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還暦の父へ。

台風が立て続けにやってきて、目まぐるしく日々が過ぎる。
天気を気にする仕事というのは結構しんどい。
何度も懲りずにやってくる台風という自然の脅威を目の前に、私たちは人間は無力だと痛感するからだ。毎日毎日、同僚と何時間も残業をしてお互いにストレスを抱えながらもなんとか乗り切った。
ようやく、台風も落ち着いたのでこの土日を実家で過ごした。
お盆は仕事だったから、墓参りも兼ねての帰宅だ。

8/18
亡くなった父の誕生日。
母は朝から「明日は父さんの誕生日やねえ。」なんて大ボケをかますから、それに対して私と妹が口を揃えて「「今日だよ。」」というと慌てて父の仏壇に何か言ってた。父は生きていれば還暦になる。

母と妹と生前父とも行ったうどん屋さんでお昼を食べた。
ハリーポッターを見に行って、父だけがスターウォーズが見たいというもんだから別行動をとった。ハリーポッターを見て、父を待ってからこのうどん屋で同じようにお昼を食べているとなんと父はスターウォーズは満席で見れず、一人で街をぶらぶらしていたというから母と私、妹は驚きながらうどんをすすったのを覚えている。もう20年前の出来事だ。
その出来事を一昨日あったことかのように、またあのときと同じようにうどんをすすりながら母と妹と話した。きっと父が生きていても一緒に今日はあのうどん屋で映画の話を話しただろう。

今日だけは父の話をたくさんした。
口癖だとか、仕草だとか、覚えていることを一つ一つ思い出すかのように。
そして、それらを忘れないように。

父が逝った時まさか自分の父親がこんなにも早く逝くとは思わなかった。
一緒にお酒を飲むこともできなかった。
私のウェディング姿も見せることができなかった。
私のバージンロードを歩くとき、隣に父はいない。
ああしてあげればよかったとかこうしてあげればよかったなんてことを考えたらきりがないくらい今もあるけれど、きっとそれは父も同じだと信じたい。

父の墓前で今年も「誕生日、おめでとう。」と祈る。
母たちと別れて、一人で自分の家に帰っていると少し涼しい風が吹いた。
秋の気配を感じる。
ああ、夏がもう終わる。
そして、今日ももう終わる。
お父さん、誕生日おめでとう。
娘より、愛を込めて。


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