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日本のユネスコ無形文化遺産:地域の文化を世界へ

こんばんは、あっぱれの伊東です。

前回のエントリーでご紹介した「和食」など、日本にはユネスコの無形文化遺産に登録された文化が多く存在します。
今回は、日本のユネスコ無形文化遺産について考えてみたいと思います。




ユネスコ無形文化遺産とは

ユネスコの無形文化遺産は、音楽、舞踏、祭りなどの「生きている文化」を保護するための国際的な枠組みです。
2022年に登録された風流踊など、近年は2年ごとに日本の無形文化が登録されてきたため、時々ニュースなどで目にする機会もあるかと思います。

ただ、”ユネスコ”、”遺産”と聞くと、グランドキャニオンや万里の長城など、その国の象徴となるような「世界遺産」の方が一般的な認知度は高いかもしれません。


世界遺産と無形文化遺産の違い


無形文化遺産は世界遺産の分類の一つなの?と思われるかもしれませんが、これらは成り立ちが異なり、保護の方針を定めた条約が別々にあります。

  • 世界遺産条約
    1972年に採択され、形のある文化遺産、自然遺産を保護することを目的。具体的には、記念工作物、建造物群、遺跡、自然地区など、顕著な普遍的価値を有するものが保護対象。

  • 無形文化遺産条約
    2003年に採択され、形を伴わない文化の保護を目的。音楽、舞踏、まつり、伝統工芸など、人間が育んできた技術や慣習などが保護対象。

無形文化遺産の対象は、口承による伝統及び表現、芸能、社会的慣習、儀式及び祭礼行事、自然及び万物に関する知識及び慣習、伝統工芸技術などに分類されます。

世界遺産も無形文化遺産も、その文化を世界共通の財産として保護していく、という考え方が根底にあります。


日本にあるユネスコ無形文化遺産

現在、日本ではユネスコ無形文化遺産に22件登録されており、2024年時点では世界の2.2%を占めています。

https://bunka.nii.ac.jp/special_content/intangible

他に登録件数が多い国は、中国(43件)、トルコ(30件)、スペイン(28件)などが挙げられます。


将来の無形文化遺産

すでに無形文化遺産に登録されたもの以外にも、日本にはまだまだ候補となるような文化が目白押しです。

文化庁が正式に提案を決定した文化としては、「伝統的酒造り」「書道」があります。

ユネスコの方針として、無形文化遺産の登録がない国の審査を優先しているため、日本は実質2年に1件審査を受けられる、というのが近年の状況のようです。

また、無形文化遺産への登録を目指して積極的に活動している団体もあります。

・和室文化

・温泉文化



日本は無形文化の宝庫

上記の他に、まだ認知度が十分でなくとも、日本には貴重な無形文化が沢山あります。
特に一部の地域で産業として発展し、長年引き継がれてきた技術などは、もっと知られてほしいな、と個人的にも思う次第です。

・福井の眼鏡生産技術 https://www.fuku-e.com/feature/megane

・山形の紅花文化 https://www.yamagata.nmai.org/beni/rekishi.html

また、無形文化遺産は「生きている文化」が対象です。
ベルリンでテクノミュージックが無形文化遺産に登録されたように、漫画、J-POP、ゲームなど、優れた日本のポップカルチャーがユネスコの無形文化遺産になる日が来るかもしれません。


おわりに


日本の無形文化は、世代を超えて受け継がれてきた貴重なものです。しかし、経済の変動や担い手の高齢化など、社会的な変化により、その存続が危ぶまれることもあります。

ユネスコの無形文化遺産に登録されることは、その文化が国際的に認知され、「みんなで守り、伝えていく」という共通意識につながることが、最大のメリットだと考えます。

もちろん登録されることによる課題もありますが、地域が世界に誇れる文化を持つことは、コミュニティの誇りと連帯感を生み出し、地域の文化を次世代に引き継ぐ意欲が高まるのではないかと思います。

これからも、日本から新たな無形文化遺産が生まれ、世界に認知されることを期待しています!

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