あらまああ

恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(結)

きょうふとつけたテレビで星屑スキャットが「北酒場」(1982年 作詞:なかにし礼、作曲:中村泰士)を歌っているのを見て心を撃たれてしまった。YouTubeの細川たかしが歌うのとまた違うのはアレンジの時代性なのか歌い手の感性なのか。

 昭和の爛熟の手前の軽妙な感じがいい。時代劇のなかでみる清冽な潔さみたいな古めかしいお洒落感。

 「北」とは北海道の意ではない。ここでは非日常の比喩だ。「酒場」とい

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恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(5)恋の距離感、愛の時間軸

21世紀初めの停滞の時代、愛は勝ち組のものであり、負け組は得られない愛に飢え苦しむ。そしてこの時代、若者はだれもが愛に傷ついている。

 KYだとか、コミュ障だとか、オタクだとかでワーキングプアならもう勝ち目はない。社会は過酷な人間関係を強要する。
 未来の明るい希望を信用できない若い人に浜崎あゆみの歌は癒しとなっていった。「愛すべき人」がいて、その人こそが(たぶん)「孤独」と「深い傷」を負った原

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恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(4)恋は現実、愛は勝利

BOOWYが解散した翌年、B'zがデビューする。この両者を比べるとなんだか時代がすっかり変わった感じがする。BOOWYはステージから「ここは東京だろ?」などといって甘いファンタジーを演じたが、B’zときたら汗と体臭をふりまいて雨の中ステージを疾走する。

 「LOVE PHANTOM」(1995年 作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘)は失恋の歌なのだろうか。去ってしまった彼女に「がまんできない 僕を全

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恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(3)去る彼女、見守る彼

何だか舌足らずすぎる考察だと思われるだろうが先を急がせてほしい。今回は80年代について。

 この時代はTVのCMソングが話題になった。大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」(1984年 作詞:銀色夏生 作曲:大沢誉志幸)もそのひとつ。この曲では、彼女は「輝いた季節」の想い出を残し、彼のもとを去っていくらしいが、その理由は説明されない。あとに残された僕は途方に暮れながらも「君が選んだことだからきっ

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恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(2)閉じる恋、逃げる恋

60年代から70年代初期は日本には高度経済成長という大きな熱がうずまいていた。それは人々に安定と豊かさをもたらすとともに、社会の大きな矛盾抱え込んでいった時代だ。

 米国ではベトナム戦争に反対するフォークソングが、少しあとに英国ではビートルズが若者の心をつかみ、日本でも学園紛争の吹き荒れるなか学生たちはギターを抱えて反戦歌のコードを熱心に覚えて、それを女の子にモテるためにかき鳴らしたのだ。

 

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恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(1)拾う恋、捨てられる恋

20世紀の恋の歌謡曲のかなり多くは、捨てられた女がまだ捨てきれぬ恋心を歌う唄である。そして戦後しばらくは、その捨てられる女は主に「酒場のおんな」であるとか「波止場のおんな」であるとかで場末の底辺の女性であった。

 1956年コロムビア・ローズの歌った「どうせ拾った恋だもの」(1956年 作詞: 野村俊夫  作曲:船村徹)もはっきりとは書かれていないがそういう境遇にある女性の唄だとおもわれる。しか

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