見出し画像

映画「君が君で君だ」を見て、愛と執着について考えた

見終わった後になんて言ったらいいかわからなかった。

狭いライブ会場で爆音を浴びた後に残る耳鳴りのように
映画を見たあとにくらった衝撃が今も体に残っている。
映画を見ただけなのにやけに疲れて頭が痛い。

チラシを見た時に想像した話と違いすぎていた。

笑顔の注目俳優三人とヒマワリと青だったから、きっと不器用に生きた三人の青春ストーリーなんだろうなと思って油断していた。

映画「君が君で君だ」のあらすじをものすごく簡単に説明すると、一人の女性に夢中になった男性3人が結束して、ストーカーに近いほどの執着さで彼女を密かに崇め、見守り、愛でるお話。
(あらすじをまとめる才能のなさは許して)

想像を絶する狂いっぷりなので、一緒に見に行く人は絶対に選んだ方がいい。
なんなら一人で行ったほうがいい。
見終わった後に感想できゃっきゃっと盛り上がれる作品ではないのだ。
人に勧めることさえ憚られる。

***

三人の男性が過ごしている空間はこの世であってこの世でない。
大好きな彼女がいることで成立する別世界で暮らしている。
他人が介在しないその世界では異常という概念はない。
彼女を窓から観察しながら同じ時間に同じ食べ物を口にすることや同じタイミングでトイレに行くことが彼らにとってのまごうことなき幸せだ。

彼らのゆがんだ愛情についていけない観客が続出することが想像できる。
気持ち悪いと眉を顰める女性もいるだろう。

でもね、誰が彼ら3人を異常だって切り捨てられるでしょう。
誰かに・何かに夢中になったことない人だけが彼らに石を投げてもいい。
夢中になるって冷静でいられないことだ。
キモくなってしまう自分がいても抑えきれない。
その瞬間は確かに自分は違う世界に存在している。
一方的だとしても愛情を傾ければ傾けれるほど自分は救われる気持ちになる。
それはもう宗教に近い。

私自身も中学生の時にある男性アーティストに激ハマりしてしまい、あの時の自分を振り返るとなかなかキモかったな〜と思う。
CDはもちろん、雑誌も複数冊買ってたし、原宿で生写真(って今でもあるの?)も買って手帳に挟み、部屋にポスターを掲げていた。
この辺まではまあファンだなと思うけど、だんだん熱狂度が増してしまって、新聞記事のスクラップ帳を作り始めたり、ポスターに話しかけたり、友達に彼のことを少しでも否定されると怒り狂ってた。
彼のことを神と崇め、彼が放つ御言葉を聞き漏らさないように努め、熱心に布教活動を行う、それはもう信者でしかなかった。

今振り返るとその時は多感な10代の逃げ場所だったのかもしれない。でもすごく熱中したし生きてるって感じだった。


対象に認識されることがないまま一方的に夢中になってるその世界は安心で美しい。
傷つく事もないし、誰かにジャッジされることもないし、自分が作った世界では自分はヒーローだ。ずっとその世界で生きていけたら幸せだと思う。

でも、みんな年は取るし現実は残酷なほどに突きつけられるし、安心で美しい世界にも終わりはやってくる。

好きって理屈じゃない体の反応だし、愛ってささげる犠牲心。
他人から見たらキモくてやばい人たちだけど私は映画の中の彼らに境界線を引けない。
私たちは大人になって、どんどん客観的に判断して、もう好きという気持ちだけで生きていくことは危険って知りすぎてしまっただけなのかもしれない。

***

「君が君で君だ」
この映画のタイトルがすごく良い。
尾崎豊の「僕が僕であるために」という曲が作中で使われるのを受けてのタイトルなんだろうけど、君がどんなに変わっても落ちぶれても君を愛する(肯定する)っていう切ない執着を感じる。そして自分が自分であるために、歪んでいるとしても愛情を傾けずにはいられないのだろう。

万人受けする作品ではないのだけど、
みんなこの映画見てどんなことを感じるのか知りたいからどうか見てほしい。

https://kimikimikimi.jp

#映画 #感想 #松居大悟 #君が君で君だ #コラム #エッセイ #レビュー #映画レビュー

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

noteは無料ですがもしサポートいただけたら、健康的な食事をしたいと思います。

読んでいただきありがとうございます!
14

Eriko April

都内勤務のしがない販促プランナーです。役に立つこととか難しいことは書けないとわかったので、日常のことを綴ろうと思います。

映画「君が君で君だ」感想まとめ

映画「君が君で君だ」にまつわるnoteまとめ! 〜この愛は純情か、それとも異常か〜 「尾崎豊」「ブラピ」「坂本龍馬」になりきり10年。君のことが大好きだから、君の好きな男になりきる。自分の名前すら捨てた男3人の超純愛エンターテイメント!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。