新井の映画感想「天気の子」

8月4日やっと見てきました!そしてやっと感想noteを更新できました!

結論から言うと、私はこの映画、好きです!「君の名は。」のように諸手を挙げてみんなが好きになる映画でないことも分かりますが、それでも良い結末だったと、監督のやりたかったことなどを考えても思います。


※以下ネタバレ含みます





新海誠監督の狙い

ヤフーのインタビュー記事を見ながらコメントしていきます。


『君の名は。』の次ですから、興行的にも超メジャーなものになります。であれば、多くの人々の価値観が対立するような映画を作りたい。見てくれた誰かと誰かの価値観と価値観がぶつかるような映画でなければいけない、とも考えました。

映画前日、友人数人といる時に明日観に行くよといったところ、まさに価値観が対立する場面がありました。一人は「俺はあの終わり方は好きじゃない」と言い、もう一人は「俺はアリだと思う」と言うのです。その時は視聴前だったのでネタバレを避けてどこがどう良かった(悪かった)のかは聞きませんでした。また、職場でも聞いたところ「主人公に感情移入できなかった」という感想がでました。

私を含めた高評価派と、低評価派の、この違いはどこから生まれるのでしょう。

価値観がぶつかるというのは、「正解がない」ということです。教科書に書かれていたり、政治家や批評家が語るような正しさではなく、“正しさ”は人それぞれのものだし、僕たちが作るのはエンターテインメント映画なのだから、極端な言い方をすれば、正しくない内容を語ろう、いわゆる賛否の分かれるものを作りたいと思ったのです。

この映画は、所謂セカイ系に分類される作品だと思います。自分たちの日常が世界に影響を及ぼしており、最終的には一人の女の子と世界のどちらを選ぶかという葛藤が生まれる。有名所では『最終兵器彼女』や『涼宮ハルヒの憂鬱』などでも扱われているテーマです。そこで、万人受けする作品であれば「女の子も世界もどちらも救う」道が選ばれたでしょう。しかし、帆高くんはその選択ができなかった。そういう作品ではなかった。帆高くんは世界よりも陽菜さんをえらび、結果的に東京の形はほとんどが海に沈み、電車やバスの代わりに船が運航する衝撃的な形になってしまった。そこまで想像していなかったであろう帆高くんが、最後に「僕たちは大丈夫だ!」と言った無責任さに、自分の”正しさ”とは異なる「え、それでいいの?」という感想を持った人がいるのではないでしょうか。

そしてこれこそ監督の狙い通りだったと思っています。

もともと僕の作品は、ファンの方が見てくれて、見るはずのない人たちは見ないタイプの映画でした。

インタビュー内でこう語っているように、新海誠監督はもともと万人受けする作品を作る人ではないのです。「ほしのこえ」を大学の授業で見た時から、映像はすごいけど自分はあまり好きなストーリーではないなと思っていました。

でも今、自分は「天気の子」を良い結末だと評価しています。帆高くんの選択にも、よくやったと考えています。それは、自分の人や世界に対する価値観、”正しさ”が一致したからでしょう。


世界より愛する人を選ぶ正しさ

私はよく自分を追い込むとき、「あと10分走れなかったら自分の妻が、子どもが命の危険にさらされる」というような想像をします。当然想像なのですが、そんなこと許せない、と残り数分全力を出し切ります。

仮に自分の大切な人と世界を天秤にかけたらどちらを選ぶのか。そういう想像をしたことがある人、そして大切な人を選ぶ、と答える人にはこの映画は共感できるものなのだと思います。完全に偏見なので許してほしいですが、実際、知り合いで高評価の人は既婚者、低評価の人は未婚だったりします。

生活が変わると映画の評価が変わることはよくあるでしょう。「天気の子」ではあいませんが、最近見た「インクレディブルファミリー」だったり、「クレヨンしんちゃん」の映画も家族がいて、子どもがいる自分だからこういう気持ちになるのだな、とよく思います。


愛にできることはまだあるかい

RADWIMPSの歌で、本作のテーマ曲でもある「愛にできることはまだあるかい」。結局これこそこの映画のテーマではないかと私は思います。

愛の歌も歌われ尽くした 数多の映画で語られ尽くした そんな荒野に生まれ落ちた僕、君 それでも 愛にできることはまだあるよ 僕にできることはまだあるよ

ラストサビの部分です。

完全なオリジナルの創作なんてできないと言われます。その人の人生で何かしらの影響は受けているはずですし、人類が1000年、2000年、それ以上の歴史の中で築いてきた創作の中にはありとあらゆるメッセージが込められています。特に「愛」なんて神話の時代から無数に語られてきている最古のテーマでしょう。それを今、真正面から描く意味。必ず多くの人が見る映画で、「愛のために世界を犠牲にする」賛否の分かれる映画を撮る意味。

これが全くウケなかったら新海誠監督は映画の中でもう一切恋愛要素をなくしていくつもりだったのでしょうか。そのあたりはわかりませんが、「天気の子」は色んな意見がありつつも興行的には成功しているでしょう。


最後に少し(悪い意味で)気になったポイント

・企業タイアップが多くてちょっと冷める。

ホテルでからあげくんを温めたり、カップヌードルは2分が美味しいと言い出したり、ストーリー上絶対に要らないカット、セリフが気になりました。陽菜さんがチキンラーメンで美味しい料理を作っている辺りは、貧乏ながらも頑張っている料理上手なお姉さん感が出て意味があったと思うのですが・・・・・・。興行でやっている以上そこは仕方ないのでしょう!

レペゼン群馬、新井将司。世界一になる日まで走り続けます。支えてくださる皆さんに感謝。