ニューアカオを訪ねて。
「ホテルニューアカオが閉業する」
そんなニュースを知ったのは昨年11月のことだった。
ニューアカオは、静岡県の熱海市に佇む、熱海を代表するホテルだ。1973年に営業開始以来、その海にせり出した姿が非常にアイコニックで地域と共に成長し、熱海の観光を支えてきた。
そのバブル時代の香りが残る館内が非常に美しく、ポートレート撮影など写真を撮る人たちも惹きつけてきた。SNSでも度々ニューアカオの写真を目にすることが多く、私もいつか行ってみたいと思っていた。
しかし、このコロナ禍によって熱海の観光業も例外なく大打撃を受け、ニューアカオも臨時休業が続いていた。建物の老朽化などもあり、閉業が噂されていたが、それが実現してしまった形だ。
一度も泊まることなく閉業してしまって項垂れていたところに、「アート展でニューアカオに入ることができる」という知らせを聞き、慌てて熱海へと向かった。
熱海自体に行くことが始めてだったが、さすがバブル期に成長した一大観光地ともあって素晴らしい景観と歴史を感じる建物の数々に夢中でシャッターを切った。
ニューアカオの前までつくと、そこには長蛇の列。聞くと1時間以上待つ場合もあるという話で、ニューアカオの別れを惜しむ人たちの多さを実感した。そしてやはりカメラを首から下げている人がほとんどであった。
風の強い日だったので待機の列は辛かったが、なんとか耐えて館内へ、、、
館内はものすごい装飾と美しさで、バブル期の日本の勢いを感じた。ここまで手の込んだ装飾と建築をするようなホテルは今後、日本ではなかなか新たにお見かけすることはないだろうと思う。
それだけに、本当に閉業が惜しい。一度でいいから閉業する前に宿泊しておきたかった。
ただ、再びニューアカオでアート展が1月22日から開催されるらしい。
このような形で展覧会の会場として活用したり、ミュージアムにするなど、何かしらの形でその姿を後世に残していってほしいと思う。
いつかなんてない。
何かといつかいつかと先延ばしにしてしまうのが、人間の性ではあるが、ニューアカオの閉業の一件でその言葉が深く胸に刻まれた。
大切な人や思い出の場所などもいつまでもいるとは限らない。いつなくなるかはわからない。
あのときこうしてればよかったと後悔することがないように、今を出来うる限り大切に生きていきたいと感じた。
そしてその一瞬を写真にもっと残していきたい。
今年の目標にもなった。
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