今週ニコニコで配信されたブルースワット第44話「虫歯の電脳戦士」が酷すぎる回なのでレビューしてみた

随分と久々の投稿になりますが、今週東映公式で配信されたブルースワット第44話「虫歯の電脳戦士」が初見時あまりにも酷すぎる回として記憶に残っていたので、また配信されたこの機会にレビューしてみます。

・Volume44「虫歯の電脳戦士」(脚本:宮下隼一/荒川龍、監督:小西通雄)

スペースマフィアのムッシュJがクイーンに無断で最強の電脳エイリアン・パルスを出動させた。パルスは核ミサイル基地に侵入しようと試みる。だが、何を間違ったのかパルスは虫歯の男にインヴェードしてしまい、激痛に襲われるハメに。

あらすじより

アメリカの核ミサイル基地に電脳世界を自由自在に移動できるパルスを送り込み、世界中を核ミサイルで攻撃し廃墟と化した世界に君臨しようとするムッシュJ。もうスペースマフィアの当初の「無血占領」とは何だったのかレベルの作戦ですが、流石に無血占領とかけ離れた作戦に納得いかなかったのか、単純にムッシュJの無断の行動が許せなかったのか、パルスを無駄遣いされたことに怒ったのか、理由は分からないもののクイーンは作戦の中止を命ずるがJは作戦の続行を宣言する。

そして宇宙に拠点を構えてるのに、わざわざ日本の米軍基地から海底ケーブルを通ってアメリカへと向かおうとしているパルス(話の都合その1)を、セイジがいち早く検知し回路遮断で先手を打ってパルスを追い出すことに成功。本当に、話を動かすのに便利な天才キャラです(笑)

そしてパルスの作戦を止めようとしたブルースワットだが、ショウが狭い地下空間でよりにもよってミサイルランチャーをぶっぱなし(話の都合その2)、これで爆発していたらパルスもろともブルースワットは生き埋めの憂き目だったのですが、ミサイルランチャーは不発に終わり、パルスは地上へと逃げだす。

そして地上へと逃げだしたパルスは、同じく歯医者から、そして彼女から逃れようとしていた虫歯の男、高中真吾とばったり。パルスはショウの目の前で逃れるために真吾にインヴェードし難を逃れるが、パルスは虫歯に苦しみ、ショウはパルスがインヴェードを解除できないことを悟る。結局パルスには逃げられてしまい、サラ、シグと合流したショウはサラに「単独行動は厳禁よ」と怒られてしまうのですが、生き残りとはいえプロフェッショナルチームのブルースワットが、しかも44話にもなって、なんでそんな中学生みたいな理由で怒られなければならないのか(^^;

ちなみに44話といえば、この前作品「特捜ロボジャンパーソン」ではSS-Nとの決戦編であり、後作品「重甲ビーファイター」ではセントパピリアが登場して最終決戦への地盤を固めている時期なのですが、今作はこの時期になっても全くキャラの地盤が固まってないのがこの台詞から伺えます(固まってない、というか、脚本家がキャラを理解していないというか)

ショウの撃った不発弾を抱えたまま人間にインヴェードし、しかもそれを解除できないまま逃げ回っているという長ったらしい説明台詞の後、パルスの抱えた不発弾反応を追うことでサーチに成功したブルースワット。自らを電気信号化して政治や経済の中枢を攻撃できるというパルスの恐ろしい能力がシグによって解説され、つくづくこんなギャグ回で出番が来ることになってしまったパルスがとても哀れです(強力だからこそこんな回に駆り出される、というのもさもありなんですが)。

それはそれとして、不発弾になった時の為に不発弾の反応を追えるというのもなかなかなご都合主義なものですが(以前浴びると爆発する液体だけ研究所から調達して、その中和剤を取ってなかったためにトライアスロンする羽目になった話とかが過去にあったことを考えると、それから反省したのかもしれませんがそれにしてもやはりご都合)、パルスはその不発弾と同じ反応の金属片を後楽園遊園地にばらまき、現在位置を攪乱。

そのパルスを追って遊園地に入ったところで、ショウは真吾の恋人、坂井陽子に絡まれてしまう。この陽子がまた実にうるさく、鬱陶しくてストレスに感じるキャラです(^^;そして真吾の中にエイリアンが残っていることを確認したブルースワットですが、シグは「しかしなぜこんな手の込んだ事を。他の人間にインヴェードし直した方が早いのに」、それに対してサラも「確かに変ね」…って、え?さっきショウが「どういうわけか抜け出すことが出来ないまま逃げてるんだ」って言ってたのを2人とも聞いてたはずなのですが。

そんな2人の揮発性メモリな記憶はさておき、真吾は緊張すると虫歯がうずく、というこれまたえらく都合のいいというか悪い体質で、会社の企画会議を控えた真吾はそれで虫歯が痛んだために会議から逃げ、歯医者からも逃げ、そして自分からも逃げており、そんな真吾を立ち直らせたい…という陽子の独白を聞くブルースワット。会議の日に歯医者を入れなければならないほどの歯医者嫌いの虫歯持ち、ってなかなか感情移入しにくい無茶な設定で、聞いてる側としては話にのめり込みにくく感じます。そして正直今までの描写からしても、あまり褒められた性格でない陽子ですが、そんな彼女の独白を聞いた瞬間あっさり「愛してるのね」と言ってしまえるサラは、一体どうしてしまったのか(^^;

そんな真吾の事情を知ってパルスが虫歯の為にインヴェードを解除できない、という事実は分かるのですが、結局それでブルースワットのやることも心持ちも変わらないので、ここの話の組み立て方はグダグダ、という他なし。そしてそこにセイジとスミレが飛び込んできて、セイジが「不発弾がパルスの神経組織に突き刺さっているのが分かったんだよ!」と画面外で謎を解明する天才ぶりを見せてしまい、さらに上乗せされる手抜きご都合主義展開(笑)ここまで来ると、いっそ笑いがこみあげてくるレベルです。

神経組織に突き刺さった不発弾は刺激で信管が戻ってしまう可能性があり、そのタイムリミットは2時間。一方でパルスは虫歯の痛みに耐えかねて暴走を始め、街中の信号や電子機器が操作されて街は大パニックに陥り、本当に凄まじい能力の持ち主だけに、こんなしょうもないエピソードの担当になったのが実に勿体無い。まぁ別に街中が大パニックになったところで、ブルースワットもスペースマフィアも一切そのことを気にせず、フレーバー程度の演出としてこの辺りはスルーされるわけですが(笑)そして街中を彷徨するパルスはゲームセンターの筐体を見て、「こ、これは!米軍のコンピューター端末だ!」ともうコメントする気力も失せるズッコケ具合を見せた後、作戦成功を確信してゲーセンの筐体に触手を絡ませて高笑いするとんでもない不審者ムーブをぶちかまし、世界は無事でも彼は社会的に無事では済まないでしょう…

ここでパルスを勝手に出撃させた結果このような事態になったことに関してクイーンからJへの直々のお叱りが入り、こんなどうしようもない話で株を下げるJ、ただただ可哀想。その頃真吾はゲーセンで暴れているところをブルースワット含む観衆に見つけられ、真吾の社会的死が確定したところでパルスは逃走。ショウがパルスを救援に来た協力者を偽って車に乗せ、真吾の身体からパルスを追い出そうとするもクイーンが送り込んだ処刑人ゴアの介入によって作戦は失敗。クイーンに見捨てられたことを知ったパルスは真吾の身体のまま、作戦を続行しようとする。ここはパルスがゴアを倒し、強敵であるという強さを見せつけるシーンと、車から追い出されるショウの危険スタントがあり、まだ今回の中では見どころがあるシーン。

天才のセイジに聞いたところ、「パルスが電気信号化すると中の不発弾は一緒に液状化し、爆発の心配はなくなる」とのことから一計を案じたブルースワットは、パルスが先程の地下に入ったところで麻酔弾を打ち込むことによりあっさりパルスと真吾の分離に成功。そして逃走したパルスを屋外のパソコンによって誘導し、人里離れたいつもの採石場へ誘導することに成功したのだった!

「ここは俺とおまえの、バトルフィールドだ!」と言った割にはあっさりサラとシグが駆け付けてしまい、台詞も冴えない本日のショウ、せめてブルースワットだけでも倒していこうとするパルスに人質に取られてしまう。そしてシグ、

「あと5分で爆発します!」

…え?(^^;

どうやらパルスの中のミサイル、パルスが元に戻った時に一緒に戻ってしまったらしいのですが、だったらミサイルが液状化するなんて余計な一言を付け加えないで素直に「爆発しても安全な山奥へパルスを誘い込む」でよかったと思います。…なんか、液状化したらもう爆発しないから安心、みたいになってましたが!

そして心の中で「許さねぇー!」と叫んだのか、いつもの曲に合わせていつものようにいつもの人が宇宙からやってきて、ゴールドプラチナムの援護からのシルバニックギア&ドラムガンナー贈呈からのドラムガンファイヤーでパルスはあっさり爆死。まぁもうこの流れはブルースワット後半戦の様式美と化しているので、特に言うことはないです。

そしてアフターケアとして、真吾を陽子の、そして歯医者へと連れていくブルースワットだったが、終始パルスに操られていただけだった真吾に当然歯医者に行く勇気が出るきっかけもなく、逃げようとしたところでショウも歯が痛み出して歯医者へと連れていかれるのだった…という元の木阿弥、というか凄まじい骨折り損のくたびれ儲けオチ。というか真吾、歯医者なんか気にしている場合ではないのでは…

というわけで、なんで44話にもなってこんな話をやっているんだ、というかよくこんな話通ったな、という、過去の東映特撮ヒーローレギュラーである朝倉圭矢さんを招いたにも関わらず、小西通雄監督の最後の監督作品としてはあまりにも酷すぎる1話でした。まぁこの話のみならずブルースワットは全体的に話が低空飛行すぎて、それはまぁ次作が完全子供ウケ狙いの「ビーファイター」になるのもむべなるかな、という話ではあります…

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