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【ビジネス書】きみのお金は誰のため

田内学 著

田内さんの紹介をすると、
東京大学を卒業し、米国最大の投資会社ゴールドマンサックスで16年間、
株や債券投資の部門に従事し、「投資」のど真ん中にいた人です。
以前にも読んだことのある「お金のむこうに人がいる」の著者でもあります。

そんな人が書く、「お金は何の価値もない」という本です。

簡単に中身を紹介しますと、話自体は読みやすいように物語風に書かれています。その中で、
・お金自体には価値がない
・お金で解決できる問題はない
・みんなでお金をためても意味がない

という話が書かれています。
とてもよかったので、是非皆さんにも読んでもらいたいです。

とくに印象深かったことをお伝えします。

①日本の借金が増えると、みんなの預金が増える

日本は毎年毎年借金が積み重なっており、
2023年では1200兆円あると言われています。
悲観論者の間では、
・日本は世界一借金が多く、このまま進むと財政破綻する
・今の借金は未来に返済しないといけないので将来を考えていない
もっともらしく聞こえます。

ただ、今の国民の総資産は2000兆円あると言われています。
単純に言えば、国が借金を増やすとみんなの貯金が増えるわけです。

国の借金は増えるけど、国民の貯金が増えるのと、
国の借金はなくなるけど、みんなの貯金もなくなるのとでは、
どちらが良いかは明白ですね。

国は、借金を増やした分、国民や企業にお金を持ってもらい、
それで経済を回して、生活を豊かにしようと思うわけです。
お金がなければ行動できる幅は狭まりますが、
お金があれば企業はどんどんサービスを向上させ、
個人はどんどん消費をして生活向上しますよね。

もし国が借金を増やして良くない例があるとすれば、
国が借金をしても国民が働かずに貯金が増えず、
全部海外に流れて言った場合に破産してしまいます。

日本は、
海外に輸出できる生産力と、
日本の文化や食を求めてくる観光資源と、
まじめに働く国民の労働力がある限りは、
ますます豊かになっていくと信じています。


② 格差が広がっているのは良くない

「国民がお金を持っても、一部の富裕層に流れているだけで、
庶民にはむしろ負担が増えるだけで、格差が広がっている。」
という声もあります。

確かに個人資産で見ると顕著です。
世界の上位1%の人が、世界の50%の資産を持っている、
さらにその傾向は広がっていると言われています。

資産だけ見るとそのようなことは言えますが、生活の質はどうでしょうか?
・amazonのおかげで家にいながらほしいものがいつでも手に入る
・NETFLIXのおかげで月2000円でいつでも映画やドラマが見放題
・外食チェーンのおかげでいつでもお手軽においしいものが食べれる
・家電業界が頑張れば、テレビ、冷蔵庫、スマホなど生活の質が上がる

10年前、20年前と比べれば、はるかに生活の質が良くなっており、
しかも資産を持っている人ともっていない人での生活の質の格差は、
むしろ少なくなっているのではないでしょうか。
数千円あればおいしいものが食べれますし、
数千円あれば娯楽も楽しめます。

金融格差が広がり、大企業が社会の底上げを行っているおかげで、
生活格差は縮まっています。


③ お金の向こうには人がいる

この本の中心の話です。
お金を払ってもらうものは、「物やサービス」ではありません。

コンビニで100円のパンを買うとしましょう。
→50円がパン販売者人件費、50円が仕入
→25円がパン製造者人件費、25円が原材料
→25円が小麦生産者人件費

つまり100円全て人件費であり、労働に代わっています。
お金は全てその間の交換される道具として使われています。

何が言いたいのかというと、
お金を支払う先には人がいて、労働と結びついています。
今の社会では、その工程が長いため、
なかなか実感できないようになっています。

しかし、野菜農家の人から直接野菜を買う場合はどうでしょうか?
100円の野菜が直接農家さんに渡ります。
農家さんが育ててくれた野菜をじかに感じる。
農家さんも自分の野菜が直接食べてもらえる。
そこに、両者幸せを感じられるのではないでしょうか。


決してお金に価値がないと言いたいわけではありません。
お金の価値を正しく理解することが、
お金に執着せず、
日々の幸せの中に何が必要なのかが分かるようになると思います。

是非ご一読ください。

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