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お経にハマる

京都国立博物館で開かれていた「国宝 一遍聖絵と時宗の名宝」に行ってきた。

行ったきっかけは「好きな声優さんが音声ガイドをやっているから」という純粋とは言い難いもので、そうでなければ行かなかったと思う。

仏教にそこまで興味はない。展示の主人公らしい一遍のことだって「日本史でやった……踊りながら念仏唱える人?」ぐらいの知識しかない。まあ行くからにはちゃんと見よう。それぐらいの気持ちだった。

さて。「一遍聖絵」というのは一遍さんが踊り念仏で日本中を回った記録なのであるが、これがすごい。上の写真を見てもらえれば分かるが簡素な小屋にお坊さんがいっぱい。もうぎゅうぎゅう詰めである。

他の絵では川の中に小屋がぽつーんと立っていたりして、そこにもお坊さんたちが「詰まって」いる。ただ詰まっているだけじゃない。踊っているのである。やばい。

もちろん誇張はされているのだろうけど、つまりそれほど迫力があったことを表しているとも言える。だって、大勢のお坊さんたちが踊りながら念仏を唱えて歩いてくる場面を想像してみてほしい。私がその場にいたら入信してしまうかもしれない。一遍さんについていく人は旅の道中で増えていったらしいし。
他の絵には「一遍が踊りながら念仏を唱えたら、龍が出てきた」みたいな記述もあったけど、そりゃ龍も出るよな、と思ってしまうようなレベルである。

展示の最後に、音声ガイドからは大勢のお坊さんが読むお経が流れてきた。
大勢が一緒に読みあげるお経というのは、やっぱり迫力がある。厳かで、それでいて暗くない。まるで音楽。目を瞑って聞くと別な世界に行けそうな感覚だった。

絵や仏像を見ながら、好きな声優さんの声に浸る。それだけで私は幸せになれるのだけど、今回はBGMの如く流れてくるお経が気になった。
お経、いいじゃん。特に大勢が一斉に読み上げるお経は迫力がある。私の中で、法事で聞く、有難いけど眠くなりがちな単調な呪文、という認識が大きく改められた。厳かで、それでいて暗くなく力強い。何だかこちらまで力をもらえるような感覚を覚えた。

自分で唱えてみる

その影響もあり、私はお経を唱えるのにハマっている。
お経というか歌でもあるのだが。
大河ドラマ「女城主直虎」の中で柴咲コウ演じる直虎が、歩きながら唱えていたお経である。(下記サイトで割と長く試聴できます。ぜひ!)

それは劇中歌を集めたCD「鶴のうた」の中に「鶴飛び去りし」として収録されている。どうやら「観世音菩薩普門品偈」というお経が元であるらしい。(歌になっているのはお経の前半部分)

文言はお経と同じだが、節が付いているのでよりきれいに響くのだ。
さらに唄っているのが女性だから、よりはかなさ、切なさが増すのかもしれない。

京都の特別展で「お経いいな!」と思った私は、帰ってきてからそのお経の暗唱を始めた。意味はあまりよくわかってないけれど。

今のところ完成度は80%くらいで、眠れない夜とか歩いていて暇なときとかにこっそり唱えている。


真夜中の東京で、お経を唱えながら歩いている不審者がいたらそれは私かもしれない。恥ずかしいので見なかった振りをしてくれたら幸いです。


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