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    ロックについての記事集。

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    カンタベリー・ロック(カンタベリー系)の作品のレビュー記事を収録したマガジン。

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『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』感想

良い点ダンジョン ブレワイのメインダンジョンは(ハイラル城を除くと)神獣の内部を攻略するという点が共通しており、やや景観に乏しいという印象を受けていたが、本作は空に地底にとロケーションに幅があって楽しい。特に風の神殿が素晴らしいと感じた。本作のリトの村は言うなればブレワイのゾーラの里ポジションで、かなり露骨に誘導されていたこともあって当初からヴァ・ルッタばりの演出を期待していたが、その期待にしっかり応えてくれたという感想。個人的には、雷の神殿の時オカ辺りの雰囲気を彷彿とさせ

    • Frank Zappa「Zappa/Erie」レビュー

       フランク・ザッパの1974年と1976年のライブを収録したCD6枚組の発掘ライブ盤「Zappa/Erie」をレビューしていく。一応最初に書いておくと、自分は「Roxy & Elsewhere」や「One Size Fits All」をザッパのキャリアの頂点と捉えているので、勢い1974年の演奏についての記述の方が多くなりがちなことをご承知おきください。  本作は、ザッパの没後の作品に古くから関わってきた"Vaultmeister"ことジョー・トラヴァースの故郷である、ペン

      • シ・ニンジャの一人称とメディアミックス

         先日掲載された【スレイト・オブ・ニンジャ】にて、ヤモト・コキに憑依していたアーチニンジャ「シ・ニンジャ」の一人称が「私」であることが判明した。また、ヤモトにシ・ニンジャのソウルが憑依した際の台詞「今から私はアタイだ」を裏返した「今からアタイは私、か」という台詞もあり、ヤモトの一人称は「アタイ」、シ・ニンジャの一人称は「私」と明確に区別された形となる。  ところで、Twitterを検索すると、「ヤモトの一人称は元々『私』だったが、(一人称が『アタイ』の)シ・ニンジャに憑依さ

        • 1970年代のフランク・ザッパはライブ盤でもオーバーダブしまくりだった

           今回の記事はフランク・ザッパのある種の「神話」に踏み込むかもしれない内容だが、逆にザッパのファンからすれば「何を今更」というレベルの話ではあるし、この辺の事情について日本語で詳しく述べている文章もあまり見かけないので自分が書いてしまう。  昔のライブ盤では、ライブで演奏をミスったり上手く録音出来なかった箇所に、後からスタジオで演奏を被せる(オーバーダブ)という手法が結構カジュアルに行われており、しかもそれがちょっと注意深く聴けば分かるレベルの編集だったりするのだから実に大

        『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』感想

        • Frank Zappa「Zappa/Erie」レビュー

        • シ・ニンジャの一人称とメディアミックス

        • 1970年代のフランク・ザッパはライブ盤でもオーバーダブしまくりだった

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        記事

          Frank Zappa「Zappa '88: The Last U.S. Show」レビュー

           フランク・ザッパが1988年に行ったラストツアーにおける、アメリカでの最後の演奏(1988年3月25日)を収録したライブ盤「Zappa '88: The Last U.S. Show」がリリースされた。SpotifyやYouTube等でも聴けるので未聴の方はぜひどうぞ。  1988年バンドの演奏は、ザッパの生前の作品においては 「Broadway The Hard Way」(1988) (新曲・社会的なメッセージ性の強い曲中心) 「The Best Band You N

          Frank Zappa「Zappa '88: The Last U.S. Show」レビュー

          「ニンジャセンタ試験2021」感想

           ヤッター! スゴイヤッター!!  先日ニンジャスレイヤープラス上で行われた「ニンジャセンタ試験2021」に参加した所、なんとトップランカーの座を射止めることができました! ゴウランガ! せっかくなので、今回のセンタ試験についての感想や、難しいと思った問題について書き残しておこうと思います。なお、ニンジャセンタ試験は「ニンジャスレイヤープラス」(月額490円で『ニンジャスレイヤー』のスピンオフ作品や設定資料集が読み放題になる定期購読マガジン)を購読することで挑戦できる有料コ

          「ニンジャセンタ試験2021」感想

          Soft Machineの発掘ライブ盤(1967~1972)

           カンタベリー・ロックの金字塔ことソフト・マシーン / Soft Machineは、発掘ライブ盤の数がやたらと多いことでも知られている。また、それに加えて各音源の録音時期が近いため、前後関係を把握するのがなかなか難しいという問題もある。この記事ではそうした事情から複雑化しているSoft Machineの発掘ライブ盤についての情報を整理すべく、1967年から1972年にかけて録音されたライブ盤を「時系列順に」並べ、それぞれレビューを書いていく。なお、「BBC Radio 196

          Soft Machineの発掘ライブ盤(1967~1972)

          フランク・ザッパのベスト盤を眺める

           デビューしてから亡くなるまでに60枚以上のアルバムを発表した、ロック界きってのワーカホリックことフランク・ザッパ。そんな彼の宇宙の如く広大な音楽性をたかだか一、二枚のベスト盤で把握することなどまずもって不可能であり、初心者へのフックを作るのも難しいのではないかと思われるが、しかしそれでもザッパのベスト盤は厳然として存在するのである。  何故か仰々しい書き出しになってしまったが、この記事では現在までにリリースされたザッパのベスト盤についてあれこれ語っていく。一応ザッパのファ

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          Frank Zappa「The Mothers 1970」レビュー

          「死せるフランク、生けるザッパ家を走らす」とでも言うべきか、死後20年以上に渡って未発表音源がリリースされ続ける男、フランク・ザッパ。2020年初の「新譜」となる「The Mothers 1970」は、タイトル通り1970年のフロ&エディ期(タートル・マザーズ期)のスタジオ&ライブ音源がCD4枚に渡って収録されている。Spotifyでも全曲公開されたので、感想をざっくり書いていこうと思う。 Disc 1Trident Studios, London, UK June 21-

          Frank Zappa「The Mothers 1970」レビュー

          フランク・ザッパの没後のライブ盤

           この記事では、フランク・ザッパの没後に発表されたライブ盤を「時系列順に」並べ、簡単なレビューを書いていく。ザッパのアルバムはとにかく数が多いので手を出すのが億劫になりがちだが、こうして整理することによって取っかかりを作ることが出来れば幸いである。  なお、「Halloween 77」についてはSpotify等の音楽ストリーミングサービスに入っていないためレビューすることが出来ないので、あらかじめご了承ください。 Road Tapes, Venue #1 (2012) K

          フランク・ザッパの没後のライブ盤

          フランク・ザッパの非公式ライブ録音を聴く

           フランク・ザッパは偏執的なファンを多く抱えているからして、非公式のライブ録音も多く出回っている。この記事では、自分がネットの辺境で聴いた録音の中で良かったものの感想を書いていく。選定基準は以下の通りで、一般(限りなく狭い界隈だと思うが……)には「名盤」とされているものも取り上げていない可能性があることに留意されたい。逆に、ここに取り上げられていない中で聴く価値のある録音があればぜひご教示いただきたい。 ・音質が良く、音の定位も安定しているか ・ライブの全貌、あるいは大部分

          フランク・ザッパの非公式ライブ録音を聴く

          Queen + Adam Lambert 2020年1月25日公演 備忘録

          Set List 00. Introduction (Innuendo) 01. Now I'm Here 02. Seven Seas Of Rhye 03. Keep Yourself Alive 04. Hammer To Fall 05. Killer Queen 05.5. Adam Lambert's MC 06. Don't Stop Me Now 07. Somebody To Love 08. In The Lap Of The Gods... Revisi

          Queen + Adam Lambert 2020年1月25日公演 備忘録

          ナラク・ニンジャ=ハガネ・ニンジャ説

           正直与太話の域を出ないとは思うが、万が一当たっていたらキンボシ・オオキイということで一応書き残す。物理書籍版は歯抜けになっているし引っ張り出すのも面倒なので、とりあえずTwitter連載版を中心とした考察であることを明記しておく。  シャード・オブ・マッポーカリプス(44):シの眷属によれば、最初の「ニンジャスレイヤー」は古代のニンジャ「ナラク・ニンジャ」のソウルと、イチローという名のモータルの肉体が融合した存在である。この「ナラク・ニンジャ」、すなわちジマタが掲げたニン

          ナラク・ニンジャ=ハガネ・ニンジャ説

          トカゲ・ニンジャクランについて

           先日アーカイブ記事が掲載された「シー・ノー・イーヴル・ニンジャ」のN-FILESにて、クラミドサウルスがトカゲ・ニンジャクランのソウル憑依者であることが判明したが、まさかトカゲ・ニンジャクランの名が今になって出てくるとは思わなかったので驚いた。トカゲ・ニンジャクラン周りの話はかなりややこしいことになっているので、この機会に一度整理しておく。  トカゲ・ニンジャクランの名が初めて出たのは「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」で、ここではトカゲ・ニンジャクラン

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          「Be-Bop Tango」の笑い声

          Jazz is not dead, it just smells funny. (ジャズは死んじゃいない、妙な臭いがするだけだ) 「Be-Bop Tango (Of The Old Jazzmen's Church)」はフランク・ザッパのライブ盤「Roxy & Elsewhere」の最後を飾る曲で、彼をして"This is a hard one to play"と言わしめるほどの難曲である。実際どんな曲なのかは上記の動画から聴いていただくのが手っ取り早いだろう(演奏は1分2

          「Be-Bop Tango」の笑い声

          深遠なる"Avant-Prog"の世界にダイヴせよ

           1970年代中盤以降、プログレッシブ・ロックはパンク・ムーブメントの到来によって衰退の一途を辿っていったが、それでも酔狂なミュージシャンはいるもので、プログレというジャンルに属する音楽は未だに発表され続けている。その中でも自分が特に好きなのが「アヴァン・プログ / Avant-Prog」だ。Wikipediaの項目は英語版の直訳でやや分かりにくいが、簡潔に言えば「カンタベリー系やRIO系の影響下にある、プログレの中でも特にアヴァンギャルドな音楽」を指すジャンルがアヴァン・プ

          深遠なる"Avant-Prog"の世界にダイヴせよ