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早すぎた大人の恋の味

後部座席でわたしは歌っていた。夏休みの家族旅行。

思い出に酔うひまもなく 心から好きと云えた
あの頃がなつかしくて 何もかも
ドレスを脱いで抱きあう時に
背中の指が静かにはねた
それがちょうど それがちょうど今
背中まで45分

7歳のわたし。歌詞の意味もわからずに、あどけない声で父と母に聴かせた。

叔父に借りた古いカローラ。母が車で流す音楽を決めていた。LARKと書かれたえんじ色のカセットケース。

20年後、

泣きながら愛車を運転して第三京浜を走った。

突然の別れ、すがりつくことも許されなかった別れの儀式を終えたあとだった。

「思い出に酔うひまもなく」ただ懐かしさに浸るしかない夜の意味を知った。

友だちに誘われたクラブ。大音響のフロアで勢いよくぶつかった男。遊ばれているとも知らず、行きずりの一夜を過ごした。

たった45分で男と女になれる。そんな夜があることを知った。

手痛い失恋をする度、あの夏のドライブを思い出す。

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阪神タイガースの梅ちゃんと木浪くんがスキです。
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アラキナツ

東京タワーのふもとで世のため人のためWebコンテンツ作成をしています。noteには40代女性の日々の暮らし、働き方や生き方を正直に綴っています。夫はアメリカに単身赴任中。阪神タイガースファン。お寿司が好きです。▶連絡はTwitterのDMへ @araki_natsu
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