能登半島地震があったのに2025年建築基準法改正(耐震性強化)を延期するのか?

 令和6年元旦に発生した能登半島地震。約5万棟の住宅被害が発生しており、報道では原因として、耐震化率の低さが指摘されています。この“耐震化”とは昭和56年(1981年)に改正された新耐震設計法で設計された建物と報道されています。尚、石川県輪島市と珠洲市の住宅耐震化率はそれぞれ約45%、約51%であったとのことです。

 令和4年6月13日、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」の関連法案として、4号特例縮小法案(建築基準法改正)が可決、17日に公布されました。  
 この中では「断熱材や省エネ設備の設置といった省エネ化に伴って、建築物が重量化している。壁量が実態に合わなくなってきており、地震時に倒壊リスクがある。」との実状より、壁量規定(耐震性)の強化が盛り込まれています。そして、その内容について、建築確認で審査が行われることになります。

 この法改正は建築業界に多くの影響を与えるため、3年の準備期間が設けられ、現在、関連法案の検討、整備が進められています。しかし、検討を進めるにあたり、建築基準法改正の対応が困難である事が分かり、様々な緩和規定の案が出されています。

 12月11日、国土交通省より、壁量等の基準の見直し(案)のパブリックコメントが出されましたが、その中では「新基準の円滑施行の観点から1年程度の間、現行の基準での検証も可能とする経過措置を設けることを検討している。」つまり、壁量規定(耐震性)の強化の先送りです。

 耐震性を確認する上で基本となる建物重量が省エネ化に伴う重量化していることにより、現行基準では安全ではないと判断したはずです。そして、令和6年元旦には能登半島地震で多くの住宅被害が発生しました。
 この経過措置案(先送り案)を行って良いのでしょうか?

 尚、この改正建築基準法の施行(適用)は2025年4月1日以降に着工したものとなっています。間違いなく、多くの建築会社は3月31日までに駆け込み着工を行います。この建物は耐震性の不足、4月1日になれば、建築基準法に対応しないものとして、既存不適格との扱いになりますので住宅を購入する方も注意が必要です。

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