スクリーンショット_2019-04-06_23

【Global AR Interview】Posemojiの創業者が語るARとAIの融合の可能性と難しさ

海外のARスタートアップのファウンダーやキーパソンに突撃インタビューするシリーズ企画『Global AR Interview』

今回は自分のポーズに合わせて簡単にかっこいいエフェクトやフィルターをARで表示できるiOSアプリ「Posemoji」をリリースしたViro MediaのCEO、Danny MoonさんにPosemojiがどんな人たちに使われて、これからどうやって事業を拡大していこうと考えているのかを聞いてきました!

Posemojiとは?

Posemojiは3月末にリリースされたiOSアプリです。スマホカメラのみで被写体のポーズを検知して、ポーズの変化に合わせて様々なエフェクトを表現することができます。

ダウンロードは無料でできますが、全てのエフェクトを利用するためには課金する必要があります。

実際に自分でもアプリを落として体験してみました。

ちなみにまじでおじさんがやるアプリではない😇(笑)

もともとはReact NativeでARアプリが作れるSDKのViro Reactなどを作っていたり、ARで空間にスタンプなどを配置できるFigment ARというARアプリを作っていたスタートアップでした。

今回新たにいままでとは異なるタイプのアプリを出したということもあり、興味があったのでTwitterでインタビューをお願いしたところ、快く受けてくれました!

ということで今回は共同創業者のDannyさんのインタビュー内容を日本語に翻訳してご紹介します!

Q: Posemojiはどのユーザー層を狙ってリリースしたの?また今はどの国で人気?

Posemojiはすべてのユーザーにとって楽しいものだと思ってるよ。でも特に我々が狙っているユーザーセグメントが3つあるんだ。

1つ目のセグメントが10代の若者で、TikTokや他のビデオフィルターアプリを使っている子たちだ。

2つ目は子供をもつ親たち。彼らはPosemojiを使って子供の動きにエフェクトを付けて楽しんでいるよ!

そして最後のセグメントがクリエイターだね。例えばダンサーや振付師、アーティスト、パフォーマーの人たちだね。彼らは自分のパフォーマンスにリアルタイムでエフェクトをつけてシェアしているんだ。

国でいうと今はアメリカがやっぱり多いかな。でも君のTweetのおかげで日本でもダウンロードしてくれたユーザーが増えたよ。あとはフランスだね。

Q: どうしてPosemojiのアプリに動画を投稿するタイムラインを実装しなかったの?

Posemojiは動きを通して自分自身を表現するツールなんだ。

僕たちはFacebookやInstagramみたいな、すでにたくさんの動画を拡散できるチャンネルをもっている。そういったチャンネルでユーザーたちにPosemojiで作ったクリエティブな動画を拡散してほしいとおもっているよ。

実際にInstagramのストーリーズではよくPosemojiで撮影された動画がシェアされているよ。あとはプライベートなメッセンジャーで友達に動画をシェアしたりしてるみたいだね。

そして僕たちはしばらくはPosemojiのコア技術であるボディートラッキング技術を改善していくことに力を入れたいと思っているんだ。もっと精度よく、早くトラッキングできるように改善していって、同時により多くのエフェクトやフィルターを開発していく予定だよ。

もしかしたらタイムラインをつけるという意思決定にすぐ変える可能性もなくはないけど、今のところは他のチャンネルを通して動画を拡散してもらえるようにしてるよ。

Q: TikTokもハンドトラッキングをアプリの中に実装したりし始めているよね。彼らとはどうやって戦っていくつもりなの?

僕たちが開発しているこの技術はまだとても新しいんだ。

ARとAIを組み合わせた技術のマーケットはこれから大きくなっていくと思う。一方でこのどちらの領域についてもプロフェッショナルなチームは非常に稀だと思うんだ。

だから僕らはTikTokのような大きな企業よりもARとAI両方の側面で技術力を強化させることに集中するのが正しいと考えているよ。

一方で僕らはTikTokやInstagram、Snapchatと相互補完的な存在になれるとも思っているんだ。いつの時代にもソーシャルプラットフォームをより拡張できる人気のツールアプリは存在する。実際にソーシャルネットワークのユーザーたちはPosemojiを使うことでよりかっこいいビデオをソーシャルに投稿して、ソーシャルネットワークを拡張することができるんだ。

あと僕らのチームのバックグラウンドも少し話しておくと、この会社は僕らの2つ目の会社なんだ。

僕らは最初「UpNext」という3Dマップをアプリで作るスタートアップを立ち上げていたんだ。僕らがUpNextを始めたとき、みんなが口をそろえて「Google Mapsと競合になるサービスなんてやめたほうがいい」といったんだ。

でも僕らは常に素晴らしいマップテクノロジーを生み出し続けて、ついにAmazonに買収されて、Amazon Mapとなったんだ。

だから僕たちのチームは大きな競合と戦いながら、最先端技術を生み出し続けることには慣れっこなんだよ。

Q: 将来的にPosemojiで使っている技術をSDKのような形で他のアプリの開発者に提供するような可能性はあるの?

実際にPosemojiをローンチしたとき、ライセンスやパートナーシップの問い合わせをもらったりしたよ。問い合わせをもらった相手とは一社一社話しながら、僕らの技術がどういうところに使われるのが最適なのかは今まさに考えているところではあるね。

Posemojiみたいな新しい技術の良いところはとにかくエキサイティングで楽しいところだ。でも一方で難しいのは未来の予測がなかなかできないところなんだ。

新しいテクノロジーの真の使い道は僕らだけでは見つけ出せないから、できるだけパートナーシップのような話にもオープンな姿勢ではいるけれども、実際にそれらが僕らにとって正しい選択なのかどうかは常に考えているよ。

それに僕らはこれからもPosemojiにたくさんの機能やエフェクトを追加していきたいから、社内のリソースや時間との兼ね合いも考えなくちゃいけないしね。

Q: Posemojiに実装するエフェクトやフィルターってどうやって決めているの?

これと言ってプロセスは決めてないよ。だけど映画やミュージックビデオ、CM、他のARアプリからはたくさんのインスピレーションを得るようにしているよ。面白いインスピレーションを発見したらSlackで共有するようにしているんだ。

興味深いインスピレーションを見つけたら、僕らはそれがボディートラッキング技術と上手くフィットしそうかどうかを考えるんだ。

例えば、今の人はみんな写真にフィルターを掛ける機能が好きだよね。その楽しみをPosemojiにも実装したいんだけど、Posemojiのユーザーにとって使いやすいようなものにしてあげなくちゃいけない。

そこで僕たちは両手を使って簡単に四角いフィルターを動画の一部にだけつけて動かせるようなフィルターエフェクトを作れば、動画にエフェクトをかける新しい手法になるだろうと考えて、両手で四角いエフェクトの大きさを簡単に変えられる新しいフィルターの掛け方を思いついたんだ。

今は手や上半身をトラッキングしているものがほとんどで、足や下半身をトラッキングして使うエフェクトのアイデアはたくさんボツにしたんだ。でも、そのうちいいものをきっと思いつくよ!

Q: 最後にPosemojiの開発の一番難しかったところと、Posemojiの開発を通して学べたことを教えて!

とっても良い質問だね。一番難しかったのは僕たちのフロンティア技術であるARとAIを組み合わせることだったよ。

ARとAIはそれぞれがとても複雑な技術だけど、それらをシームレスに組み合わせてプロダクトにしようと思うと、なかなか開発が進まないことが多かったね。

Posemojiのアプリそのものに関して言えば、UI/UXを考えるのは大変だった。これまでiPhoneのカメラに向かってとったことないポーズをどうシンプルに直感的にユーザーに理解してもらうか、考えなくてはならなかったんだ。

アプリのユーザーフローはできるだけシンプルにしようと心がけたけれど、シンプルにすればするほどカスタマイズができないというトレードオフがあるよね。例えばユーザーにエフェクトをかける体の部位を選択できるようにしようとすれば、UIが複雑になる。

Posemojiはユーザーにとって新しい種類のアプリだ。だから僕らはまずシンプルな方法からスタートすることにしたんだ。そしてPosemojiがもっとユーザーにとって慣れ親しんだものになったらどんどん機能を追加していこうと決めたんだ。

最後に

「スタートアップは常に技術で競合の巨大企業の先を行かなくてはならない」というDanny Moonさんの姿勢は同じスタートアップを経営している身としてはとても参考になる考え方でした。

そしてPosemojiのようなスマホユーザーにとって新しいテクノロジーを使ったアプリケーションではまず本当にコアな機能のみシンプルに提供し、ユーザーがある程度慣れ親しんだ後にどんどん機能をカスタマイズしていくという考え方も大変勉強になりました。

Posemojiはこちらのリンクからダウンロードできますので、ぜひダウンロードしてみてください!

宣伝

MESONではARという新しい領域でチャレンジする人を大募集しています!ARアプリケーションを一緒に開発してくれるエンジニアやデザイナー、ARアプリケーションの企画をしてくれるプランナーやディレクターの方など大歓迎です!

またプロジェクトとしてARアプリを開発することを考えていらっしゃる企業さまもぜひお声がけください。

一緒に世界に誇れるARアプリを作っていきましょう!

ご連絡はTwitterのDM、もしくは会社サイトのコンタクトフォームよりお待ちしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?