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「あの会社は今」台湾の HTC 編

こんにちは!

現在コロナウイルスの影響で、台湾で ヒィーヒィー言いながら毎日を過ごすapplemint 代表の佐藤です。

売上落ちます.....

HTC って会社覚えてますか?

一時期割と流行りましたよね。

今は.....完全に消えましたよね。
有名な台湾の会社ですが、台湾の人でさえ何をしているかわからないと思います。

そこでこのブログでは以前自社ブログで紹介した HTC に関するブログを少し編集してお届けしたいと思います。

HTC って今何やってるの?

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まず、HTC が今どんなビジネスをしているかアニュアルレポートから紐解きます。

調べた結果、今 HTC がやってるビジネスは以下にまとめられます:

・『VIVE』という VR デバイスビジネス
・スマートフォンビジネス
・DeepQ というヘルスケアのビジネス(内容はよく分かりません)
・5G Hub (ネット速度が早くなる WIFI ルーターみたいなもの)

DeepQ というヘルスケアのビジネスはアニュアルレポートを何回読み直してもいまいちわかりませんでした.....
そのくせに説明文にはブロックチェーンや AI という言葉がわんさか使われていました。怪しい....

次に HTC の儲け方を因数分解した上で、どのように儲けを最大化しているか見ていきたいと思います。

HTC が儲けを最大化する方法

HTC はメーカーです。
DeepQ という謎のヘルスケアサービス以外は基本的に何かを作って、それを売る会社です。

つまり、 HTC の売上を因数分解すると以下の式が成り立ちます。

- 研究・開発コスト - 仕入れ - 製造費用 - 販管費 + 売値 = 売上

厳密にはもっと色々な要素が絡むのでしょうが、簡素化します。

この因数分解が正しければ、売上を最大化する方法は以下になります。

1. 研究・開発コストを絞る (R&D コスト削減)
2. 仕入れコストを下げる
3. 人件費・製造費用を下げる (歩留まり UP、製造の効率化)
4. 売値を上げる

会社は基本的に #1#4 全てをすると思います。
しかし戦略によって、どの項目を集中してやるかは変わってきます。

そこで、HTC は具体的に何を改善して儲けを最大化しようとしているか、 一つ一つ見てみたいと思います。
まずは R&D コストの推移を見ます。

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参考: HTC 2018 Annual report

文字が小さすぎて読みづらいのですが、2018年の R&D のコストは前年比で32%減っています。
一部の研究費用を減らして、利益率を上げようとしている姿が垣間見えます。

次に、仕入れコストが下がっているか見ます。
メーカーの仕入れコストは通常、売上が増加すればそれに合わせて上がるので売上と仕入れの比率を見ます。
2018年の粗利率は 2.16%で、2017年は 2.15% なので、特に仕入れコストが下がっている印象はありません。

(というか損益計算書を見て、2018年度の粗利2%、営業利益 -13,963,613 (*1000NTD) は驚きました....)

続いて、人件費やマーケティングの費用が下がっているか、営業利益率を比較して見てみました。
まず、2018年の営業利益率は -58.8%、2017年は -28% です。

では、なぜこんなに営業利益率が下がったのか、人件費とマーケティングの費用を見た所、人件費 (オペレーション費用) は 2017年及び2018年は同水準です。
その分2018年のマーケティング費用が下がっているのが確認できました。

まーこれだけ成績が悪いとまずは広告費削れと株主から言われそうですよね....

では改めてこの状況を説明します。

例えば 2018年に 100円の人件費がかかっていたら、2017年も100円の人件費がかかっているということです。

それに加えて2018年はマーケティング費用を抑えています。

なのに!

2018年は営業利益が大幅悪化です。

おかしくないですか?

2018年はちゃんとマーケティング費用を削っているのに、営業利益率が2017年と比べて悪いんですよ!

つまり全然売れていないということです。

ちょっとやばそうです....

HTC の結論

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HTC の過去2年の数字を見ると、考えていることは以下かと思います:

1. 原価を下げることは特に考えてはいない

2. R&D コストやマーケティング費用を下げて利益率を改善しようとしている

3. 人件費は下げようとしていない

R&D の費用は減少したのに、営業利益率が下がったところを見ると、人員をキープしつつ、新しい製品を開発しようとしているように見えます。

アニュアル・レポートでは、2019年から2020年にかけては 5G 関連の製品開発を目指す旨が明記されていました。

つまり、今後5Gに合わせた商品やヘルスケアで挽回するために頑張っているということでしょう。

ただし製品が全然売れていません....

そこで恐らく利益率がいい DeepQ というヘルスケアビジネスを始めるということでしょう。

僕は見たのは 2018年のアニュアルレポートで、もう2年経ったし何らかの改善があったかと思いきや....

如何2020年4月21日現在の HTC の株価です。

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恐らくビジネスはあまり改善されてませんね....

HTC をディスるつもりはありませんが、コロナウイルスの影響を感じないほど、現状はよくないんでしょうね.....

以上が僕の簡易HTC分析でした!

※僕は企業分析をしたい時、まず会社がどのように儲けているか因数分解をします。
因数分解をした上で、それぞれ売上の要素となる部分を確認します。

現金保有額、棚卸資産、商品の現金化回転率、安全性などは自分の目的に応じて見ます。

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