愛しさは、作れる

※授乳の話です。

子供が生まれた時、私がまず思ったのは「急に出てきたな!」だった。いきんだとき、頭からするっポーン!と生まれたので、胎児とその出てきた新生児が同じものとはあまり思えなかったのだ。
そして愛しいとかかわいいとか感動で涙がとかそういうのはなく、ただ「会陰どうなりました!!??」が私の次の瞬間のことばだった。
切開しなかったので、その分どれほど裂けてるかがめちゃくちゃ気になったのである。
そんな感じだったので、新生児を抱いておっぱいを吸わせても「あ~新生児だな」くらいの感想であった。

しかし、最近になってだんだん子供を愛しいと思うことが増えた。
いろんな表情が「今だけしか見れない」と思うとどれもとても愛おしい。
泣いてても(そんなに長く泣いたりしなければ)可愛いと思える。
それは、まず勿論周囲の協力のたまものなのだが、それにプラスして「母乳の回数を増やした」ということがポイントのような気がした。

ある人に「母乳育児がいいですよ。脳内麻薬であるオキシトシンが出ているから、子供をかわいいと思えるし、そうすると育児も楽になります」と言われて、それがなんとなく気になっていた。
「母乳は赤ちゃんのためにいい」と言われてもぜんぜん心動かないどころか反発したくなる人間なのだが「育児が楽になる」というワードには弱かった。

そしてミルクを作るのが面倒と言うのもあり、母乳育児を目指してみることにした。
「ちょっと理系な育児」をバイブルに、飲みたがった時に飲ませることを始めた。また、飲みかたや時間も赤ちゃんに任せ、好きな時に好きなだけ、というやり方を試してみた。

初めは数回授乳しても、中身が生産されていないのか、ぐずぐずしておっぱいを欲しがっていたのでミルクを作った。
しかし数日であきらかに母乳だけで寝付く回数が増えていった。
そしてその回数が増えるにつれて、子供が泣き出す前に授乳できるようになり、泣いて興奮しないからか、子供もすっと寝るようになってきた。
いちばんおもしろかったのは、そのやり方をすると自分が赤ちゃんを見て幸せな気持ちになることが増えたことだ。
オキシトシンはおっぱいを吸ってもらうと出るといわれている。
どうやら本当らしい。
もしかすると、出産時に赤ちゃんがかわいい!とそこまで思えなかったのは、麻酔で(和通分娩だった)ホルモンの働きが弱かったからかも?とさえ思った。

自分なりにこうかも、と思った幸せを感じる授乳のポイントを挙げておく。

1、赤ちゃんの自主性を信じる。
時間を決めて飲ませる、時間を計って長く&短くしすぎないようにする、という飲ませ方をしていた。
しかし赤ちゃんのタイミングに合わせた方が、赤ちゃんも穏やかになり、落ち着いて授乳できることで、親もリラックスできる。

2、赤ちゃんを観察する
今は休みたいのか、横になりたいのか、それともげっぷを出そうとしてるのか。そういうのも不思議とだんだんわかるようになる。
自主性を尊重していれば、サインはわりと明確に示される気がする。

3、リラックスする
体を脱力する。首を反対方向に動かしたり回したり、肩の力を抜いたり。
脱力すると赤ちゃんも落ち着く気がする。
ぽーっとリラックスすると脳内が切り替えられて、不幸な思考ができなくなる感じがする。

4、呼吸を合わせる
赤ちゃんが数呼吸と吐く呼吸に合わせて背中をさすったり、肩を上下させたり、自分の体を前後にすこし揺らしたりする。
そうすると、不思議と赤ちゃんも落ち着く。

覚え書きの程度だが、将来の自分や、あわよくば誰かの参考になればうれしい。

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