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「原付等安全講習」を受けてみた。


原付等安全講習

先週の平日、埼玉の鴻巣免許センターにて「原付等安全講習」を受講した。
この「原付等安全講習」とは、早い話が
「免許は持ってんだけどね、最近全然乗ってないからちょっと慣れるために運転練習したいのよ」
という向きのための講習である。
「そんな講習、全国どこでもやってるんだろう」
そんな漠然とした考えを持っていたのだが
そんな簡単なものではなかったことは後述したいと思う。

ありそうでない原付の講習会

車のペーパードライバー教習については、全国で日々腐るほど行われているようで、
ネットで検索してみても「どこで誰に習おうか迷ってしまう」ほどの情報があふれている。
しかし「二輪車」となると驚くほどに情報が少ない。
しかも「原付」となると情報がない、ない、ない…。
とにかくないのである。

100歩譲って「ある」としても、少なくとも東京近県・首都圏では
これがなかなかない。
私が見つけてみたものとしては
神奈川県二俣川の民間の教習所が1件。
そして今回参加した、埼玉県警・鴻巣免許センターで開催されている「原付等安全講習」となる。
東京都内にもないものか、くまなく探してみたのだが1つもみつけられなかった。
(ネット上では掲載されているものも一部あったが
「以前はやっていたが今はやっていない」と全て断られてしまった)

講習参加が決定

ネットで情報を見つけ、早速電話をしてみると
「はい、やっておりますよ」という淡々とした対応。
「当日○時まできてください。費用が3,850円、免許証を持ってきてください」とのこと。
(や、安い…。通常の二輪の練習講習のようなものは大概が数万円以上がかかる。そこはやはり公的なものだからだろうか)
「名前と住所を教えてください」
(埼玉県民じゃないとダメです、と断れたらどうしよう、かと思ったが、問題はなかった。安堵)
「時間はどれくらいやるのでしょうか?」
「13時から16時くらいですね。原付免許取得希望者と共同で行います。講習参加者は"居残り"がさらに30分くらいです」
(な、長い…。しかも"居残りってなんだ?"ま、長いということはそれだけ良心的なんだな、と思い直す)

参加日当日

12:20頃までには来て手続きをすましてください、とのことで
時間を逆算し、出発。
最寄駅の鴻巣からはやや距離がある(バスor徒歩)ので
11:50くらいには駅にはついていたい。
そう考えると私は自宅を10時前には出ることにした。

電車に乗っているだけの時間とはいうものの、
池袋から赤羽、浦和、大宮を超え、もっと、もっと、もっと北へ…
ボックスシート主体の高崎線に乗り、しばし小旅行の気分を味わう。


講習開始

13時より指定の建物に集合し、講習開始。
参加者は15名くらいだろうか。
ひとりだけおじさん風貌の人がいたが、
あとはおそらく10代じゃないか、というほど若い。それと私。
ひとりのヤンキー若者がじゃらじゃらとしたネックレスをしていて
担当官が「そのネックレスは危ないから外すかシャツの下に入れたらどう?」と問うと
「いや、このままで大丈夫です」「しかし外した方が」
緊張感のある問答が繰り返されたが若者は根負けしてシャツの下に入れたようだ。

「じゃあまずこのDVDを見てください」
視聴後、いよいよ乗車となる。


乗車開始

外へ出るとバイクが7〜8台ずらりと並んでいる。
「あーいよいよ乗らなきゃいけないんだな」
そりゃそうだろう、そのために来たのに。

「2人ひと組になってどのバイクでもいいからバイクの後ろに並んでください」
おや、私のバイクは私ひとりではないか。
「27番さん(私)は、おひとりで結構です」
なんじゃそりゃ、なんで俺だけみんなと違うの?よくわからないがまあいいか。

このあと2人ひと組の交代制にてバイク練習が延々と続く。
しかし私だけは交代がないので2倍の時間乗ることになった。
まあトクと言えばトクという訳だ。しかし休みなしといえば休みなし…

練習の内容は一般的な流れだが、
エンジンの掛け方、乗り方、まずは発進・ストップ。
コースの周回。その後、S字・クランク・8の字走行と続く。

言うまでもないことだがS字・クランク・8の字は
難度が高く難しい。
35年くらい前に数回友達のバイクで遊ばせてもらったくらいの
私にとってはほぼ初めての体験だから決して簡単ではない。
このような練習を必死にやっていると
当初は「3時間も何をやるんだ」と思ったものだが
あっと言う間に時間は経過した。

運転教習とパワハラ

その昔、四輪免許取得のために自動車教習所にもちろん通った訳だが
この自動車教習所という施設は昔は特に「パワハラの温床」の象徴のような施設だったと思う。
おそらく今でも変わってはないのだろうかな。どうだろう。

今回の講習も開始前に担当官が
「みなさんに教習中に"止まれっ!と声を荒げることがあるかもしれませんが
どうかご容赦ください。それは"止まってくださーい"
だと語句が長すぎて緊急時に言葉が間に合わないくなってしまう場合がありますので」との理由説明だった。
「そうか、今時はそんな注釈説明をするのだな、こういう施設も紳士的になっているのかな」とも思ったが
始まってみると笑えるほどに高圧的であった。
周回中には各所に担当員5、6人が構えていて、常に周回者に何かを怒鳴っている。
「そうじゃないよ」「先を見るんだ」「さっきも言ったよ!二度目だよ!」
多分まあまあうまい人も中にはいるはずだが、褒めなんかは絶対ないんだろう。その場合はスルーか。
とにもかくにも車の教習施設には「パワハラ」環境が
昭和の如く温存されいるのが面白い。
私自身いい歳なので、久々にそういう感じのなんというか懐かしい体験をさせてもらった。

教官と生徒のやりとりはコント?

教官と生徒のやりとりはお互い大真面目ではあるのだが、芸人のコントに酷似している。
教官がつっこみで生徒がボケ役となる。
教官「では私が見本を見せるから真似をしてやってみるように」
生徒「わかりました!では…」
教官「違う違う、そうじゃない…」が繰り返されることとなる。

私の練習中も教官が「では私が見本を見せるから…」
とバイクで走り出したので、その後を大急ぎでついていったら
「止まれ止まれ!ついてきちゃってどうすんの!止まってそっちからまず見てなさいよ」
「そうですかわかりました」そんな感じの場面もあったりして
(こりゃコントのネタだな…)と思った次第である。

居残り練習

15:45頃、「走り終わった方はヘルメットと軍手を外してもらっても結構ですよ」との触れがあり
やや安堵し外しにかかっていたところ
「27番さん(私)は居残り練習しないでいいんですか?」
(え?俺だけ居残り練習なの?)と思わず戸惑ったが、
これが最初に言っていた「安全講習参加者は更に時間延長となる」との内容の件だとようやく理解。

みんなぞろぞろと校舎に帰っていくのに、私だけ現場で居残りと相成る。
要するにこの日の参加者は他の者は原付免許取得者の必須講習であり、
私だけが自己希望の運転講習者なのである。
30分ほど、苦手なS字・クランク・8の字走行を繰り返し、最後に
「一本橋渡ってみますか?」とのことでそれにもトライ。
落ちたら嫌だな、とも思ったものの、
なんとか無事に渡りきり、うまく講習をしめることができた。

終了

校舎に戻ると、他の参加者は何かお話を神妙にきいているので
私も席に座ると、紙製の名刺大のカードを渡され、
「はいお疲れ様でした。おかえりください」とのこと。
「もう帰っていいんですか?」「はい」とのことで
他の参加者を尻目にひとりそそくさと退散。
終了である。

名刺大のカードは受講証明書と書いてあり、私の名前が記載されている。(写真参照)


「だから何なのか…」と思えなくもないが
この日、頑張った証となるカード、これからも大切にとっておこう。
今後、誰かに見せることもないだろうが…。


とまあ、これがこの日の「原付等安全講習」の体験記である。
色々と書かせていただいたが
結論としては3,850円の費用で3時間ほど密度の濃い練習ができる、
これほどの良心的環境は東京近郊では他にはまずないであろう。

東京近郊在住の方で原付練習をされたい方、
是非参照されたい。

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