サマソニ日記 復刻版シリーズ(6)2005年 ラーズ、単独レポ!

過去に記録したフジロック、サマソニの日記を復刻させるシリーズです。

8月15日(月)サマソニでのオアシス大合唱の余韻を残しつつ、翌日La'sのライブ@渋谷AXに行ってきました。私は後追いファンなのでバンドの歴史や曲に対する思い入れはなかったのですが、リーが鳴らすギターを初めて聴いたとき、確実に「これはすごい音だ!」と思った。バンドのことも何も調べずに音を聴いただけで、すっかり好きになってしまったのだった。今回はひとりで。やっぱりギターの弾き方を見たかったので、少し早く行って3列目左を確保。前にいる兄ちゃんがちょうどかぶって見えづらく、体をずらしながら見える位置を必死で探してました。

ほぼ定刻どおりスタート。メンバーが現れる。Tシャツやシャツにジーンズといったホントに素朴ないでたち。そして気の利いたMCもなくSon Of A Gunが始まる。でもすきだ~、こういうの。無駄な飾りなんていらないよ。彼らを見てると本当にそう思えてくる。リーとジョンに加えてサポートのギタリストとなんとリーの庭師がドラマーだという…(これはあとで知ったけど)これにはビックリ。すごくシンプルな編成だけど、複雑な音の絡み合いが絶妙だ。かといって複雑なコードを弾いている感じなのに音ひとつひとつが際立って聞こえる。混ざってもカッコイイ音が次々に耳に押し寄せてくる。リーの声が心配されるところだったが心配なんていらなそう。ちょっとしわがれた独特の声、また時には美しいファルセットを自由自在に操る。サマソニで指を負傷したらしく、絶好調ではなかったようだが演奏の力強さや正確さ…完璧だった。

会場は激しく体を揺さぶって踊る人、ゆったり踊る人、じっくり聴く人などと、見方は十人十色。私は今回はじっくり聴く派で。そして、みんながきっと待っていたであろう永遠の名曲、There She Goes(一回目)しかし、速い。CDのテンポくらいゆったり聞きたいと思ったが、超高速だった。まあ、こういうバージョンが聴けるのもライブならでは。シンプルなメロディーと歌詞を繰り返しているだけなのに、こんなにもじんとくる曲が今までにあっただろうか。終始鳥肌がたち、目に涙が浮かんでくる。でもやっぱテンポは速すぎw 

そしてじっくり聴いていた私も、次のFeelin'ではすぐに踊りたくなって、気ままに踊りました。会場中が揺れて、ところどころ叫ぶ声もあり。それぞれが自分のペースで楽しめるライブといった感じで、とても気持ちよかった。やっぱり私はそういうライブが好き。

Timeless Melody…まさにこれはタイトルにふさわしい曲。いつまでも色あせないメロディー。きらきらと心に輝き続けるメロディー。そして時代を越えても廃れることがない数々の名曲を残してきた伝説のバンドとして、La'sもまた語り継がれていくのだろう。

活動中に残した唯一のアルバムは完成度が高く、収録曲はどれをとっても捨て曲ナシ(日本版の+8は…?っていうのがあるけども笑)。もちろんライブもそんな曲がMCほとんどなしで19曲ぶっとおしで駆け抜けるのだから、それはもう終始感動しっぱなし。ジョンのコーラスも美しいし、太いべース音をブンブン鳴らしてスウィングするのは本当に気持ちいい。最高のコンビだと思った。気難しくて頑固なリーと、陽気で人のいいジョン。この2人でないとありえなかったとも思える。曲が終わって息をつく暇すらなく、次の曲がまた始まって…。演奏する本人達も体力的にもきつかったはずだが。年齢的にも…とくにドラマー(白髪)終始ほぼスタンディングだったが平気なのか(笑)

最後はLooking Glass。終わりそうで終わらないメロディーがたまらなく切なく、どうか終わらないで…と願いながらみんながステージを見つめる。リーの切ない歌声が響き渡る。曲が終わった静けさの中、アンコールの拍手。絶対に出て来てくれると願いつつ、ものすごい拍手が沸き起こる。そして彼らは出てきた。MCも特になく、あの切ないイントロが…There She Goes(2回目)

大阪の単独でもサマソニでも2回やったというのは聴いていたから、くるのは予想できたけど、イントロを聴くと嬉しかった。また聴けたよ…(2回目だからちょっとありがたみは薄れたがw)またしても超高速バージョンだったけど、やはり生で聴けると嬉しいものだ。

そして最後はMy Generation…

「This song is dedicated to Oasis!」

唯一のMCでリーがこう言った。むむ?!きっとどこかにいるな?

そう感じながら最後の一曲を楽しんだ。オアシスよりもはるかに魂のこもったリーのシャウト。本当はギターがやるパートをベースが弾くソロのところがあるんだけど、ジョンは本当に楽しそうに弾いていたな~。リアムには悪いけど、The Whoのもってたファンキーさを体で感じたし、オアシスがやったときよりもより自分色になってた。ホントにカッコよかった。

ツアーでもオアシスは何度かこの曲をやってきてるようだけど、これはきっと彼らのテーマだったのだ。My Generationの歌詞は世代間の断絶がテーマになっていて、若者は大人への疑問の投げかける。「なぜなぜ自分たちの言うことをわかろうとやっきになるのだ?(わかろうとしても無駄なのに)」と。

でも彼らは決して世代の断絶を肯定していない。自分達は大人たちに反発しているのではなく、ただこれが自分達の時代なんだからいいじゃないか…と前面的に戦いの姿勢を見せているわけではなく、お互いにうまくやっていきたいような気持が少し表れている。

このテーマの曲をLa'sがオアシスにささげた意味というのが、今回のライブを見て初めて分かったのです。これは彼らの投げかけに対する答えだったのです。お互いの世代を認め合って仲良くやろう。私にはそんなメッセージに受け取れました。そして、これからの自分達の後継者たちに向けた最高の敬意だったのです。それに気づいた瞬間、鳥肌が立ちました。そして、この場面を見てリアムが今回のサマソニのステージを途中でばっくれることなんて最初からできるはずがなかったし、そんなことありえなかったのだと気づきます。

実際その日、オアシスはLa'sのライブを観に来ていて、自分達にささげられたその曲をすごく楽しんでいました。オアシス彼らにとってもLa'sは憧れの存在。そんな人からささげられた最高の曲。みんな過去の偉大なアーティストに憧れてビッグになっていく。憧れの曲に近づけたくて、似たような曲を作ってみたり、憧れの人に近づきたくて歌い方を真似してみたり。それは尊敬する憧れの人への最大の敬意なのですね。

いつも迷言としてとりあげられて、ついつい笑ってしまうけど、よくリアムが「ジョン・レノンになりたい」って言ってる意味がなんとなく分かってきた。不器用だからあんな言い方しかできないのかもしれないし、それをどうとらえられても彼は全く気にしないだろうけど、何か彼らが伝えたいことが分かる気がした。今の若手バンドに対してもかなり悪態をついたり辛口批評をしたりしてますが、それもこれから世代交代をするであろう弟達への愛情なのかも知れません。

La'sのライブに行かなかったら、この2つのバンドの深い係わり合いにずっと気づかなかったかも。。単なる自分の思い込みかもしれないけど、それならそれでいい。これからもいろんな新しいバンドが出ては消えて…というのが繰り返されるけど、今回のような世代間の温かい交流がこれからも続くことを願い、英国ロックシーンを見守っていきたいと思った。

2005年 サマソニ日記復刻版 終わり

次は2006年!

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