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がん闘病記#7 入院生活前半戦〜大量出血と輸血〜

ここまで、妊娠24週で大量出血し、切迫早産の疑いから入院、色々な検査の結果、子宮頚がんを宣告されたところまでお話ししてきました。

この時点で妊娠25週5日。
1ヶ月以内の手術がマストと告げられてから、いつ手術するのか、赤ちゃんは無事に埋めるのかということばかりを考える日々が続きます。

産科、婦人科、NICUが連携する大手術のため、手術日の調整に時間がかかったようで、結局転院から2週間経とうとするときに、妊娠28週4日で手術することが決まります。その時既に手術まで2週間を切っており、なんだか気持ちの整理がつかないまま、気を緩むと涙が出る毎日でした。

コロナで面会NG、隣とはカーテンで仕切られただけの空間なので電話NG、電話できる場所に行くには看護師さんを呼んで車椅子で行くしかなく、尚且つ15分の時間制限付き。
救急患者を扱っている病棟に入院している中、看護師さんに頼むのも申し訳ないと思い、入院中は誰とも電話もせず
今思えば、半ば精神が崩壊していたようにも思います。

今回は手術までの入院期間に起こったことについて話したいと思います。
おそらく子宮頸がん合併妊娠じゃないと経験しないことの数々でした。



突然の大量出血

入院生活24日目(妊娠27週5日)

お腹に痛みは全くないけど、子宮口のあたりで何か滴る感じがする。女性なら生理中に血が出てる時のあの感じ。
急いでトイレに行く。
生理1日目くらいの出血。

ここ数日、時々出血していたので、この辺りになると段々慣れてきた。出血したら看護師さんに伝えるように指示を受けているので、ベッドに戻って看護師さんを呼ぶ。

「もう止まってるけど、ちょっと出血しちゃいました。」
そう言って起きあがろうとすると、ドバッとまた出血を感じる。

え?
ズボンまで真っ赤になるくらい出血してる。
流石にこれはやばいのでは‥

看護師さん「すぐにドクターに診てもらいましょう!」。
診察室までは50mくらい。
急いで向かおうにも、ちょっとでも動くとどんどん血が流れてくる。塊のようなものが出てるのも感じる。
まさかここで早産になっちゃうの!?とパニックになる。

手術まであと1週間ある。

前日の超音波検査で赤ちゃんの大きさは1,157g
もうちょっとお腹にいさせてあげたい。もうちょっと大きくなって欲しい。

廊下に血を滴らせながらようやく診察台へ。

先生「子宮口は開いてないですね。赤ちゃんも元気だから大丈夫ですよ。ただ出血が止まらないので、ガーゼ詰めておきますね。トイレ行きづらいけど我慢してください。」

赤ちゃんは大丈夫という言葉に一安心。
診察台を降りようとすると、あたり一面血だらけ‥。血の匂いが広がっている。

看護師さんから「出産の時はこれくらい血だらけになりますよ。」と笑顔で言ってもらう。
そうなのか。世の中のお母さんみんなすごい。

たかだか50mの道のりを車椅子に乗せられてベッドに戻る。
この後が地味に辛かった。

小便が出ない・・・?


止血のためにパンパンにガーゼを詰めてるため、トイレに行ってもオシッコが出ない‥。ガーゼで尿道に蓋をされている感じ。
1回目のトイレは何も出なかった。
仕方なくベッドに戻る。
お腹が張ってくると膀胱が圧迫されて、赤ちゃんが少しでも動くだけで痛い。

トイレに行く。数滴しか出ない。
こんなことを繰り返して、夜もあまり眠られなかった。

翌朝、もう一度診察台へ。
ガーゼを外すと‥

先生「うーん、血が止まってないね。どうしましょうか?」
この日はちょうど産科の部長もいたので横にいたようで、何やら相談している。

どうしましょうとは?と思っていると。

「なんだ、これくらいの出血なら大丈夫。今回出産と切り離して行う手術じゃないから、あと1週間、頑張ってガーゼ詰めて持ち堪えよう。」
という部長の声が聞こえる。

どうやら、出血が止まらないから、このまま帝王切開という選択肢も浮かんだみたいだった。
そしてここから手術の日まで、毎日ガーゼを詰めなおす日々が続く。

子宮頸がんは自覚症状がなく、出血する頃には癌が進行しているケースが多いというけれど、この数週間でも進行してしまったのだろうか。
入院したころから、おりものも膿のような色になっていた。

なんだか、こんな子宮で子どもを育てていることが申し訳なくて、あんなに妊娠期間を延ばしたかったのに、早く手術の日が来た方がいい気さえしてきていた。

まさかの輸血騒動

そしてその翌日、思いもよらない事態に。

入院中は定期的に採血があり、鉄不足から、毎日鉄剤を処方されていたが、この日ヘモグロビン数が8を切っていた
妊娠前はよく献血をしていたが、12前後あったはず。
どうりで頭が痛いわけだ。
看護師さんからも顔が青白いと、朝から心配されていた。

そして、ドクターがベッドにいらっしゃった。
「ヘモグロビンの数字が低い。明日も採血して貧血だったら、事前に輸血しておいた方がいい。」

・・・え?

輸血!?

今まで献血で血を差し上げたことはあっても、まさか自分がもらう立場になるとは思わなかった。
出来れば輸血はしたくないけど、産まれてくる子供のためにも、やった方がいいことはなんでもしたい。

「やります。」と即答し、翌日の採血の結果、輸血をすることに。

点滴が入りにくいため、1回ルートを取るのに平均3~4回は刺され、さらに点滴が身体に合わないのか2~3日で刺してる部分が真っ赤になってしまうため、すぐに差し替える日々。
ここまで何十回針をさされたか分からない。

針の穴や、点滴のあざで傷だらけの腕に、さらに輸血の針が刺さる。
右から輸血、左から点滴。

そして結局1回の輸血ではヘモグロビン値は改善せず、手術前日にもう一度輸血を受けることに。
今度は左から輸血、右から点滴。

人間慣れとは怖いもので、こんな状態でも眠い時は眠れる。
そして、輸血をしたことで、頭痛がパタッとなくなり、力がみなぎる。
なんだかヴァンパイアになった気分だった。

赤ちゃんの肺を大きくする注射


今回は28週4日での出産になるため、赤ちゃんの肺がまだ未成熟の状態。
お腹の中にいるときは羊水に囲まれているので、そもそも肺を使う必要がない。出産と同時に初めて肺呼吸をするので、赤ちゃんにとっては初めての仕事かもしれない。

そんな大事な肺が未完成の状態で我が子はこの世に出てこなくちゃいけない。

赤ちゃんの肺胞を大きくするのを手助けする薬があり、母体を通して赤ちゃんに効くとのこと。
手術前までに日を分けて2回注射を打つ必要があるということで、この輸血騒動の最中に、1日目は右のお尻に、二日目は左のお尻に注射してもらう。

右手に輸血、左手に点滴、お尻に注射である。
満身創痍過ぎて、笑えてくる。

こうして、身体中ボロボロになりながら、手術を迎えるのでした。


今回はここまで!
お読みいただいた方、ありがとうございました。
次回は、手術前説明について書いていきたいと思います。

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