「おもちゃ界の働き方改革」あるいは「おもちゃ版:夏目漱石「こゝろ」としての「トイストーリー4」[前編]~あるいは、こんなタイトル①~
おはようございます。挨拶の後につける気の利いた一文をすぐに思い浮かべられるようになりたいです。あらいです。
今日は日本で賛否両論巻き起こっている人気シリーズの話題作、「トイストーリー4」を見てきたのでそれについて書こうと思います。
僕なりの「トイストーリー4」改題
この「あるいは、こんなタイトル」は僕が考えたことを元に見た映画にタイトルをつけるコーナーですので、まずはそちらを発表します。
あるいは
といったところでしょうか。なぜ、そうタイトルをつけるに至ったのか??について述べて行こうと思います。
まずはあらすじ
自分で考えてもよかったんですが、より優れたものがネット上にあると思ったのでまるっと引用します(手抜きって言うな)
新たな持ち主、ボニーを見守るウッディたち。ウッディは“おもちゃのしあわせは子供のそばにいること”と考えていました。そんな彼らの前にある日突然現れたのは、ボニーの手作りおもちゃ「フォーキー」。彼はボニーのいちばんのお気に入りにもかかわらず、自分をゴミだと思い込み逃げ出してしまいます。
ボニーのためにフォーキーを探す冒険に出たウッディは、かつての仲間ボー・ピープとの再会し、新たなおもちゃたちとの出会います。そこでウッディが知った“見たこともないおもちゃの世界”とは?
引用元;【ネタバレ】『トイ・ストーリー4』解説&秘密のトリビア集 完璧なエンディング後になぜ新作が作られたのか?
僕はこの、「子供のそばにいること」という幸せ固定概念(2ではもはや押しつけたようにも思います)と、
ボーとの再会で知ることとなる「新たな幸せ」および「見たこともないおもちゃの世界」の間で揺れ動くウッディ。
この関係性をラブコメ仕立てで描いた話が、「トイストーリー4」と言えると思います。
ここから先は、鑑賞して考えたことを調べたことも交えつつ書いていきます。
いろんなところからわかるピクサーの本気度
今作はピクサーのフロントマンでありながら、ディズニーも窮地から救った大好きなアニメーション作家、ジョン・ラセターが2以来となる同シリーズ制作に復帰しました。
そのことを聞いて、個人的にはすでに「本気ですやん...」となっていましたが、ピクサーの本気アピールはそんなもんじゃありませんでした。
本編が始まると同時に「9年前...」というテロップとともになじみの家の姿が映し出されるのですが、ここですでに僕は驚きを隠せませんでした。
そうです、今回はピクサー長編アニメーション作品には必ずついている短編作品がないのです。
「え..短編も毎回密かな楽しみなんだけどな...」と少し思いましたが、「今回はこれ一本にマジで命賭けてるんで、見てやってください」という気合いのようにも感じられまして。
「信じていいんだな...」とピクサーと僕の関係性は最初からクライマックスでした。
その後に僕が本気度を感じ取ったポイントは、劇中に登場するアンティークショップ「セカンドチャンス」のシーン。
3でフィーチャーされた時にきらびやかな、時に切なさを引き出す光の表現がさらに進化した最高にわくわくする空間に仕上がっていることもそうですが、なんと、あらゆる小物が他のピクサー作品に関連しているのです。
「あ!アーロの人形だ!」
「メリダに出てきた紋章だ!!」
「カーズっぽい車のおもちゃがある!!!」
と、もう間違い探しを楽しむ子供がごとく目を輝かせてしまいました。
今作の中で僕が特に好きなシーンです。実際にはアンティークショップの中には約1万を超えるアイテムが描かれており(多すぎて引いた)、そのほぼすべてが過去のピクサー作品へのオマージュなんだそうです。
終身雇用の崩壊
それではここからは一つ目の「おもちゃ界の働き方改革」という改題案について説明していこうと思います。
前作の3でウッディは、自分がアンディからボニーに譲渡されることによって再び「こどものそばにいること」という幸せを手に入れました。
元からトイストーリーというシリーズは「おもちゃと所有者」という関係性を「雇用主と労働者」の比喩と捉えて語られることが多くありました。
そういう視点で捉えると3は「持ち主から次の持ち主へとおもちゃが譲渡されることによって終身雇用は実現可能である」ということを示したととらえることができると思います。
ですが、4の冒頭では、ウッディは最近ボニーのごっこ遊びにおいて、なかなか配役を与えられず(もろ前述の関係性の比喩っぽいですね、窓際族ならぬほこりかぶり族でしょうか)倉庫の中でほこりをかぶり始めているという描写があります。
そうです、このシーンで描かれているのは
と言えるのです。
さらにその視点で見ると、ウッディと別れた後のボーは「おもちゃと所有者」という関係性から脱した新しい働き方をしています。
1,2で登場していたボーと同一人物と思えないほどに変化を遂げていることからもわかるように、自分の行きたい場所で、自分のやりたいことをしてきた結果、今まで作中に登場したおもちゃとは全く異なる形で自己実現を果たしている存在がボーなのです。
この観点からボーがたどり着いたアンティーク店の名前が「セカンドチャンス」なことを見つめ直すと最高にぐっときますね。ピクサーほんとすごい。
この、まさに旧時代的な「終身雇用と決められた幸せ」と
新時代的な「好きなことして生きていく」こと
の対比を中心に今作を捉えたとき、ボーの元へとウッディが向かうラストシーンは、高らかに「新たなおもちゃの幸せと働き方」を提示する、令和という新時代の幕開けを告げるファンファーレと捉えることもできるのではないでしょうか。
そして、この「時代」という考え方は、さらにこの作品を深く捉え直す重要なキーワードです。後編では、もう一つの改題案について書いていこうと思います。
もし、少しでも面白いと思ってくださった方は、次の鑑賞時においしくポップコーンが食べたかったりするので、投げ銭していただけるとうれしいです。
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