見出し画像

国語の勉強法とは?(現代文編)

たまには本職である学習のお話を。


前置き

中高生と話すと、国語についてどう勉強したらいいか分からない、得点が安定しないという話をよく聞く。しかし国語の勉強法、読解法を記した本は世に多く、それらには共通点も多い。つまり、一般的な勉強法、読解法は存在するのに生徒がそれを見つけていないだけなのだ。

今回は大学で国語を専門に学び、予備校の教材を作ってきた自分の考える国語の勉強法を記す。夏休みもあと僅か。大学受験生は志望にもよるが、入試の過去問に取り組んでいる時期だろう。高校受験生はまだ入試問題に取り組んでいる生徒は少ないか。

国語は勉強しなくても高得点が取れる生徒がいるのも事実だが、一方で得点が取れない生徒が何となく解いていたり、高い時と低い時で波がある生徒がそのまま演習だけを続けていても伸びることはない。しかし正しく勉強すれば今苦手にしている子も伸ばせるし、高い点数を維持できるようにもなる。

私自身、模試で偏差値65程度を取れることもあれば、ほとんど平均点くらいになってしまうこともあった。大学入試の問題になると、満点の時も平均以下になってしまうこともあった。これが、高2の途中から塾に通って読解法を学んだところ、成績は高い位置で安定するようになった。

悩んでいる人は、これから記す方法を演習の中で日々実践していってほしい。


漢字・語彙

大抵の参考書は漢字、語彙から記載が始まる。別の内容から書くことも考えたが、学習体系や出題形式を考えた時に、やはり漢字から入るのが一番良いのだ。漢字を読む、書く試験は高校受験、大学受験どちらにも課せられる。それは大抵最初の大問の、最初の問いであり(もちろん東大のように最後の問いになっていることもあるが)、知っていれば確実に得点できる部分である。

読みについては私は、はっきり言えば自分で勉強したことはない。小さい頃から本を読んでいれば語彙は身につく。できれば自分の能力プラス少し上の本を読むと良い。小学生でも厚めのファンタジー小説を読んだり、中学生は流行りの超短編やラノベだけではなく、大人向けの小説を読んだり、高校生なら明治の文学を読んだり、と。周りに読んでいる人がいないと嫌かもしれないが、気にせず読んでほしい。明治の本と言っても森鴎外みたいな文語は急には難しすぎる。福沢諭吉の講演を書き起こした本など、意外に読みやすいので結構おすすめできる。あとは、評論文に出題されそうなジャンルの本だ。哲学、科学、心理学、社会学、興味のあるものから読むといいだろう。

そしてここから漢字の勉強として勧めたいのが、読んでいる時に横にメモ用紙とペンを用意しておくことだ。書ければ何でも良い。チラシや要らないプリントの裏でも新聞の隅でも。そして普通に読書しながら、少しでも読めないかも、書けないかもと思った漢字をメモ用紙に書いていく。

「漢字・語彙ノートを作ろう」としている参考書もある。が、そんなに仰々しくなくて良いし、読書するときに専用のノートがない事でやる気が下がったり勉強できなくなってしまったら勿体ない。私はその時近くにあった適当な紙やルーズリーフにガンガン書いて、どんどん捨てていた。それで良い。見返せばより勉強になるかもしれないが、やりたいことはたくさんあるし知らない語彙もたくさんある。書いて覚えてまた他の本でまた出てきて心配なければ良い。もしまたわからなければ今度は三回四回と書く。

これで読書をすることでの知識と、漢字・語彙の知識がついて一石二鳥だ。高3で他教科もまずい中で、もうそんな時間はないというなら仕方ないので『ことばはちからダ!』(河合塾series)などの語彙の参考書を英単語の如く繰り返し覚えまくってほしい。

それから中学生だったら漢検の勉強も、それ自体が漢字・語彙を身につけるために役に立つ。特に四字熟語や熟語の構成について真剣に考えられる問題があるのが良い。例えば先程「一石二鳥」と書いたが、他にも「千差万別、一朝一夕、七転八倒...」数字が入る四字熟語はたくさんあるが、漢検の勉強であればまとめて覚えてしまえる。熟語の構成が分かると、知らない漢字があった時にその構成から意味を考えられるようになる。

「伸縮」は「伸びたり、縮んだりすること」で、反対の意味を持つ漢字で構成されている。「投獄」は「獄に投げる」で上の語が下の語の目的語になっている。「粗食」は「粗い食」で上の語が下の語を修飾している。

つまり、だいたいこういう意味だな、と想像できる。ポイントは訓読みにした時にどういった読み方ができるか、から予測することだ。

こちらは読者ではなく、決まったレベルがあるので受験する級の過去問や予想問題集に取り組むのが良いだろう。

やれば良いことは分かっていても面倒臭さ、得点効率の悪さからいつまでも手をつけない人がいる。林修先生が「いつやるか?今でしょ!」と言ったのは漢字の勉強についてだったという。

本を読むとき、にちょっと意識するだけ。やってほしい。まず本を読まないという人は、この半年だけでもやろう。読書スピードは次の読解にも直結する。


現代文読解

現代文の問題では重要な箇所に線を引きながら読むことが肝要だ。ただ闇雲に引くのではなく、ルールに則って筆者が強調している箇所を捉えれば、実に読解は簡単になる。

よく言われるのが「接続詞」への注目で、筆者の主張は「だが・しかし」など逆説の後、「つまり・すなわち」などの言い換えの表現の後に来やすい。だから読解時にこれらの言葉には丸をつけて、その下の文に線を引く。たったこれだけを知っているかいないかで、読み方はがらりと変わる。

更に自分が習ったところであれば「読み方に強弱をつけるため、例えば、と具体例が語られる部分は流して読み、例が終わった後に注目」や、「筆者が何度も繰り返している熟語はキーワードだからチェックしよう」などなど、知っている解法を挙げればキリがない(ここで早速先ほどの、具体例は流してその後の「知っている解法を挙げればキリがない」の方が私の言いたいこと、になっている)。

様々あるからこれは誰か特定の人が書いた参考書を読んでそれを演習で繰り返し実践して定着させることが一番だ。板野博行先生の『現代文ゴロゴ』(スタディカンパニー)や、石関直子先生の『「解き方」がわかる国語 文章読解』(学習研究社)などを使うと良い。アマゾンレビューを見ていたら、「解き方をいくつか拾って使えそう」というものがあったが、先生は必要だと思って書かれていることなのだから、現代文が得意でないかぎりは全て試してみたほうが良いだろう。取捨選択するのはその後だ。


漢字の時に読書で知識はつくといったが、問題を解くための読解はまた異なる。これは普段の読書とは分けて、問題に取り組むべきだろう。理由は問題に対する答えがあるからだ。

自分で「ここが重要!」と読んでも、その正誤を確かめる術がない。しかし入試の過去問や市販の問題集ならそこに解答と根拠があり、それが自分の考えと一致していたのかを確かめることができる。ぜひ、入試問題を解きながら試すことを勧める。


最後に

この人の解法はすごい、と社会人になってから知った先生とのツーショットを。

画像1

北九州予備校、東進、学びエイドで教えられている現代文講師、宮田泰三先生と3月に撮らせていただいた。先生の授業を全て受けたわけではないが、回答根拠を導くためにこんなに色々な手段があるものかと驚いた。私が知った一部だけでも、解答へのスピードと正答率向上に明確に繋がった。先生が本を出していらっしゃらないことが惜しいが、あれは文字で読んでもすぐに分かるものではない。毎週の予備校の授業の中で身につくように組み立てられているのだ。それもまた、長年の勘というか、予備校業界で生きてきた人の優れた技だと思う。

受験において予備校の先生はみな素晴らしい技術を持っている。学校だけでやるのだ、参考書と自分の力で、と意固地にならず、一生に一度の機会なのだから、金銭的に可能ならば私はどこかに通って学ぶべきだと思う。

昨日のEテレ「#ジューダイ」ではスマホ学習が取り上げられていた。スタディサプリをはじめ、安価に優れた解法を学ぶ手段もあるので、そういったものを試し、「これだ!」と感じたものは信じて受験まであと半年、本気で努力していってほしい。



このように書いてみたが、このnoteを読む中高生はほとんどいないだろうから、学校・塾の先生や親が読んで、なるほどと思ったらお子様に一般的な本を買ってあげると良い。または支援してくれる人がいるなら続きを書こう。

レペゼン群馬、新井将司。世界一になる日まで走り続けます。支えてくださる皆さんに感謝。