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木造住宅の必要壁量が2倍になる!? 

 10月28日、国交省より、施行令第46条の改定案が出されました。

 昨年12月に出されましたパブリックコメントでも「断熱材や省エネ設備の設置といった省エネ化に伴って、建築物が重量化している。壁量が実態に合わなくなってきており、地震時に倒壊リスクがある。」との内容が出されており、この事に対する改定案です。
001519525.pdf (mlit.go.jp)

 国交省の資料によると木造建築物の壁量計算において、以下の三つの方法が示されています。

方法①:個々の建築物の荷重の実態に応じて精緻に検証する方法
方法②:現行規定と同様に簡易に確認する方法
方法③:構造計算により安全性を確認する方法

必要壁量が今までの2倍程度になる?!

 方法③は建物全体の構造計算を行うものです。この場合、壁量の仕様規定は除外されます。尚、法改正後は延べ面積300㎡を超えるものは構造計算の対象となります。

 問題は300㎡以下の木造2階建て住宅の対応です。

 従来と同様の方法である方法②によると一般区域の場合、必要壁率(床面積に乗ずる値)は2階:31cm/㎡、1階:53cm/㎡となっており、2階が2.07倍、1階は1.83倍の壁量となってしまいます。

 これでは間取りにも大きく影響します。。。

木造2階建ての壁量計算は精算法で!

 もう一つの方法として示されているものが方法①です。これは建物の実状に応じた地震力を算定し、必要壁率を求める方法です。

 方法②の必要壁率(床面積に乗ずる値)は瓦屋根(重い屋根)、土塗り壁(重い壁)に対する値であり、住宅で一般的なスレート屋根(軽い屋根)、サイディング貼り(軽い壁)に対してはかなり過剰な数値となっています。
国交省の試算では軽い屋根、軽い床の場合の必要壁率は2階:24cm/㎡、1階:43cm/㎡となっており、方法②によった方が有利に設計が出来ます。

 法施行後は方法②による検討をお勧めします。

 問題は意匠設計者で地震力の算出が出来るかどうか言うことです。。。

 この方法②により、必要壁率(床面積に乗ずる値)を計算するプログラム(EXCELシート)を作りましたので、是非、使用してみて下さい。

木造の必要壁率計算(精算法)
 価格:500円
 販売:Boothによるダウンロード販売

 この施行令の改定案は今後、パブリックコメントを経て、令和5年秋頃に交付予定となっています。尚、施行日については令和7年4月予定となっています。

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