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ゴタゴタしている今、なぜか秋山黄色の才能について語りたくなった

おはようございます。

突然ですが皆さんは黄色は好きですか?
私はめっちゃ嫌いです。

黄色好きな方には私のシャレコウベをいくらでももたげさせていただきますがこの世から黄色失くなってもなにも困らない。服で黄色似合わんし黄色信号も事故の元だと思ってるしプーさんは普通に好かん。この世で自分に縁もゆかりもない色、それが黄色。何が腹立つって「赤」「青」「白」「紫」みたいに色は一文字で表せられるのに「黄色」はなぜか「色」も道連れにしてまでアイデンティティを主張してくる。その厚かましさそれだよお前のよくねえところ。自分よりかわいくない友達と2ショット撮ってラインのアイコンにするタイプだろ黄色ちゃんはよお。

話が脱線したが、そんな黄色大嫌いっ子の私が唯一認めた(何様)黄色がそう、『秋山黄色』である。


彼に限らずバンドマンって前見えてるんかな。前見えなくなってからバンドマンって本番なんかな。
この男、ソロアーティストでは珍しくロックで音楽界に殴り込みした風雲児で散文的な歌詞とエッジの効いた歌声に凶悪に強度の高い良メロで一気にスターダムを駆け上った。
もう後にも先にもロックで革命起こせる男はこいつだけだと思っていた。

そんな矢先、詳しくは言及しませんが逮捕されました。
そのニュースを見たときサウナ上がりで整い切った私の脳に怒りと悔しさとやるせなさが貫通しました。

何やってんだよバカ。

そう思いました。
そのバカには2つ意味があって、一つは法を犯したことに対する怒り。
もう一つは凶悪なまでのロックの才能を一つの過ちで棒に振った悔しさ。
せっかくまだまだ人気も上がるだろうし才能の伸びしろも年齢考えたら末恐ろしい具合である。なのになんで、って思いがありました。
私はこんな形であんたの本名なんか知りたくなかった。

最初に言っておくがこの記事は彼の罪を擁護する記事では決してありません。彼にどんな音楽的才能に恵まれていようがそれが犯罪の免罪符になることは未来永劫あり得ない。彼の罪は法で裁かれるべきである。

しかしそれは逆も然りで、彼がどんなに人間的に欠陥があろうが音楽的才能を否定する材料にはならない。これから先彼の才能をほめちぎる文章が出てきます。気分を害される方はここでブラウザバック推奨。言いましたからね。
私も彼が人格者とは思わないけれどもそれはそれ、これはこれ。音楽と人格は平行線で交わらないタイプなもんで、その前提で記事を書き進めます。
よしなに。

歴史に残るギターリフ

これ初めて聞いたのはYouTubeの広告だったけど、初めて広告を飛ばせなかった。
イントロのギターリフで心つかまれたままいつの間にかフルで聞いてた。
このギターリフ、発明に近いと思いました
予想だにしないところにハーモニクスをぶち込むギターに今時珍しいぐらいパキパキのテレキャス味ある音像、リズムは4つ打ちだけれども2010年代に流行った如何にもなリズムじゃなくしっかり現代的な複雑さも入れている。
自分の考えている名リフには条件があって、
①独自性があること
②口ずさんで第三者に伝達が可能なこと
③演奏が難しすぎないこと

これらの条件をクリアしていて有り余るため名リフとして後世まで語り継いでいきたいリフですね。

歌詞は正直語感重視の単語の羅列に見えるけれどもワードチョイスもちょけ過ぎず堅過ぎずの塩梅で絶妙。タイトルの「やさぐれカイドー」の通り酒酔いがやけっぱちで放つ言葉のようでうまくリンクしている。しかもドラムはあの柔道二段で有名な松下敦。ZAZEN BOYSで有名なとか言ってやれよ。

彼おそらくリフマニアだと思う。こんな名リフをゴロゴロ何個も作ってきている。それもロックの発明に近いような。音楽の幅を広げたというよりはロックの幅を広げてくれた途轍もない才能を持っている。

かと思えば漢のスリーコード

さて、3コードというのを説明するにはこの楽曲。おそらく一番3コードで有名な曲であろうSEKAI NO OWARIの『RPG』。メロディーという船員を乗せる船の役割としてコード(和音)がある。コードの組み合わせ次第で楽曲は明るくも暗くもなる。その時に3つのコードを繰り返す楽曲がある。
厳密には上記のRPGもスリーコードではなく随所で違うコードを使用しているがメロディーラインとして3コードで展開できる楽曲の例として挙げさせてもらった。試しに音階通りに楽曲に合わせて「ラ~シ~ミ~~~」と歌ってみれば割と違和感なく歌えると思います。

実は3コード、簡単がゆえに楽曲の起伏をつけるのが難しい。上手ーく調理しないと薄味になりかねない。ロックやパンクでは割とポピュラーな理由は音色と勢いで平坦さを打ち消しているからで、Jポップのバラードなんかで3コード展開しようものなら歯医者で流れているBGMになりかねない。

最近はリスナーの耳も肥えてロックバンドでもコードは複雑化していてジャズやボサノヴァからコード進行を引っ張ってきたりと飽きさせないような工夫を作り手も考えている。この現代において3コードでの楽曲展開はほぼ皆無と言ってもいい。

おっと、いたわ問題児。
3コードを薄める気もないぐらい清々しいまでの純度100パー3コード。しかもリズムも王道過ぎる王道の8ビート。ロック覚えたてが最初に習う鉄板の組み合わせ。

でも、かっけえ。

なんでって思うけど正直理屈じゃないというか、結局王道突き詰めて一番かっけえ例がこれなんじゃないって思います。王道というのは先人たちが突き詰めて一番かっこいいって証左があるゆえの王道であり、王道と凡庸を混在させがちなだけなのかもしれない。それを再定義したのが秋山黄色なのではないか。

ロックの王道の進化と再定義。

これが彼の作った最大の功績だと私は思います。

『クソフラペチーノ』なんてタイトル常人がつけれるわけがない。
曲はアニメ主題歌でもないのに90秒。3コードで昨日適当に作りましたって言われても納得できる。
でもやっぱかっけえ。なんで?
そしてこれアルバム収録されてないのもなんで?

素直に「待ってる」なんて言えないけど、

彼1回テレビに出たことがあるんだけど、当て振りなのいいことにスタジオ走り回っていました。なんか昔の当て振りに反抗するアーティストとかを見ているような感覚で面白かったけど一般から見たら「あいつやべえな」って思われたことでしょう。
その無軌道さとか若さとか危うさを事件と関連付けるのは早計としても、精神的に未熟なのは間違いない。

彼には才能があるけれどその才能を十全に発揮できる環境を自分で潰してしまった。
そこは逃げずに償っていってほしい。
しっかり、誠実に、時間をかけて。

被害者の気持ちを慮れば素直に「待ってる」なんて言えないし、彼の音楽を聴くために彼の罪を正当化することもできないししたくもない。

けれど、彼の音楽がまた出たら気になっちゃうのは仕方ない。
だってあなたの音楽のファンだもの。
エニーワン・ノスタルジーやPAINKILLERを超える最高の楽曲を期待しちゃってるよ。

あなたの音楽が大好きだけどそれはそれで贖罪をしてほしいです。
これはこれで私はあなたの音楽を聴いてるので。



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