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がん闘病記#8 手術事前説明

ここまで、妊娠24週で大量出血し、切迫早産の疑いから入院、色々な検査の結果、子宮頚がんを宣告され、妊娠28週4日で手術することが決まったことまで書きました。

今回は、手術の3日前にうけた事前説明について書いていきます。



主人との再会

入院27日目(手術3日前)、手術内容の事前説明ということで、久しぶりに主人と会えることに。産科では本来面会NGだが、今回は状況が状況なのでということで、特別に配慮してもらえたそうだ。

コロナ禍なので簡易の防御服(ブルーのビニールかっぱのようなもの)をまとった主人と、個室で面会。大学病院に搬送される救急車内で会って以来なので、実に20日ぶりの再会。電話も出来なかったので、声を聞くのも久しぶり。

先生が来るまで10分くらいだろうか、2人で話せる時間があった。
少し大きくなったお腹を見てもらう。コロナ禍、防護服も来ている身で、触るのはまずかろうと、見るだけ。
エコーではこの日1,284gまで成長した模様。ボロボロの子宮の中で、平均より少し大きいペースで大きくなってくれているようで、息子に感謝。

とはいえ、臨月の妊婦さんと比べるとまだまだお腹は小さい。着る服によっては妊婦さんと分からないくらい。実際に先月まで会社に毎日通勤してたけど、周りの人はほとんど気付いてなかった。
小さい話だけど、マタニティライフ用に買ったパジャマや、下着、お腹用のペイントなど‥全部ゴミになっちゃうのか‥、と空しい気持ちになる。

お腹の写真を撮ってもらっていると、先生がやってきた。

広汎子宮全摘術とは・・・卵巣は残せる?

今日の説明は執刀医の教授ではなく、助手の先生。
婦人科と産科からドクターが1名ずつ、記録係として看護師が1名席に着く。
1時間ほどかけて手術内容、治療方針について説明いただく。

説明内容は以下の通り

  • 今回は広汎子宮全摘術とリンパ郭清(かくせい)を行う予定

  • がんの進行度合いによって、卵巣を残す選択肢もある

  • がんステージは他組織への浸潤度に応じて1~4と別れているが、腫瘍の大きさによって、1A期、B期、2A期、2B期とさらに分かれる。腫瘍が大きい場合B期。

  • (私の場合)妊娠中で子宮が膨張しているため、腫瘍も大きくなっているだけで、実質は小さいという可能性もあるため、最終的なステージは病理検査に出すまで分からない。

  • B期の場合、卵巣に転移している可能性が0.9ー2%程度あるため、摘出するのが一般的。ただし、患者さんの意思を尊重するので残す選択肢もあり

  • 仮に卵巣を残したとしても、がんステージ2だった場合、追加で放射線治療を行う。放射線治療によって卵巣は機能を失うので、摘出したのと同じことになる。リスクを冒して卵巣を残しても意味がなくなる。

  • 卵巣を摘出する/もしくは放射線治療を行うと女性ホルモンが止まるため、更年期障害が発生するなどの合併症があり、対策として今後ホルモン補充を行うことになる。ホルモン補充の方法は塗り薬、張り薬、飲み薬の3種類から選べる。

  • 先に部分麻酔で帝王切開をし、赤ちゃんを出した後に全身麻酔に切り替えて摘出手術を行う

  • 子宮の周辺は膀胱や直腸などの組織が隣接しているうえ、妊娠中で膨張した子宮に押され、臓器の位置が通常と異なるため、かなり難しい手術。もしもの場合に備えて、他の科とも連携している。

  • 術後は出血や排液の排出を助けるためにお腹にドレーンという管を設置。排尿が膀胱への負担になるため、1週間は尿道カテーテルをつける

  • 合併症として排尿障害が起きやすいので、排尿トレーニングも必要で、退院までは3週間ほどかかると思う

  • また寝たきりだと腸閉塞の懸念があるため、手術の翌日から歩いてもらう

情報量が多い上に、極度の貧血でぼーっとした頭で説明を聞く。
(この日の説明の後に輸血を受けることに‥詳しくはこちら)

ここまで来ると、全て受け入れるしかないので、基本的には「わかりました」と言うしかないものの、気になるのは卵巣の話。

卵巣を残すか、摘出するか、皆さんだったらどうするだろう
2%をリスクと捉えて摘出するか。2%なら大丈夫だろうと思って残すか。

とてもこの場では結論を出せず、答えは手術の前日までに出せばいいとのことになった。

(手術全体に比べればということだろうが)卵巣自体を取ることは難しいことではなく、ギリギリまで考えて大丈夫とのことだった。

私はかなり低い確率をくぐって今回の癌に至っている。
もう、これ以上はないだろう、と半分笑えてくる程。
この時39歳。更年期障害が50歳前後に訪れるとして、約10年間ホルモン補充し続ける生活なんて嫌だ。

それに女性ホルモンが出なくなったら、母乳にも影響を与えるのでは?
予定より3か月も早く産まれて来ざるを得ない息子のために、せめて母乳くらいは良い状態であげたい。

そんな考えから、手術前日「卵巣は残してください」と伝えた。

どうしたら今回の事態を防げたのか

手術の事前説明を一通り受け、最後にどうしても聞きたかったことを聞く。

「私はどうしたら良かったんでしょうか。」

毎年人間ドックと婦人科検診を受け、過去に卵巣にチョコレート嚢胞を経験したことから、いつか卵巣がんになるかもとの懸念から、腫瘍マーカー検査まで受けるほど慎重だった
ここ2年は不妊治療で毎月産婦人科に通っていた。2回の流産を経て、着床前診断も実施し、7回目の体外受精でやっとできた妊娠。
初妊婦検診でひっかかったものの、そのあとの精密検査でクリアしていた。

日本人の2人に1人は癌になる時代。別に癌になったって仕方ない。だけど、なんでこのタイミングなのか。私の人生においては間違いなく、一番なってほしくないタイミングだった。

この癌は、そんなに急に出来たものなのか。どうしたら早期に見つけて治療することが出来たのか。

こんなこと、ここで聞いても意味ない、聞いて何かが変わるわけでもない。分かっていながら、聞かずにいられなかった。
恥ずかしながら、涙が止まらない。泣きながら質問していた。

先生から最初にもらった一言は「お気持ちをお察ししますとしか言えない」だった。

「がんはおそらく以前からあったものです。腫瘍の場所が少し奥まったところにあるため、検診では見つかりにくかったのでしょう。ただ、今はそれを考えても仕方ない。今できるベストを尽くしましょう。そして今、それをできる環境にいます。」

今までの検査や不妊治療をしていた病院ではないので、こんなこと聞いて申し訳ないと思いつつ、
ベストを尽くせる環境にいる”
という力強い言葉をいただけて、少しだけ前向きになれた。


さて、本日はここまで。
毎回長々書いてますが、最後までお読み頂いた方、ありがとうございました。

次回は手術当日の話を書いていこうと思います。
手術当日は、、、とにかく張り止めの点滴が外されたことが嬉しかったです。もう、両腕がボロボロになっていたので(苦笑)

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