満たすことは実質不可能だと言ってもいい。例えば１のハリの強さと、２のしなやかさは本来相反するものであるが、「M40X」は40tと張りの強い弾性率のカーボン繊維を使いながら、強度を30%上げている。レジン樹脂にナノアロイ技術を使うことにより、粘りと強度をあげているので、１と２を共存することがこのプリプレグを使うことで可能となった。
３と４を共存する場合にも同じことが言える。バットパワーを上げるには、基本的に質量を上げることになるので当然重量も増える。しかし「T1100G」は世界最高強度を誇るカーボン繊維であるが、こちらもナノアロイ技術により軽量のまま、強度を保つことに成功した。
湾奥の釣りはプレッシャーとの戦いであり、アプローチの精度が釣果を決定する大きな要素となる。そして湾奥でも当然訪れる、スーパーランカー「URBAN（都会）DINO（恐竜）」との出会いは必ずものにしたい。

港湾部で鍛え上げたアーバンディーノ

アーバンディーノ90MLはプロデュースというわけではないが、主なテストは俺のデスクの横にいる中井佑一郎が行った。中井くんは仕事終わりにほぼ毎日、阪神間の港湾部でシーバスを狙う。新しいプロトタイプが来て俺のチェックが終わると、その日の夜にはフィールドに持ち込んでいる。とにかくタイムラグがない。いつも横のデスクにいるので、「こういうテストしてきて！」というとすぐさま実行できる。テスト内容が難題であっても、1〜2週間後には結果を出してくるほど、レスポンスは抜群だ。アーバンディーノのテスト期間でキャッチした100本以上のシーバスは、98Hをプロデュースした秋田の加藤くんに次ぐ本数である。
テストが終了した昨秋に、2人で香川の濱本さんのところに訪ねたことがある。その時中井くんは完成したアーバンディーノを自慢げに、濱本さんに披露していた。軽く、シャープで、サイドやアンダーキャストでピンスポットに入れる能力を伝える。ところがパキパキに張りのある竿が好みの濱本さんは

「柔らかくて女の子でも使いやすそうやん！」

期待していた答えと違った反応に、中井くんは若干苦笑いを浮かべていたが、濱本さんがタンカー際に試投を開始すると空気が一変する。

「おっ？」

「おっ？」

「おお〜！」

タンカー際10cm以内にルアーがスパスパ入っていく。
元々キャストが上手い濱本さんだが、ナチュラルセブンとはアクションが真逆ともいえるロッドで、いきなり連発でピンに入ることに驚きを隠せなかったようだ。

「へ〜　これはオモロイわ！エエの作ったやん！」

Foojin'Z 5th Generation
https://www.apiajapan.com/product/rod/foojin-z/