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ふりぃらんす にっき 4

オケ音源が安すぎる

オーケストラに限らず、音源を買うとメーカーから頻繁に「新しい音源をリリースしました! 今だけ安いよ急いで!」ってメールが来ます。実に商魂たくましいと受け取れば資本主義としては正しいのですが、最近それにしたって度が過ぎている。一体何が起こっているのか、首を傾げるばかり。口癖で「世界はバタバタと音を立てて変わる」といつも言っているのですが、本当にバタバタと…というよりはガラガラと音をたてて何かが崩壊しているような気がしてなりません。一つ一つ現象を整理してみよう、と思って一日かけて纏めてみたりして…

貿易戦争?

中国に勢いがありますね。誰の目から見ても世界での存在感が増しております。中国はご存知の通り独自の文化があります。面積として大きく、様々な民族が暮らす複合国家です。それぞれに守るべき文化があります。そんな中で、音楽に関しては、どうなっているのでしょう?

特に、オーケストラってどうなんでしょう? 日本人は忘れがちですがオーケストラってヨーロッパの文化なんですね。アメリカのハリウッド式のオーケストラも、中国にとっては「外国の音楽文化」に他なりません。日本にとってはアメリカの音楽も、ヨーロッパの音楽も、中国の音楽もなんとなーく馴染みはありますが、当の中国にとってどうでしょう?

中国では今、東方Projectのオケアレンジの人気が高いと聞きます。言っている側から、私もいくらか中国でCDを売ったことがあります。オーケストラ演奏なども頻繁に行われ、即売会も頻発しています。東方のオケアレンジは、そもそも東洋的な旋律を持つため馴染みやすいのでしょう。

こんなごく一部から何が見えるのさ、と思いがちですが、侮っては行けない現象の一つであると私は思っています。中国の方々の多くは「西洋のクラシック」にはさほど興味が無いように思えます。ハリウッド音楽や、ゲーム音楽にオーケストラが使われることには興味があっても、宮廷音楽の長い歴史を持つクラシックには、そうそう馴染みがあるわけではなさそうですし、その良さが一般に浸透するにはまだまだ時間が掛かりそうです。そもそも、日本も西洋化を目指してから150年経つのに、音楽文化としてはクラシック楽器の演奏家は苦労すると聞いています。

ここで言うのは「クラシック音楽が良いか悪いか」の話はしていません。あくまで「文化として触れてこなかった人が、そもそもニーズが生まれるか」という話をしているわけです。この現象は恐ろしいものです。

今までで世界の価値観を決定してきたヨーロッパとアメリカ。ところがその価値観が変わろうとしているわけです。ルーブル美術館の絵画よりも、中国の儒教美術の方が価値がある世界が来たら、世界は大きく形を変えることになるのです。価値の転換。モナリザよりも西太后の肖像画の方が価値がある世界が訪れるかもしれないのです。価値とはお金が生み出す側面があります。フランスが経済的に破綻した場合、ルーブルに置かれている美術品の価値はどうなるでしょうか? さすがに現時点では「美術品の価値は変わらないだろう?」と考える方が多いでしょう。今まで見向きもされなかった浮世絵が世界的に価値を帯びている事を忘れてはなりません。それと同じ現象が起こり得るのです。

音楽の「価値の転換」

音楽の価値とは、その音楽を聞きたがる(欲しがる)かどうか、という価値です。価値とは欲しがる人の人数と、金額をいくらまで出すか、という事が関係してきます。そこは美術品と全く同じです。

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