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貴重な経験を無駄にするデザイナーが必ず見落としている一つの視点

皆様、本日の日報を提出いたします。
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人の思考の深さは「物差し」に例えられる。物差しとは言わずもがな、長さを測る道具のことだ。人それぞれ自分の物差しに刻まれた目盛で、これは長い、これは短い、といった判断を下す。

我々デザイナーにも物差しがある。経験が浅いデザイナーの目盛が1cm単位で刻まれているとすれば、経験の多いデザイナーの目盛はもっと細かく1mm単位で刻まれている、と例えてもらえれば分かりやすい。

貴重な経験を効率的に学びにつなげるデザイナーは、人によって物差しの目盛りに差があるということ、自分と相手の物差しの目盛りの違いがどのくらいあるのか?と考えることを、自然と知り、意識するようになる。その視点があるだけで、数多くの経験が有益な学びに変わりやすくなる。

例えば、とあるプロジェクトに皆から信頼されるベテランAさんと、新卒の若手Bさん、2人がチームに含まれる形でアサインされたとする。Aさんの1mm単位の話は、1〜5cm単位でしか物事を測ることはできないBさんにはまだ理解が追いつかないような状態だ。

AさんからBさんに「ここの表現は○○にしよう」という指示が飛ぶ。しかし、それは1mm単位の指示であるため、Bさんにとってはそれが何のための指示なのか、結果的に何が変わるのか、その時点で根本的には理解はできない。

目盛の単位が大きい人が、目盛が小さい人の話を聞いた時には必ず「???」となる。こんな時、BさんがAさんの指示をどのようにとらえるか?が、Bさんの成長曲線を大きく左右する。

「この人、何言っているのかさっぱりわからないわ…」と捉え、Aさんの指示の背景にある意図を探ることをやめてしまえば、そこで学びのチャンスは途絶えてしまい、それ以上自分の物差しの目盛りを細かく刻むことはできない。

しかし「きっと自分には見えていない何かがある。もう少し深く考えてみよう。」と考えられれば、試行錯誤を繰り返す中で物差しの目盛りは細かくなり、1mm単位の物事が判断できるようになる可能性が生まれる。

話は変わり、ここからは恥ずかしい経験談を紹介する。20代後半の頃に個人的に受けた仕事の依頼主から「お前、仕事をナメてるだろう!」と打ち合わせで怒鳴られたことがあった。

今振り返ればそう言われても無理はない、御用聞きのような仕事をしていたと冷静に振り返ることができる。しかし当時の自分は「一生懸命やっている!そんなつもりは無い!」と自分の体裁を守ることにしか思考が働かなかった。

相手の物差しの目盛りの細かさに対して自分の物差しの目盛りが大雑把だったところに元々の大きな問題はあるが、こうした事態を冷静に受け止めて、自分の行動を客観的に疑う姿勢があれば、こんな苦い経験も早々に大きな学びに繋げることができたのではないだろうか。

また、デザインに限らず何においても経験が浅い間は、この「物差し理論」を覚えておくと良い。別業界でキャリアを重ねた人と会話がかみ合わない時、物差しの目盛りに視点を向けるだけで、どう対応すべきかのヒントが得られる。

そして、どのように自分の物差しの目盛りを細かく刻んでいくのかが、デザイナーとしての色となり、個性となる。常に人と自分の物差しの目盛りを比べ、自分の目盛りを細かく刻む姿勢を持つ努力を怠ってはならない。

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