最近のこと 

この夏はいろいろな出来事があった。
月初めに、例の流行病にかかった。

もともと旅行で仕事はお休みしていたが、家に戻ってきてすぐ発熱したので、バスの中、飛行機の中、国際線ターミナル、思い当たる場所は様々あったし、もう考えても意味のないことだと感じた。

10日間は外出せずに、細々と備蓄してきたツナ缶などの缶詰や、母が玄関越しに置いていってくれた段ボール箱の食べ物をありがたく頂いた。

39度の熱が3回やってきて、平熱まで下がったと思ったら上がってを3度繰り返し、お水やポカリを沢山飲んで、梅干しとたまごのお粥をつくって食べた。
家に閉じこもっている間は唯一映画が心の拠り所だった。文章を少し書いた。

10日間が過ぎ、病院で薬をもらって、ハーシスなどの手続きもあったりで、保健所に2回電話した。
なかなか繋がらない電話、スムーズにいかない手続き、それだけで精神がくたくたになった。医者からもらった葛根湯がいつも以上に美味しく感じることが不思議だった。

葛根湯は母がよく実家で飲んでいて、幼い頃風邪の時に飲まされると、苦くてまずいイメージだったのが、免疫力が弱まってしまったせいか、美味しく感じた。
体力を取り戻さなきゃ…と思う、8月上旬のことだった。

体調が回復し職場に復帰すると、例の病にかかってるアルバイトさんが他にもいたようで、持ちつ持たれつという思いで穴埋めし、みんなでその期間を乗り切った。
そこからの8月の日々は風のようにあっという間に時間が通り過ぎていった。

初夏から飲食店にご縁があり、掛け持ちをさせて頂いている。個人事業主になってからの今は全部で4つ、そのうちの一つは静かに家でできるお仕事で、趣味でたまに小説、そんな生活をしている。

わたしは体力がもともと自分でも驚くほどない。
そんな私でも、精神的に刺激がないお仕事だとすぐに飽きてしまいやすい。
だから、静と動のかけもちをすることが自分の中のバランスがうまく取れる秘訣だと最近気づいた。
どちらかに比重が傾きすぎると、心と体が不健全気味になってしまう。

飲食店では日々色々なお客様との出会いがある。カフェは動物OKなので、わんちゃんを連れてきて、我が子をお披露目してくれるお客様もいる。

恥ずかしがり屋のモモンガちゃんは飼い主さんのお腹のポケットの中でぬくぬくと大切に温められ、ポケットから出たり入ったりしている姿が本当に可愛すぎて癒された。

カフェの従業員さんは、皆さん驚くほど優しい。
昔働いていたカフェは店内がとても素敵な場所だったが、女性同士の内部虐めのような人間関係を目にし、それ以来毎日しんどかった。
やはり、いつも中立でいたいと思った。

私はこれまで飲食店では接客メインで働くことが多かったのだが、今は特性生姜や赤紫蘇のシロップを作らせてもらったり、野菜を刻んだり調理補助をしていて、これも自分で書いた小説の主人公の世界を辿っていて面白いなと感じた。
シソやローズマリーなどの香草の香りはとても良い香りで、それだけで癒される。
働く方もお客さんも皆さん温かな心の交流が通っている。
ランチ時は忙しい日も多いが、風通しがよくて何より安心感がありとても働き易くて声をかけてもらえてありがたかったなぁと感じた。

夜のバーはまた違ったバーの雰囲気で、通うお客さまの雰囲気も変わる。
お世話になっているバーテンダーさんが10年くらいの知り合いなので、こちらも居心地良い。
なぜか、昔働いた場所からバーの人とのつながりが未だに続いているが、なぜかは私自身もわからない。

私はお酒に詳しいわけではないし、よく飲むわけではないが、人と楽しく飲む時間はとても好きだし、お酒の種類や味も少しずつ知れてきて楽しい。

以前の習い事で知り合ったお姉さんが働くカフェに遊びに来てくれ、その後そのお姉さんおすすめの近くのワインバーへ連れて行ってもらうことになった。

そこのお店のお料理は、イタリアンでどれも洗練された高級感のあるお店だった。
わたしはもう大人なのだが、やっと最近大人に近づけた気がした。

軽く酔いながら、二人で笑っていると、夜な夜なバイトの人たちと過ごした大学生時代をふと思い出し、急に懐かしくなって、連絡を取らなくなってしまった先輩や友人の顔が浮かんだ。

電車を使わず、2人で一駅分、鈴虫の声に耳をすませながら、夜道をゆっくり歩いて帰った。

最近の私の悩みは、どこへ行ってもまず、「学生さん?」と聞かれることだ。
やりたいことをすることを意識し始めてから、
そのお姉さん曰く、ますます目に光が出たらしい。もともと年齢を当てられることはなく、
「若く見られることは良いことじゃん。」と言ってもらえることの方が多いが、幼い人として見られているのだろうか…と不安になることが多い。

子どもの頃は、大人になったら自然と大人の色気を身に纏い、高いヒールを履いて、長い髪を靡かせ颯爽と街を歩く、誰しもがそんな女性になるものだと思っていた。
でも、見た目や声質からか、年齢通りに見られることはない。年齢を伝えると、驚かれてしまうので、年齢を伝えることも最近は恥ずかしくなってしまった。
つまり、わたしは大人の女性として見られたいということだろうか。そこもなんだかしっくりこない。

きっと、何かしらの人に与える印象やギャップが、今こうして書くことのモチベに繋がっているのかも知れないとも思った。

バーにはかなり若い方も飲みにくる。
可憐にお酒を嗜み、1人、もしくは知人や友人、恋人同士でそれぞれの時間を味わい、束の間の夜時間を楽しんでいる。色んなお酒の知識も豊富だ。
お客様が一緒に飲みましょう、とたまにお酒を奢ってくれることがあるが、この前は一緒にどうぞ、とまだ若いカップルの方にワインを奢ってもらい、ありがたく頂いた。
とても素敵なお二人だった。

カフェやバーではそれぞれ思いのままの時間を過ごし、そこで働く私はその幸せな時間をお裾分けしてもらい、家に帰ると最近は風邪でもないのに葛根湯を飲みほっこりして過ごしている。

外では夏に元気に活動していた黄金虫がひっくり返っていたり、蝉が最後の力を振り絞ってないていた。

秋の夜。
9月が訪れた。

夏の誕生日には実家の多肉植物の株わけしてもらい、最近は観葉植物のお店で小さなガジュマルの木を買った。
大好きな沖縄を思い出した。

ガジュマルの木は、幸福を呼ぶ木らしい。
ガジュと呼んで育てることにした。

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