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「正しいものを正しくつくる」著者の何十年の旅路がここにある

 日本においてアジャイルで開発する際に、ぶち当たる問題を丁寧に説明している。
 書籍のタイトルである「正しいものを正しくつくる」を目指すために、「正しくないものを作らない」ことに向き合う問いである。ありたい姿を考え続け、何が正しいのかという共通理解の基準をつくりながら、わからないからこそ仮説を見立てていく。

 「不確実性をもたらすのが人の多様性ならば、関わる人の経験や能力の幅の広さこそが不確実性に対抗する武器になりうるのだ。プロダクトづくりを一握りの人間に依存しない、いわばプロダクトづくりの民主化をどのように成り立たせるのかが、本書のここから先のテーマとなる」 p.209

にあるように不確実だからこそ、いろいろなことがわからないのだ。だからこそ、分からないものを作っていく過程において、分からないものを言語化し分類し、見立てを行い、仮説を検証し、ときに分からないものを増加させながら、それらを頼りに形にしながら前進していく。そんな実践論である。

 また、著者のプロダクトづくりの知見がこの書籍に惜しみなく盛り込まれている。「アジャイルに作る9つの意義」「仮説の1本線」や、第3章、第4章、第5章は他の書籍では得られないだろう。著者本人の実経験から導き出された解である。モヤモヤしていたことを明確に言語化されている。本当にすごいとしか言いようがない。

アジャイルのその先に向かう道標となるように、人間らしさが垣間見える「ふつうのものづくり」の世界が訪れますように。

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